人の武器を獲れるなんて、相手からしたらたまった物ではないと思ったから。
だが、今はそうも言っていられない。
使えるものは全て使わないと、僕はカヅキおばさんにも勝てないし、みんなを守れない。
「
僕はそう言い、アンナの人形に触れる。
人形が青黒く染まり、僕に襲い掛かろうとしていた動きを止めて、他の人形を襲う。
襲われた人形が他の人形にも触れ、連鎖的に青黒い人形が増えていく。
「え、嘘っ?! なんで?!」
人形を操ろうと手を動かすアンナだったが、逆に人形に襲われ、スイカ君と共に拘束された。
気絶しているであろうリーゼの方にも、数体向かわせ拘束する。
これでフリだったら大変な事になると思ったので。
大量の人形達がカヅキおばさんに襲いかかる。
おばさんは闇魔法を駆使して、人形達を影へ落とし屠ってはいたが、何分スイカ君が大量に出したので、人形達が山のように折り重なっていった。
僕は人形達を踏み台にしつつカヅキおばさんに上空から接近し、おばさんの背後に回ってその首にノワールを添える。
「…ほう、考えたなグンジョウ。だが」
「影がある所、自分の領域って言うんでしょう、おばさん…演算処理を人形を屠るのに費やしていると見えます。でなければ、僕の接近を許すわけがない」
クッ、とおばさんは笑い、次いで高笑いを始めた。
一体何をするつもりなのだと警戒したが、ただの高笑いだったようだ。
指を鳴らし、あれだけ折り重なっていた人形を一瞬で消してしまう。
これだから転生者って奴は。
規格外すぎるだろ。
「アオ、無事?!」
カヅキおばさんの首元に剣を添えてるんだけど、無事に決まってるだろうに。
まぁ、油断はしてないけど。
何するかわからないのが、カヅキおばさんだし。
「クックックッ…言うようになったじゃないか、グンジョウ」
「何も言ってないし、思考読まないでくれませんかね立花卿…今回は僕らの勝ちという事で宜しいですね?」
良いだろう、とおばさんは降参だとでも言うように、両手を上げた。
「状況終了だ、お前達。リーゼ、お前は体を鍛えるべきだな。先程の動き、アンナの糸で操ってもらっていただろう。自力で出来るようになれ。スイカ、お前も戦闘に参加しろ。何のための専属護衛だ、アンナに戦闘をさせるな馬鹿者。それとアンナ」
おばさんはアンナの方を見、少し目を見開く。
何をそんなに驚いているのだろうかと、僕も妹の方を見ると、あの気丈なアンナが目に涙を溜め、唇を引き結んでいた。
「あー…自分の悪い点は、言えるか?」
「…物量にあぐらをかいて、お兄様達の動きを全く見ておらず、勝利を確信した事…です…。
うぅ…っ!! ……悔しい……悔しい…っ!!
スイカぁ…っ!! うわぁぁあんっ!!」
その場で泣き出してしまった妹に、スイカ君は自分を拘束していた人形をその細腕で吹き飛ばし、アンナに近寄ると抱きしめる。
「アンナちゃん、僕達まだ成長途中だから。これからもっともっと強くなって、殿下達だってボッコボコに出来るよ」
「いや、私達だって鍛えモゴ」
ユエが何か言いかけたのを、カヅキおばさんから離れた僕は口を塞ぐ事で止めた。
流石に今は、正論で刺さない方がいいと判断した為だ。
「わーい、勝てたー!」
「これで白星一点か。いやぁ、次は使えねぇ手だな、グンジョウ?」
喜んだシャナが僕の後ろから抱きついてきて、シンクは僕の肩に腕を回してニヤついている。
「次も同じ手なんてつまらないだろ? 創意工夫していかなくちゃね」
「言うようになったねぇ、グンちゃん。流石、私達のリーダー!」
ユタカもニコニコ笑い、その隣でツルギもうんうん頷いていた。
「そういえばアオ、さっきのスキル…」
ユエが僕に尋ねてくるが、僕は何も言わず苦笑を返す。
僕はこのスキルがあまり好きではない。
人の物を獲るという行い自体、良くない事だと思っているから。
それを冬夏さんに言った事があるが、甘ちゃんだのなんだの言われてしまったのは、苦い思い出である。
「グンジョウのスキルだろ。まぁ、俺も持ってるけど使い所なくてよ。やっぱあれ、前線向きだよなぁ」
「持ってるんなら、お前が前に行くかシンク?」
僕の問いに、冗談、と言って弟は嫌な顔をした。
まぁ、魔法があまり使えず、内燃機関を回して戦闘する僕と、外部出力が得意で、それを戦闘に活かせるシンク。
入れ替えでやったら、結果なんて目に見えるだろう。
絶対、すぐに負ける。
有無を言わさず負ける。
それこそ、僕とシンクだけでユエ達と模擬戦をした所で負け確である。
「話は終わったか? さて、お前達に行ってもらいたい所がある。場所はザイクン火山。魔王の遺物の反応がそこから検出された。前に持って帰ってきてもらった遺物の研究も進んでいてな。今回は何かまで判明している。十中八九、魔棍だ」
おばさんは胸ポケットからエリクシールを取り出し、火を付けて吸い始めた。