my way of life   作:桜舞

155 / 408
155話『文句言わせろアホ』

バタン、と大きく扉が開く音がして、僕ら三人はそちらに目を向ける。

肩で大きく息をしてるシャナと、姉の隣には珍しくユタカがいた。

シャナの隣にツルギがいないのが、本当に珍しい。

何処行ってるんだ、ツルギの奴?

 

「シャナ? どうし」

「そんなに待てなーいっ!! あたし、母様達にお願いして婚姻結ぶように言ってくる!!」

 

尋ねた矢先、姉が大きな声で叫ぶ。

あまりの大きさに僕らは耳を塞いだ。

 

「シャナちゃん待って待って!! ユエの時と一緒で、まだ婚姻結べないって!! ツルギ、いったい誕生日いつ?!」

「ノーム2の月の5日! もう誕生日迎えてるもん!!」

 

僕らの話を立ち聞きしていたシャナが錯乱して、止めてるユタカを引っ張り、その場から去ろうとしていた。

僕はシンクと目配せして立ち上がると、シャナを二人で両側から持ち上げる。

 

「離せ、弟共!!」

 

足が地についていない宙吊りの状態で、シャナはジタバタと暴れた。

足とかが当たって痛いけど、離すわけにはいかない。

 

「姉ちゃん、落ち着けって」

「そうだよ、姉君。来年にならないと、ツルギと婚姻結べないって。今ツルギ17でしょ? あと、ツルギの事も考えなよ。シャナの事一番大事に想ってくれてるの、ツルギなんだから」

 

僕のその言葉に、シャナは見るからにシュンとなった。

取り敢えず落ち着いてくれたようで、僕らはシャナを離す。

 

「分かってるけど…それでも長いよ…」

「ただの予想だから。実際なるかはツルギ次第じゃん。というか、ツルギ何処行ってんの? シャナの隣にいないなんて珍しい」

 

尋ねると、シャナがムッとなった。

ツルギの事でこんな表情するとは、今日は珍しいものが連続して見れる日なのだろうか。

 

「…ツルギ君…騎士団で訓練してる。父様がツルギ君の歳の頃、そうやってたって聞いたらしくて。見に行ったけど、楽しそうで声かけられなくて…」

「ママから、お城で誕生日パーティーしてくれるって話聞いたから、ドレスとかの打ち合わせとかしなきゃと思って、ユエ呼びに来た途中でシャナちゃんに会ってね。こんな状態だから連れてきたんだけど…」

 

僕らの話が耳に入って、あんな事になったと。

成程成程。

 

「シャナ、少し我慢しようよ。ツルギだって、シャナの為に頑張ってんじゃん」

「うー…」

 

納得いっていない様子の姉に苦笑する。

まぁ、それはそうだろう。

堅物のツルギは、一回もシャナとデートしていないらしいとシンクから聞いた事がある。

むしろ、前世でも女性と付き合った事がないから、そんな事も知らないんじゃないか、なんて言ってはいたけれど。

 

シャナとしては、ツルギとの時間をもっと作りたかったのだろう。

それがアレである。

不満を抱こうというものか。

 

「アオ、私達パーティーの打ち合わせとかあるっぽいから、シャナちゃん連れてどっか遊びに行ったら?」

「そういえばシャナちゃん、遺跡で特大パフェをグンちゃんに奢ってもらうって話してたよね? シンクも一緒に着いていって? グンちゃんじゃ、シャナちゃんがお腹壊した時治せないから」

 

えー、と僕らは自分達の恋人を見る。

シャナと遊ぶよりは、恋人のドレス選びとか色々やってた方が楽しいのだが。

 

「お願い。ね、アオ?」

「シンク。私達の誕生日パーティーの時、髪の色戻して欲しいな。目も。私の恋人は、グンちゃんよりも格好良いんだって見せ付けたいの」

 

いや、どっちも僕だから顔の作りとか色々変わらないとは思うんだけど。

とは思ったのだが、それがユエには気に食わなかったらしい。

 

「はぁ? アオの方が格好良いですけど?」

「シンクはグンちゃんより、大人びてるじゃない。顔じゃなくて、中身の話してるの私は」

「中身も格好良いわよ、アオは!!」

 

ユタカの言葉にユエが噛みつき始め、姉妹喧嘩が勃発する。

シンクも楽しそうにクックッと笑い始めたが、止めろよお前。

 

◆◆◆

 

学園都市の一角、結構人気があるアミューズメントパーク内のお店に、その特大パフェがあった。

僕ら弟を引き連れ、シャナはウキウキでそのパフェを頼み、届いたそれのあまりの大きさに、携帯で写真を撮り始める。

 

ちなみに僕とシンクはコーヒーのみだ。

 

「うげ…甘そう…」

 

大きなグラスの中に、コーンフレークとか、アイスとか色んな味のソースとかがあって、上の飾り付けのフルーツも多種多様。

プリンも乗ってる。

それを見た瞬間、僕は顔を背けてしまった。

 

「そんな嫌な顔すんなよ、グンジョウ。大体、お前は食わなくてもいいけど、シャナが食えないってなった時の補助要員だぞ、俺は。お前より俺が嫌な顔してぇよ」

「ちょっとー、今から食べる人の横でそんな会話しないでよー」

 

ぷくー、と頬を少し膨らませて、シャナが抗議してくるが、僕が甘いの得意じゃないのわかってて連れてきてるのだから、少しくらい文句を言っても良い気がする。

というか、文句言わせろアホ。

 

僕はシンクをチラリと見る。

ユタカから、もう髪色を戻しても良いと言われた弟は、髪の色も目の色も青になっていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。