my way of life   作:桜舞

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149話『俺理解不能なんだけど』

「あたしは出来るよ。だってあたしは、母様の娘だから…ねっ!!」

 

シャナが片手を上げ、素早く横へ滑らせる。

神罰の光がバーゲストを襲うのに加え、遺跡全体が揺れた。

多分、神雷で探知したバーゲストの発生装置を壊しているのだろう。

そして、僕らの前に紫色の光を纏った男性が現れる。

その男性の服装は大昔の人が着ていたような服で、何か杖らしきものを持っていた。

 

「ヴォルト、バーゲストにとどめを。対価はあたしの魔力!!」

〈承知〉

 

轟音を響かせ、バーゲストに神雷よりも大きい雷が落ちる。

あまりの閃光に、僕らは目を閉じた。

次に目を開けたら、バーゲストは炭になって崩れ落ちていく所で、僕らは唖然とする。

 

「…シャナちゃん、魔力回路は…?」

「全然平気。シンクとリブロと分担で回してたから、あまりダメージないよ。ありがとう、ヴォルト」

 

ユエの心配にもケロッと返し、シャナはヴォルトに感謝を述べた。

ヴォルトはシャナの傍に寄ると、姉を抱きしめる。

それにギョッとしたのはツルギだけじゃなく、シンクもだった。

 

〈我が花嫁になる気はないか、シャナ〉

「ないって言ったじゃん。あたしは人を捨てる気はないよ、ヴォルト。呼びかけに応えてくれて助かったよ。またお願いしたら来てくれる?」

 

無論、と言ってヴォルトは消える。

 

「…ねぇ、アオ。ヴォルトってさ…」

「うん。四大とは別に、天候を司ってる大精霊の一人だよ。それがどうかした?」

 

何を当たり前な事を聞いてくるのだろう、とそう返したのだが、ユエはそれがあり得ないといった顔をした。

 

「どうかしたじゃないよ?! シャナちゃん、いくら分担したからって、ヴォルトまで呼ぶって相当な負担かかってるはずだよね?!」

「しかも、雷の塊のようなヴォルトに抱きしめられてたんだけど、うちの姉…え、ごめん。俺理解不能なんだけど、どういう事?」

 

僕はシャナを見る。

姉は肩を竦めて仕方ないね、と笑った。

どうやら、みんなには説明して良いと許可を出したようだ。

 

「シャナはね、精霊の愛し子なんだよ。だからあんな莫大な魔力も使えるし、精霊を呼んでも負担なんて丸切りない。本当…少し分けてくれないかな、シャナ」

「分けられるんなら、もう分けてるんだってば」

 

シャナが苦笑する。

ツルギが恐る恐る、挙手しながら聞いてきた。

 

「あの、精霊の愛し子って…何ですか?」

「文字通り、精霊に愛された人間の事だよ。前は、父様の母上…お祖母様が、そうだったって聞いたけど。シャナもそうだったみたいでね。僕らが小さい頃、迷いの森の奥深くにある、エルフの里の更に奥。母様に連れられて行った精霊の祠で、ミラ様が言ったんだ。シャナは、精霊の愛し子だって。その時だったかな。ヴォルトがシャナに求婚し始めたの」

 

ツルギが唖然とシャナを見る。

ヴォルトは、お世辞を言わなくても良いくらいの美男子であった。

シャナと並べば美男美女のカップルである。

 

ツルギの心情を言えば、自分みたいなボンクラとシャナが付き合うなど月とスッポンではないだろうか、かな。

そんな事、シャナは全く気にしないと思うのだが。

 

「ツルギ君? どうしたの?」

「あの…シャナ、ちょっと…」

 

首を傾げてしまった姉を呼んで、ツルギは隅の方に連れて行く。

二、三言ツルギがシャナに何か言ったようだったが、姉は爆笑した。

 

「あっはははっ!! ツルギ君、あたしそんな事気にしないってば!! あたし、顔でツルギ君と付き合おうって思ったわけでも、好きになったわけでもないんだもん!! あはははっ!!」

 

取り敢えず、ツルギが何を言ったのかは理解出来た。

自分の顔がイマイチだから、シャナの隣にいて大丈夫なのか、だろうな。

 

そんな事を気にする姉だったら、今頃顔がいい男と付き合っているだろう。

シャナは、人の見目など見ない。

見るのは相手の心である。

だからこそ、ツルギに惚れたのだろうが。

 

「成程、精霊の愛し子だからダメージ負わなかったのか…。で、お前は?」

 

シンクが二人の様子を見ながら、僕に尋ねてくる。

 

「お前はってなんだよ。言ったろ、分けて欲しいって。何もないよ。僕はただの、シャナの弟ってだけ」

 

僕は壁に背を預け、腕を組む。

 

「いや、幼い頃はコンプレックス抱えてたよ? なんでシャナだけって。でもさ、シャナが言ったんだよ。あたしにはあたしだけにしか出来ない事はあるけど、グンジョウにはグンジョウだけにしか出来ない事があるんだよ、って。シャナが王位を継げば良いんじゃないかって言った事もあったけど…王太子の教育なんて、絶対ヤダの一点張りで。長男が継ぐからって、母様が宥めてたよ」

 

父様、長男でもなんでもなかったけど王位を継いだんだよな。

まぁ、他が使い物にならなかったからだとは、母様から聞いてはいたけど。

 

「まぁ、シャナが優秀だったら…僕は姉の言葉を素直に聞けていたかは、甚だ疑問ではある」

「…あれ演技だったらどうすんだお前」

 

そんな馬鹿な。

あれが演技なら、生まれた時から周囲を騙していた事になるぞ。




ちょっと待て、夏マジック凄い
書いても書いても終わらない…w
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