my way of life   作:桜舞

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143話『ダメな男に引っかかってない?』

「…? 母様?」

「グンジョウ…まぁ、頑張りなさい」

 

母様と入れ違いで、ユエが入ってきた。

なんであんな表情をしたのかの理由が、よくわかる。

僕に眼鏡を投げ付けて、椅子に座ったユエが泣き腫らした目で、僕を睨みつけていたからだ。

眼鏡をかけて、その表情を見た僕は困ったように笑うしかなかった。

 

「ユエ…あの、ごめんね…? その…君が無事で、良かったよ。怪我はなかった?」

 

そう言葉をかけるが、ユエは無言で僕を睨み続けている。

 

うわ、気まずい。

 

ユエが怒る理由はわかる。

去年のウンディーネ3の月、ユーラ王国に行った時。

ユエが言った言葉を僕は彼女に対して使い、一緒に逃げようと言ったユエを、命令という形で突き放した。

 

その結果がこれだ。

シャナを連れて帰ってきたら僕が死にかけてて、彼女は血の気が引いた事だろう。

 

「ユエ…本当にごめん。心配かけたよね…でも、あの判断は間違ってなかったと、僕は思っている。ユエ、君を傷つけたのは大変申し訳ないと思っているよ。だけど、こんな事態になったら僕は迷わず同じ判断をするだろう。君を心配させ、傷つけると分かっていても

……ユエ、君を傷つける発言を、今からするね。

……一回、別れようか? 婚約はそのままにはするけど、少し僕から離れた方が良いんじゃないかな、って思うんだ」

 

僕のその言葉に、ユエはベッドを殴りつけた。

 

「……馬鹿っ!! 本当にアオの馬鹿!! なんで別れるって話になるの?! そんなに私を泣かせたいの?! ……っ、悔しかったんだよ…っ! 私じゃ、アオの足を引っ張る事しか出来ないんだって…っ! 確かに、救援を連れてくるのも重要だったよ…!

でも、でも…っ! 逃げるなら、貴方と一緒が良かった…っ!! 貴方をあの場に残して行きたくなかった!! 逝くなら、貴方と一緒がいいの!! アオの判断は、わかるよ…それが貴方の判断なら、王太子としての、貴方の判断なら…従うと言ったよ。でも、貴方を愛している私の事も考えてよ!!」

 

悲痛な叫びを上げながら、ユエは涙を流し始める。

僕は痛む体を推して起き上がり、ユエの頬に手を添え彼女の涙を拭った。

 

「ごめん、ユエ。何回も、君を傷つけて泣かせて…最低な男だよね、僕は」

「…本当に、最低…っ!! でも、そんな最低な貴方も、愛してるの…っ!」

 

コツンと、泣いているユエの額に、自分のをくっつける。

そして苦笑した。

 

「ユエ、君…ダメな男に引っかかってない? 大丈夫?」

「アオがそれ言う?!」

 

僕がダメージを負っていると分かっているからか、ユエは手を挙げてはこないが、ムッとなってしまう。

その表情を見て、僕は笑った。

 

「アオ、酷い…」

「そんな僕も好きなんだろう、ユエ? 僕も、君の欠点も含めて愛しているよ。とても愛おしい、僕だけの運命の女(ファム・ファタール)

 

頬にキスを落とす。

ユエは少し困ったようで、目が泳いでいた。

 

「…照れてる?」

「聞かないでよ、馬鹿…」

 

フッ、と笑うとまた、酷いと言って彼女はそっぽ向いてしまった。

まぁ、その後回復してなかった僕は、彼女に寄りかかる形でグッタリしてしまい、またユエに怒られるという事態に陥った。

 

◆◆◆

 

次の日。

僕を抜かしたメンバーが遺跡に潜って行った。

ユエは残りたそうにしていたが、僕の部屋にいた彼女をユタカが連れていってしまう。

 

そんなわけで、僕は一人で本を読んでいるわけなのだが。

 

「めっちゃ進む…っ!!」

 

本を一冊読み切り、僕は少し感動して顔を覆う。

勉強だ、魔王の遺物探しだと休日も忙しく、本を読んでいる暇がなかったのだ。

 

たまにはこんな日もあっていいよな、なんてニコニコしてしまう。

別にユエを蔑ろにしているわけではないし、彼女がデートをしたいというなら、何処へなりとも連れて行く所存である。

 

本を3冊くらい読み終えたところで、部屋の扉がノックされた。

 

「はい?」

「アオ、起きてる、よね。入っても良い?」

 

ノックしたのはユエのようだが、別に普通に入ってくればいいのに、入室許可を取るなんて珍しい。

 

「良いよ、どうしたの?」

「いや、あの…読書の邪魔しちゃ、悪いかなって思って…」

 

少しだけ扉を開けて、こちらを覗き込んでくるユエに苦笑する。

フリーデリーケに行った時の事を思い出したようだ。

 

「今は読んでないよ。君が帰ってきたって事は、もうお昼だろう? 一緒に食事を摂りたいんだけど、どう?」

「…うん! 休憩一時間くらいしたらまた潜るけど。それまでは、アオと一緒にいたいなって思ってたの」

 

扉を開け、食事が載ったカートを押して、ユエが入ってくる。

 

僕の彼女可愛い。

凄いニコニコしてる、可愛い。

本当、こんなクズと付き合ってくれるユエ、女神の生まれ変わりじゃない?

もう本当好き、愛してる。

 

僕がそう思っていると、ユエがテーブルに配膳している途中で固まってしまう。

どうしたのだろうと思い少し考えて、また僕の思考を読んだのだなと結論に至った。

 

「ユエ? 口に出してないんだけど?」

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