my way of life   作:桜舞

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144話『人の苦労なんざ何も知らないくせに』

「わかってるよ!! アオ、その…口説きすぎじゃないかなぁ?!」

 

だから、口に出してないってば。

可愛いなぁ、本当に。

 

配膳が終わり、ユエに支えられて椅子に座る。

いただきますと手を合わせて食事をしている最中、僕は彼女に尋ねた。

 

「どれくらい進んだの?」

「んーと…今日はシンクもちゃんと起きてたから、マッピングしながら歩いたよ。とりあえず、昨日シャナちゃん達が歩いたコースかな、したのは。そっちの方は全く危険性がなくてね、途中で行き止まりだった。午後からは十字路をまっすぐ行く予定。私達が行った所は、後回しだってシンク言ってた」

 

まぁ、それはそうか。

またバーゲストが現れる可能性だってあるわけだし。

 

「そっか。気を付けてね、ユエ」

「うん、それは大丈夫。みんないるし。あ、そういえばシンク怒ってたよ、アオ。なんて無茶しやがるって。もしかしたら後で部屋に来るかもね」

 

弟にも怒られる僕って…。

母様にも怒られたし、ユエにだって怒られたのだから勘弁してくれないだろうか。

 

こっそりため息をついた僕に、ユエがニマニマと笑っていた。

 

「…何?」

「ちゃんと反省してね、アオ? パパも怒ってたから。体調が回復したら、ちょっとグンジョウ君とお話ししなきゃなぁ、って言ってたよ」

 

それを聞いて、僕はお粥を食べてたスプーンを置き、顔を覆った。

 

やだ、怖い、ユーリおじさんとお話しって…絶対話だけで終わるわけないじゃん。

僕、殺されるんじゃね?

その前にユエと既成事実作っておいた方がいいかなぁ…。

むしろ孕むまでやった方がいいんじゃないかな…そしたら、僕が死んでもユエ寂しくないよねぇ…?

 

「アオ、うちの親の事何だと思ってるの…。流石に、アオの事殺しはしないよ」

「言葉を選ばなくていいし、悪いように言うなら、カヅキおばさんは愉快主義者の捻くれ者。ユーリおじさんは笑顔の裏で何考えてるかわからない腹黒」

 

なら私は? とユエが聞いてきたので、僕は少しジト目になる。

 

「君を悪く言う? …怒らない?」

「…怒らない」

 

その間はなんだよ?!

 

僕は顔を背けながら、ポツリと呟いた。

 

「黙ってれば可愛いのに、癇癪持ちの乱暴者…」

「アオ?! じゃあアオだって、格好良いし顔も良いのに本の事になると性格変わる馬鹿じゃん?!」

 

それは自覚してます。

…うん、自覚してるからこそ、愛しい彼女にそこ突かれると、痛いんだよね…。

 

「やめよう、ユエ…不毛だし、ご飯不味くなる…」

「そうだね…ごめん、アオ…」

 

その後は黙々とご飯を食べ終え、カートに食器類を戻したユエが部屋から出ていった。

その間、僕らに会話などなく。

 

「…はぁ」

 

もっとユエとイチャつきたかった…っ!

 

まぁ、過ぎた事はどうしようもないので、僕はまた本を読む事にした。

 

◆◆◆

 

一日、本を読んで過ごした次の日。

僕はユーリおじさんに叩きのめされていた。

 

「あの…病み上がりなんですけど…」

「だからどうしたの? 君、戦場でもそんな甘い事言うつもり?」

 

ユエ達が遺跡探索に行った後、話があるとユーリおじさんに呼び出され、炎天下の庭に連れて行かれ、いきなり叩きのめされた。

 

多分今までの事をカヅキおばさんなり、ユタカやユエなりに聞いた結果だと思うので、お叱りは受けるつもりだった。

 

でもいきなり戦闘とか…。

 

「本当に甘いね、グンジョウ君。そのままだと君、ユエを死なせる事になるよ。それだけじゃない、シャナちゃんもシンク君も、みんな死ぬ。君はそれを、仕方ないと諦めるつもりかい?」

「…はい?」

 

確かに、僕は甘い所はあると思う。

でも、精一杯やってきたはすだ。

それでもまだ足らないというのか、この人は。

 

「ナツキさんやカヅキを相手にして諦めているだろう、君? この間はナズナ君にも負けていたよね? 強い者には戦わず諦めて、自分の身可愛さに他の者を差し出すの?」

「……なんで、そこまで言われなきゃいけないんですか」

 

僕は立ち上がり、地面に叩きつけられた時、顔についた土を拭う。

ユーリおじさんはにこやかに、しかし目は笑わず僕を見る。

 

「君が弱いからだよ。今回もなんだい? 魔力回路を自分だけで回して壊しかけた? 愚策にも程があるんじゃないかな。ねぇ、グンジョウ君」

 

目を細めて、ユーリおじさんは僕に尋ねた。

 

「君は何人、殺せば気が済むのかな?」

「…うるせぇ!! 人の苦労なんざ何も知らないくせに!! 上から目線で話すんじゃねぇよ!!」

 

僕はブランシュとノワールを呼び出し、ユーリおじさんに上から斬りかかる。

だがそれを、おじさんはただの竹刀だけで受け止めた。

 

「単調だね。本当に君は弱すぎる。それに苦労? 知るわけないじゃないか、興味もないんだから」

「なら黙って見てろよ!! 僕だって、本当ならしたくねぇんだよ!! なんで平和に暮らさせてくれねぇんだよ!!」

 

重心をおじさんにかけ、そのまま背後へと落ち、身を低くして足払いをかける。

しかしそれもおじさんは予測済みだったようで、少し飛んで左側から竹刀が僕に振り下ろされた。

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