my way of life   作:桜舞

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163話『アンナ…パペッターだったのか』

イフリート3の月。

残暑が厳しい中、新学期が始まった。

 

父様の公務でカヅキおばさんが着いていき、残すのが心配だからと母様も連れて行ったので、今回の訓練は分身体のおばさん一人だと、僕らは思い込んでいた。

 

「…なんで、リーゼ達がいるんですかね…」

 

ぐっぐっ、と準備運動をしているリーゼやアンナ、スイカ君を見つつ、僕はカヅキおばさんに尋ねる。

 

「そんなの訓練だからに決まっているだろう」

「いや、そうなんですけど…」

 

今夜中なんだよなぁ…いくら明日が休みだからって、起こしてて良いのか?

成長に害にならない?

僕らはもう成長しきってるから良いとしても…。

 

うーん、となっている僕の服を、誰かが下から引っ張ってきた。

下に目を向けると、アンナが僕を見上げている。

 

「どうかした、アンナ?」

「グンジョウお兄様。絶対負けませんから」

 

アンナの負けず嫌い、誰からの遺伝だろうか。

母様かな?

いやぁ、闘争心が素晴らしいね。

僕には無理。

なんで小さい子って、こんなに元気一杯なんだろうか。

分けて欲しい。

 

「アオ、考えがじじくさい…」

「考え読まないでもらって良いかな、ユエ…」

 

僕の傍に寄ってきていたユエが、僕の思考を読んだようでそう呟き、やめて欲しいと彼女に伝える。

 

ぱんぱん、とおばさんが手を鳴らし、訓練開始を告げてきた。

先頭をツルギとユタカ、次に僕、ユエ、最後尾にシンクとシャナという、いつものフォーメーションになる。

 

「では、敵が幼い子供を使って襲撃してきた想定で戦闘訓練を行う。リーゼ、アンナ、スイカ。遠慮はいらん。胸を借りるつもりで、本気で行け」

「「「はい」」」

 

リーゼはおもむろにカーテシーをしたかと思うと、スカートの中から何本もの剣を出現させた。

スイカ君も片腕を挙げると、大量の収納空間からこれまた大量の人形が出現し、それをアンナが素早く自分の糸で操って、リーゼが出した剣を掴んでいく。

 

「妹達のスキル見た事無かったんだけど、アンナ…パペッターだったのか」

「リーゼちゃんは何だろ、収納系?」

 

スイカ君のスキルはあの収納空間だろう。

アンナの人形を、大量に保管出来ているのだから。

 

人形にほぼ持っていかれたが、リーゼは一対の剣を出し、両手に持つ。

それを見た僕は、ニヤ、と笑った。

 

「アオ?」

「いや、リーゼも僕と一緒かって思ったら面白くて。今まで両手剣なんて、桃華くらいしかいなかったじゃないか」

 

桃華の名前を出した事に、ユエの眉が少しだけ吊り上がる。

うん、気に食わないのは重々承知してはいるが、ごめん。

本当に面白かったんだよ。

実の妹が、自分と同じで。

 

「アンナちゃん、行きますよ?」

「はい、リーゼお姉様。スイカ!!」

「任せて、アンナちゃん!」

 

スイカ君は更に大量の人形を呼び出し、アンナが僕らに襲わせる。

それと同時にリーゼが飛び上がり、僕に狙いを定めて上から斬りかかってきた。

それをブランシュとノワールを交差させて防ぐ。

 

「流石グンジョウお兄様ですね」

「リーゼ、君飛び上がるなんて少しはしたないんじゃないかい? スカートの中が見えそうだった、よ!!」

 

膂力で、リーゼを弾き飛ばした。

妹はクルクルと空中で回転して地面に着地する。

 

「ご心配なさらなくても、ちゃんと履いてますよ?」

 

スカートの裾をつまんで、持ち上げようとする妹を、僕は制止した。

 

「リーゼ、スカート上げて見せようとしないの。それこそ、はしたないって母様に叱られるよ、それ」

 

ちょっと兄として、本当に心配になるんだけど。

そんな会話をしていると、シンクの方から怒鳴り声が聞こえる。

 

「グンジョウ!! 何のんびりリーゼと喋ってるんだ!! 集中しやがれ!!」

 

そちらに目を向けると、カヅキおばさんがシンクとシャナへ攻撃を仕掛けていた。

二人も応戦してはいるが、分が悪そうだ。

ツルギとユタカ、ユエは襲いかかってくる大量の人形へ、魔法を使って戦闘を行っている。

 

「グンジョウお兄様、油断してるといくらお兄様でも私に負けると」

「誰が油断していると言った、リーゼ」

 

僕は脚力強化をし、妹の懐に入り込むとその腹部を思い切り殴り上げた。

腹を抱えて蹲るリーゼの頭を踏み付け、僕はシンクに尋ねる。

 

「シンク、あとどれくらい保ちそうだ?」

「結構ギリギリだっての!! やるなら早くやれ、グンジョウ!!」

 

リーゼが倒れた事により、僕に人形達が襲いかかってきた。

 

母様曰く。

母様が生前住んでいた国から、遠い場所にあるイギリスという国に、ある伝承があるという。

僕のスキルは、その伝承の中の一節。

 

湖の騎士が、敵の策にハマり丸腰で戦わねばならず、足元にあった樫の木の枝で応戦し、勝利した。

そんな逸話のスキル。

どんな武器でも、自分の物に出来るというとんでもスキルだ。

 

このスキルが発現した時、同じスキルを持っていた冬夏さんに、母様は僕を預けた。

 

自分の手に負えないからと。

 

だからこそ、冬夏さんにこの力の使い方を教えてもらい、とんでもないからこそ今の今まで使わずにいたのだ。

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