my way of life   作:桜舞

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162話『すぐ地方に飛ばすから』

椅子に座り、メイドが持ってきてくれた軽食を二人で食べながら話す。

 

「というか、アオがキッパリ言ってくれて良かった。狼狽えたらどうしようかと…」

「え? あぁ、ツェリが側妃の話した時? 有り得ないでしょ、どう考えても。それに、僕は君との子供は欲しいとは思うけど、別に強制じゃなくても良いとは思ってるんだ。出来たら出来たでいいし、出来なかったら僕以外にも兄弟姉妹が多いんだから、その子供に継がせれば良い。僕はユエと、ずっと一生一緒に過ごせれば、それだけで良いんだよ」

 

彼女に笑いかけると、ポロポロとまたユエは泣き出した。

 

今日は涙腺弱いのかな?

 

ハンカチはもうないので、ワイシャツの袖で涙を拭ってやる。

 

「アオ、私…っ!」

「うん。周りから何か言われるかもしれないし、君に対して言ってくる連中もいるだろう。でもね、ユエ。出産って、すごく痛いらしいんだ。話を聞くところによると。そんな痛い事、君に経験させたくはないかなぁ、ってちょっと思うんだよね」

 

母様は痛覚遮断で、僕とシャナ以外を産んだって話してたし、僕らを産んだ時の話なんて、

 

「1人だって診断だったのに、全然激痛が治らないからなんだと思ったら2人目いるって言うのよ? 有り得なくない? すっっっっごく痛かったんだから!!」

 

と聞かされた事があるので、そんな苦しみをユエに味合わせたくない。

 

「そんな事いう連中、君に二度と近づけたくないから言われたら言ってね。王の権限で、すぐ地方に飛ばすから」

「アオ、それは暴君すぎるよ…ふふ…でも、ありがとう。大好き、アオ」

 

僕も、と言って彼女の手の甲に口付ける。

 

軽食を食べ終えた僕は立ち上がり、上着と軽食が乗っていた皿を持った。

もうそろそろ招待客達も帰っただろうし、誕生日だからと今日は訓練も免除されている。

と、誕生日で思い出したので、僕は皿をもう一度テーブルに置き、ポケットに手を入れた。

 

「アオ?」

「ユエ、17歳の誕生日おめでとう。これ、実はシルフ3の月のデートの時に渡そうと思ってたんだけど、渡せなくて。遅れちゃったけど、受け取ってくれる?」

 

ポケットから出した小さい小袋を、ユエに渡す。

何だろうと首を傾げた彼女は、僕に開けて良いか尋ねてきた。

頷くと、ユエは小袋を開けて手のひらに出す。

コロコロと彼女の手に落ちてきたのは、ペリドットのノンホールピアス。

ペリドットは、ユエの誕生石である。

 

「これ…」

「君の誕生石をノンホールピアスにした物。そんなに高価じゃないから、無くしても別に大丈夫だよ」

 

無くすわけないじゃん!

そう言って彼女は、一つを自分の右耳につけ、もう一つを僕に近寄って、同じく右耳につけた。

 

「ユエ?」

「お揃い。また増えたね、アオ。えへへ…嬉しい。でも、アオ…赤いやつ付けてるけど、これは?」

 

左につけてるノンホールピアスが気になったようで、ユエが尋ねてくる。

 

「あぁ、これ? 幼等部に入る時に泣いていた僕とシャナに、母様がくれたお守り。こういう、式典とかあった時につけるようにしてるんだよ」

「じゃあ、私もこれお守りにするね。アオが守ってくれてるって、感じられるから」

 

傍にいるんだけどなぁ…。

まぁ、心理的にって話ならそれは良いか。

 

「じゃあ、僕はそろそろ部屋に帰るね。おやすみ、ユエ」

 

皿を持ち、彼女の部屋を後にしようとする。

 

「おやすみなさい、アオ。また夢で逢えたらいいね?」

 

最近夢も見ないで寝てるから、ユエが夢渡り出来ないと嘆いていたっけ。

 

「そうだね。また夢で、ユエ」

 

今度はちゃんと部屋を退出し、通りかかったメイドに皿を返却した。

そのまま自室に帰り、ソファーに上着を投げ、ベッドに倒れ込む。

 

「やべぇ…くそねみぃ…」

 

これはまた夢見ないで寝そう。

ごめんユエ…明日の朝謝るから、許して欲しい…。

 

僕は掛け布団を羽織る事も出来ず、そのまま眠りに落ちた。

 

◆◆◆

 

目を開ける。

僕は、何処かのホームに立っていた。

周りが全て灰色で、人は誰もいなかったが。

 

「ここは…」

 

夕陽の記憶で見た、あの時の…。

 

僕はハッとなって、記憶を頼りに雪那がいるであろうホームに走る。

人がいないおかげで、すんなり辿り着く事が出来たが、雪那の背中を桃華が押そうとしている所だった。

 

「っ!! 雪那ぁっ!!」

 

僕の叫び声に、彼女が振り向いた。

そして呟く。

 

「アオ…?」

 

振り向いた彼女は、雪那ではなくユエで。

叫び声に振り向き、目の前で自分を押そうとしている桃華の腕を掴んで、スイングで来ていた電車の前へ、彼女を投げた。

 

反動で倒れかけるユエを、僕は抱き止める。

 

「ユエ?! なんで…」

「…多分、ここ私の方だ。アオの夢じゃない…」

 

ユエも驚いているようで、電車に轢かれたであろう桃華の方を見ていた。

 

「いつも、こんな夢見てるの?」

「いつもじゃないけど…たまに。びっくりして飛び起きる事あるんだけどね。でも、アオ…助けてくれてありがとう。声掛けられなかったら、多分また落ちてた…」

 

僕は、強く彼女を抱きしめる。

今度は、助けられて良かったと思いながら。

 

「何回でも、助けるよ。これは、僕の後悔でもあるから」

「アオ…うん。大好き」

 

僕らは口づけを交わす。

 

ユエが悪夢を見るなら、僕は何度だって彼女を救ってみせる。

僕の愛しい人が苦しむなんて、耐えられないから。




蛇足を書きすぎるなぁ…
勝手に喋るから、困るんだが
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