my way of life   作:桜舞

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150話『誰が好き好んで』

どんな大女優だよ、うちの姉。

 

「んー? うちの弟達は何の内緒話してるのかなー?」

 

シャナがニコニコ笑いながら、僕らの前に仁王立ちしている。

 

「シャナ、魔力酔いしてるでしょ。テンション高過ぎ」

 

魔力酔いとは、魔力を急に使いすぎるとなる症状の事だ。

最初は楽しいのだが、更に魔力を使うと魔力欠乏症になって倒れる。

結構危ないんだけど、シャナはそれを今は理解出来ていない。

 

「してないよー? 今あたしはとても楽しいのだ! にゃはははっ!!」

 

これは完璧にしているな。

 

「シャナ、落ち着いて。シンク」

「無理。あれの後で魔力循環無理。ユタカかユエ、もしくはツルギ…はキスしておけ。シャナの魔力回路と繋いで、循環させておけ。俺疲れたー」

 

べたー、とシンクはその場に座り込んでだらけ始める。

 

お前だってシャナと双子なんだから、循環効率は良いはずだろ…。

 

と、呆れた目を弟に向ける。

 

「? アオは?」

「ユエ、疑問に思っちゃダメ」

 

あの話を聞いてたユタカが、ユエにストップをかけた。

だが、それだけで察しのいい彼女は僕を見て戦慄く。

 

「まさか、アオ……シャナちゃんと浮気?!」

「するわけないだろ!! 誰が好き好んで、実の姉と浮気するんだ馬鹿!! あれは人命救助だっ!! 本当、マジでキツかったんだからな…」

 

僕は自分の顔を覆い、蹲った。

ぽんぽん、とシンクが肩を軽く叩いてくるが、今この場でお前が魔力循環させておけば、ユエが気付く事もなかったんだぞ、と恨めしげな目を向ける。

 

ユタカと魔力循環を行って正常値に戻ったらしいシャナは、僕らの様子を見て苦笑いを浮かべた。

 

「えーと、あの…グンジョウ、ごめんね? ユエちゃん、姉弟だからそんな下心ないよ。むしろ、グンジョウはユエちゃんに下心満載で…」

「姉君、それ以上はやめよう。僕の尊厳というか何というか、壊れそうだから」

 

シャナの口を塞ぎ、僕は首を横に振る。

それを見たユエがムッとし、僕に抱きついてきた。

 

「アオは私の!!」

「分かってるから。ユエ、愛しいのは君だけだから。さて、先に進もうか。流石にもう脅威はないだろうしね」

 

ユエを抱き上げ、僕は皆に言う。

各々頷いてくれたけど、微妙な目線を投げられたので、僕は見て見ぬ振りをした。

 

◆◆◆

 

最深部。

ズラリと並んだ棺桶の更に奥、緑の宝玉が嵌った斧が飾られていた。

僕ら男性陣は平気だったが、女性陣が恐怖で顔が引き攣っている。

 

「怖いなら入り口で待ってる?」

 

お互い抱き合ってる、ユエとユタカに尋ねた。

シャナはと言えば、ツルギに抱きついて固まっている。

 

「こ、こんな事で怖いとか、言ってたら…立花の娘なんて名乗れないよね、ユタカ?!」

「そ、そうだよね……いや、普通にここ怖いよユエ?! 立花の娘とか関係ないよ?! 何ここ!! やだ、怖いよシンクーっ!!」

 

ユタカは涙目になりつつ、ユエから離れシンクに抱きついた。

僕は残ってしまったユエを見る。

 

「…待ってても良いよ?」

「…ふ、ふん! 私は別に怖くなんてないもん! 行こ、アオ!」

 

そんなに強がらなくても。

まぁ、それが彼女の魅力であり欠点でもあるから、僕としては何とも言い難い。

 

ユエと手を繋いで、棺桶の間を歩く。

別に、棺桶から何か起き上がってくるギミックも何もなく、普通に斧の前に来れた。

 

「綺麗…」

 

ユエが斧に手を伸ばす。

何処がだろうかと彼女の方を見ると、目が少し虚ろになっていて、僕は触ろうとしているその手を掴んだ。

 

「…アオ?」

「ユエ、触っちゃダメだ。言う事聞いて?」

 

でも、という彼女にもう一度同じ事を言うと、少ししょんぼりして、僕に抱きついてくる。

 

「綺麗なのに…欲しいなぁ…」

「宝石が欲しいなら買ってあげるから。あれはダメ」

 

違う、あれが欲しい。

そう言う彼女に、僕はため息をついてシンクを見る。

僕の様子に何も言わず、リンクを繋いでくれるシンクに感謝し、僕は彼女を強制転移させて僕から離した。

 

「…え…? あれ、私……アオ?!」

 

あのユエが正気を失うなんて、本来ならあり得ない。

ならこれは、魔王の遺物で間違いないと思った。

 

遺物から離れ正気を取り戻したユエが、僕から離れている事に驚いている。

何処から記憶が無くなっているかは分からないが、取り敢えず彼女の様子に安堵した。

 

僕はノワールを呼び出し、斧に嵌っている宝玉に突き立てる。

パキンと音がして宝玉が割れ、次いで斧自体がバラバラに砕け落ちた。

それを風魔法を使って集め、収納魔法の中に入れる。

持って帰って、カヅキおばさんに渡すためだった。

 

「アオっ!!」

 

ユエが駆け寄り、僕に抱きついてくる。

その表情は心配一色で、僕は苦笑した。

 

「ユエ、君何処まで覚えてる?」

「ここまで来た事は覚えてるよ。でもその後は覚えてなくて、気が付いたらシンクの隣に…アオ、大丈夫? 私何かしてない? アオに迷惑かけてない?」

 

してないよ、と言いつつ頭を撫でる。

でも、あのままユエに宝玉へ触れさせていたらマズい事態になっていた事だけは理解出来た。

 

「ユエ、宝石欲しい?」

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