「わかってるよ!! アオ、その…口説きすぎじゃないかなぁ?!」
だから、口に出してないってば。
可愛いなぁ、本当に。
配膳が終わり、ユエに支えられて椅子に座る。
いただきますと手を合わせて食事をしている最中、僕は彼女に尋ねた。
「どれくらい進んだの?」
「んーと…今日はシンクもちゃんと起きてたから、マッピングしながら歩いたよ。とりあえず、昨日シャナちゃん達が歩いたコースかな、したのは。そっちの方は全く危険性がなくてね、途中で行き止まりだった。午後からは十字路をまっすぐ行く予定。私達が行った所は、後回しだってシンク言ってた」
まぁ、それはそうか。
またバーゲストが現れる可能性だってあるわけだし。
「そっか。気を付けてね、ユエ」
「うん、それは大丈夫。みんないるし。あ、そういえばシンク怒ってたよ、アオ。なんて無茶しやがるって。もしかしたら後で部屋に来るかもね」
弟にも怒られる僕って…。
母様にも怒られたし、ユエにだって怒られたのだから勘弁してくれないだろうか。
こっそりため息をついた僕に、ユエがニマニマと笑っていた。
「…何?」
「ちゃんと反省してね、アオ? パパも怒ってたから。体調が回復したら、ちょっとグンジョウ君とお話ししなきゃなぁ、って言ってたよ」
それを聞いて、僕はお粥を食べてたスプーンを置き、顔を覆った。
やだ、怖い、ユーリおじさんとお話しって…絶対話だけで終わるわけないじゃん。
僕、殺されるんじゃね?
その前にユエと既成事実作っておいた方がいいかなぁ…。
むしろ孕むまでやった方がいいんじゃないかな…そしたら、僕が死んでもユエ寂しくないよねぇ…?
「アオ、うちの親の事何だと思ってるの…。流石に、アオの事殺しはしないよ」
「言葉を選ばなくていいし、悪いように言うなら、カヅキおばさんは愉快主義者の捻くれ者。ユーリおじさんは笑顔の裏で何考えてるかわからない腹黒」
なら私は? とユエが聞いてきたので、僕は少しジト目になる。
「君を悪く言う? …怒らない?」
「…怒らない」
その間はなんだよ?!
僕は顔を背けながら、ポツリと呟いた。
「黙ってれば可愛いのに、癇癪持ちの乱暴者…」
「アオ?! じゃあアオだって、格好良いし顔も良いのに本の事になると性格変わる馬鹿じゃん?!」
それは自覚してます。
…うん、自覚してるからこそ、愛しい彼女にそこ突かれると、痛いんだよね…。
「やめよう、ユエ…不毛だし、ご飯不味くなる…」
「そうだね…ごめん、アオ…」
その後は黙々とご飯を食べ終え、カートに食器類を戻したユエが部屋から出ていった。
その間、僕らに会話などなく。
「…はぁ」
もっとユエとイチャつきたかった…っ!
まぁ、過ぎた事はどうしようもないので、僕はまた本を読む事にした。
◆◆◆
一日、本を読んで過ごした次の日。
僕はユーリおじさんに叩きのめされていた。
「あの…病み上がりなんですけど…」
「だからどうしたの? 君、戦場でもそんな甘い事言うつもり?」
ユエ達が遺跡探索に行った後、話があるとユーリおじさんに呼び出され、炎天下の庭に連れて行かれ、いきなり叩きのめされた。
多分今までの事をカヅキおばさんなり、ユタカやユエなりに聞いた結果だと思うので、お叱りは受けるつもりだった。
でもいきなり戦闘とか…。
「本当に甘いね、グンジョウ君。そのままだと君、ユエを死なせる事になるよ。それだけじゃない、シャナちゃんもシンク君も、みんな死ぬ。君はそれを、仕方ないと諦めるつもりかい?」
「…はい?」
確かに、僕は甘い所はあると思う。
でも、精一杯やってきたはすだ。
それでもまだ足らないというのか、この人は。
「ナツキさんやカヅキを相手にして諦めているだろう、君? この間はナズナ君にも負けていたよね? 強い者には戦わず諦めて、自分の身可愛さに他の者を差し出すの?」
「……なんで、そこまで言われなきゃいけないんですか」
僕は立ち上がり、地面に叩きつけられた時、顔についた土を拭う。
ユーリおじさんはにこやかに、しかし目は笑わず僕を見る。
「君が弱いからだよ。今回もなんだい? 魔力回路を自分だけで回して壊しかけた? 愚策にも程があるんじゃないかな。ねぇ、グンジョウ君」
目を細めて、ユーリおじさんは僕に尋ねた。
「君は何人、殺せば気が済むのかな?」
「…うるせぇ!! 人の苦労なんざ何も知らないくせに!! 上から目線で話すんじゃねぇよ!!」
僕はブランシュとノワールを呼び出し、ユーリおじさんに上から斬りかかる。
だがそれを、おじさんはただの竹刀だけで受け止めた。
「単調だね。本当に君は弱すぎる。それに苦労? 知るわけないじゃないか、興味もないんだから」
「なら黙って見てろよ!! 僕だって、本当ならしたくねぇんだよ!! なんで平和に暮らさせてくれねぇんだよ!!」
重心をおじさんにかけ、そのまま背後へと落ち、身を低くして足払いをかける。
しかしそれもおじさんは予測済みだったようで、少し飛んで左側から竹刀が僕に振り下ろされた。