my way of life   作:桜舞

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164話『思考読まないでくれませんかね立花卿』

人の武器を獲れるなんて、相手からしたらたまった物ではないと思ったから。

だが、今はそうも言っていられない。

 

使えるものは全て使わないと、僕はカヅキおばさんにも勝てないし、みんなを守れない。

 

Ritter sterben(騎士は無手で) nicht von Hand(死なず)

 

僕はそう言い、アンナの人形に触れる。

人形が青黒く染まり、僕に襲い掛かろうとしていた動きを止めて、他の人形を襲う。

襲われた人形が他の人形にも触れ、連鎖的に青黒い人形が増えていく。

 

「え、嘘っ?! なんで?!」

 

人形を操ろうと手を動かすアンナだったが、逆に人形に襲われ、スイカ君と共に拘束された。

気絶しているであろうリーゼの方にも、数体向かわせ拘束する。

これでフリだったら大変な事になると思ったので。

 

大量の人形達がカヅキおばさんに襲いかかる。

おばさんは闇魔法を駆使して、人形達を影へ落とし屠ってはいたが、何分スイカ君が大量に出したので、人形達が山のように折り重なっていった。

僕は人形達を踏み台にしつつカヅキおばさんに上空から接近し、おばさんの背後に回ってその首にノワールを添える。

 

「…ほう、考えたなグンジョウ。だが」

「影がある所、自分の領域って言うんでしょう、おばさん…演算処理を人形を屠るのに費やしていると見えます。でなければ、僕の接近を許すわけがない」

 

クッ、とおばさんは笑い、次いで高笑いを始めた。

一体何をするつもりなのだと警戒したが、ただの高笑いだったようだ。

指を鳴らし、あれだけ折り重なっていた人形を一瞬で消してしまう。

 

これだから転生者って奴は。

規格外すぎるだろ。

 

「アオ、無事?!」

 

カヅキおばさんの首元に剣を添えてるんだけど、無事に決まってるだろうに。

まぁ、油断はしてないけど。

何するかわからないのが、カヅキおばさんだし。

 

「クックックッ…言うようになったじゃないか、グンジョウ」

「何も言ってないし、思考読まないでくれませんかね立花卿…今回は僕らの勝ちという事で宜しいですね?」

 

良いだろう、とおばさんは降参だとでも言うように、両手を上げた。

 

「状況終了だ、お前達。リーゼ、お前は体を鍛えるべきだな。先程の動き、アンナの糸で操ってもらっていただろう。自力で出来るようになれ。スイカ、お前も戦闘に参加しろ。何のための専属護衛だ、アンナに戦闘をさせるな馬鹿者。それとアンナ」

 

おばさんはアンナの方を見、少し目を見開く。

何をそんなに驚いているのだろうかと、僕も妹の方を見ると、あの気丈なアンナが目に涙を溜め、唇を引き結んでいた。

 

「あー…自分の悪い点は、言えるか?」

「…物量にあぐらをかいて、お兄様達の動きを全く見ておらず、勝利を確信した事…です…。

うぅ…っ!! ……悔しい……悔しい…っ!! 

スイカぁ…っ!! うわぁぁあんっ!!」

 

その場で泣き出してしまった妹に、スイカ君は自分を拘束していた人形をその細腕で吹き飛ばし、アンナに近寄ると抱きしめる。

 

「アンナちゃん、僕達まだ成長途中だから。これからもっともっと強くなって、殿下達だってボッコボコに出来るよ」

「いや、私達だって鍛えモゴ」

 

ユエが何か言いかけたのを、カヅキおばさんから離れた僕は口を塞ぐ事で止めた。

流石に今は、正論で刺さない方がいいと判断した為だ。

 

「わーい、勝てたー!」

「これで白星一点か。いやぁ、次は使えねぇ手だな、グンジョウ?」

 

喜んだシャナが僕の後ろから抱きついてきて、シンクは僕の肩に腕を回してニヤついている。

 

「次も同じ手なんてつまらないだろ? 創意工夫していかなくちゃね」

「言うようになったねぇ、グンちゃん。流石、私達のリーダー!」

 

ユタカもニコニコ笑い、その隣でツルギもうんうん頷いていた。

 

「そういえばアオ、さっきのスキル…」

 

ユエが僕に尋ねてくるが、僕は何も言わず苦笑を返す。

 

僕はこのスキルがあまり好きではない。

人の物を獲るという行い自体、良くない事だと思っているから。

それを冬夏さんに言った事があるが、甘ちゃんだのなんだの言われてしまったのは、苦い思い出である。

 

「グンジョウのスキルだろ。まぁ、俺も持ってるけど使い所なくてよ。やっぱあれ、前線向きだよなぁ」

「持ってるんなら、お前が前に行くかシンク?」

 

僕の問いに、冗談、と言って弟は嫌な顔をした。

 

まぁ、魔法があまり使えず、内燃機関を回して戦闘する僕と、外部出力が得意で、それを戦闘に活かせるシンク。

入れ替えでやったら、結果なんて目に見えるだろう。

 

絶対、すぐに負ける。

有無を言わさず負ける。

それこそ、僕とシンクだけでユエ達と模擬戦をした所で負け確である。

 

「話は終わったか? さて、お前達に行ってもらいたい所がある。場所はザイクン火山。魔王の遺物の反応がそこから検出された。前に持って帰ってきてもらった遺物の研究も進んでいてな。今回は何かまで判明している。十中八九、魔棍だ」

 

おばさんは胸ポケットからエリクシールを取り出し、火を付けて吸い始めた。

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