my way of life   作:桜舞

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160話『親友の娘を迎えるのだから』

うん、と頷かれたので、僕は彼女の額にキスをする。

 

「あー…パーティーまでまだ時間あるけど、化粧直ししておこうか。ごめん、言っちゃ悪いけど凄い事になってる…」

「…わかってるもん」

 

パチン、とユエが指を鳴らすと、僕が部屋に入ってくる前の物に変わった。

魔法凄い。

 

「時間回帰、出来るから」

「…待って、それなら…」

 

ちょっと下心を考え、ユエから腕をつねられる。

 

「アオ? 我慢するって話だったよね?」

「痛い! ごめん!!」

 

ユエの奴、本気でつねりやがった。

マジで痛い。

でも、いつもの彼女の様子で僕は笑う。

 

「アオ?」

「しおらしいユエなんて、ユエじゃないね。僕はやっぱり、こっちの君が好きだ」

 

そう言うと、眉が吊り上がっていたユエが、少し照れたようで眉が下がり始めた。

 

「…アオのばーか」

「はいはい、馬鹿で結構ですよ…と、時間か。行こうか、ユエ」

 

彼女に手を差し出すと、その手を取ってくれる。

とても嬉しそうに笑いながら。

 

◆◆◆

 

ユエと共にパーティー会場に着き、僕はその豪華さに内心引き攣り笑いをした。

 

どんだけ張り切ったの、母様。

 

娘なんていっぱいいるだろうに、今更娘一人増えた所でと考え僕は、はたと気付いた。

ユエは、カヅキおばさんの娘だ。

ユタカもそう。

 

親友の娘を迎えるのだから、歓迎の意を表しているのかもしれないと思った。

 

「ア…グンジョウ殿下。なんか皆様こちらを見ていて、(わたくし)とても恐縮なんですけれど…」

「君がとても綺麗だからだよ、ユエ嬢。私の婚約者は、とても美しい。皆に見せびらかしたいくらいにはね」

 

アオと言いかけて、大勢の人の前だからと口をつぐみ、淑女モードで僕に接してくるユエに、僕も王太子モードで返す。

ついでに口説くと、彼女は頬を染め目を伏せてしまう。

可愛い。

 

僕達が父様達の横に並ぶと、シンクもユタカを伴って現れる。

彼女の願い通り、シンクの髪の色は青だった。

 

ユタカのドレスの色は、青ではなく赤。

深紅の薔薇を髪飾りにつけ、シンクに手を引かれて歩いてくる。

とても仲睦まじい様子に、僕は腕にかけられているユエの手に片方の手を添えた。

 

「殿下…? どうかなさいましたか?」

「いや、二人の様子に嬉しくなってね。とても幸せそうじゃないか。そう思わないかい、ユエ嬢」

 

ユエもユタカの様子に微笑が溢れる。

 

「私達も、そうですわよね? ね、殿下?」

「勿論。君の隣にいられて、私は幸せの最中だよ」

 

あぁ、淑女モードのユエも可愛いなぁ!!

もう早く婚姻して抱きたい!!

 

ユエが僕に対して微笑を深くしたのに気付き、はいすみません、と内心謝っておく。

 

荒ぶってすみません…。

 

二人が僕らと同じ位置に来たので、父様の挨拶口上、続いてカヅキおばさんの挨拶が始まった。

 

「あまり長々話してもあれなので、単刀直入に申し上げる。シルフ1の月に殿下方の誕生祭の際、我が立花家の次女、ユエとグンジョウ殿下の婚約を発表させて頂いたが、この度長女のユタカがシンク殿下に見初められ、婚約を結ばせて頂く事になった…至らぬ我が娘ではありますが、両殿下。どうか、娘達をよろしくお願い致します」

 

カヅキおばさんが、僕らに頭を下げる。

それに、僕は返答した。

 

「安心してください、立花卿。私や弟は、自分の婚約者である彼女達を愛しています。本当に、心から。なればこそ、彼女達を慈しみ守るのは、当然の務めです」

 

僕の言葉に、シンクもうんうん頷いている。

ユタカの方は分からなかったが、ユエは僕を見上げ少し涙ぐんでいるようだった。

 

ありがとうございます、とおばさんが感謝を述べ、パーティーの開催を宣言する。

これから貴族の人達が挨拶に来るので、僕らは椅子に座った。

 

〈アオ、少しご飯食べてくれば良かったかな…お腹空いてきた…〉

〈ごめん、我慢してくれると。どうしてもの場合、具合悪くなったって言ってくれれば、退出出来るから。ユタカの方は…まだ大丈夫そうだけど〉

 

ユタカの名前を出され、ユエの負けず嫌いに火がついたようで、我慢できると返ってくる。

いや、結構それコルセット締めてるから、貧血で倒れられても困るんだけどね?

 

無理しないでね、と彼女を気遣い、僕は貴族の挨拶に耳を傾ける。

 

貴族が続々と、僕らに挨拶と祝辞を順番に述べて去っていった。

ハインリヒ家の番になり、僕は内心ギョッとする。

いつもハインリヒ家の当主が来るのだが、今回来たのはエミル君とツェリだった。

 

「グンジョウ殿下、並びにシンク殿下。ご婚約おめでとうございます。我が父に代わり、エミル・グロッシュラー・ハインリヒ、ツェツィーリエ・パパラチア・ハインリヒがご挨拶申し上げます。両殿下のご婚約者様の生誕、誠に目出度く存じます」

「我が父はどうしても外せぬ所用で、殿下方にご挨拶できぬ不甲斐なさを嘆いておりました。どうかご容赦を」

 

エミル君とツェリが僕らに頭を下げる。

良い、と父様が返すがツェリが顔を上げた。

 

「陛下、王妃殿下。後程、お話したい事が…」

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