my way of life   作:桜舞

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168話『国にとっても痛手』

「言い訳はいい。出来るか出来ないかだけ言って。イフリート達には無限の時間でも、あたし達にはそんな悠長に待ってる暇ないんだってば」

 

はっきり言うなぁ、流石精霊の愛し子。

我が姉ながら、四大狼狽えさせるとか正気とは思えないよ。

 

「グンジョウ、煩い」

「すみません姉君」

 

おっと、無意識の思念が行っていたようだ。

シャナに睨まれてしまったので、僕は両手を上げる。

 

「イフリート?」

 

僕からイフリートに目を向け、シャナは彼の名を呼ぶ。

わかった、とイフリートは言いその両手を叩いた。

 

〈これで、マグマの活動は止めた。まったく、愛し子は…本当に、あの娘の子よな…〉

「何、母様の悪口?」

 

ギロ、とシャナの眼光が鋭くなる。

 

母様から聞いた事があるが、初めてミラ様に会いに行った時、母様はシルフとイフリートと戦った事があるという。

半ば無理矢理だったけど、なんて母様は笑っていたが、四大と戦って勝ってる母様って…と、その当時は思ったものだ。

 

「シャナ、もうそろそろ昼だ。遅くても、訓練前に帰らねぇと」

「そうだね。ありがとう、イフリート。帰って良いよ」

 

扱いが、と少ししょんぼりしながらイフリートは消える。

イフリートにちょっとだけ同情しながら、僕らは溶岩地帯に足を踏み入れた。

 

「うわ…これで鎮静化してるってのか? 落ちたら一たまりもねぇじゃねぇか…」

 

人が通れる道ではあるが崖下はマグマの海で、シンクの言う通り、落ちたらなす術もなく即死な事は想像に難くない。

それに、鎮静化しているとはいえ熱風は凄まじく、長時間活動していたら全身火傷する事間違いなしである。

 

「流石に、これはねぇ…」

「ユタカちょっと魔力貸して」

 

ユエがユタカに手を差し出す。

何をする気なのかわからないが、ユタカは素直にユエの手を握った。

 

「仄白き氷結の王、眼下に猛る焔を鎮めたまえ。絶対零度(アブソリュートゼロ)

 

氷結魔法をユエはマグマに撃つ。

その手があったか、とシンクは呟き、弟もマグマに氷結魔法を撃ち始めた。

 

「…これ、大丈夫なやつ?」

「さぁ…?」

 

僕の疑問に、ツルギが首を傾げる。

数分後マグマはすっかり冷えて固まってしまい、若干の寒さと、マグマの光源が無くなった事により暗くなってしまった洞窟内で、シャナが(レイ)を使って光源を確保してくれた。

 

「よし、これで落ちても平気になったな」

「…後でイフリートに元に戻してもらってね、シャナ。流石に、観光地潰すのは国にとっても痛手だろうから」

 

当たり前でしょ、と返す姉だったが、言わなかったら絶対忘れてるはずだ。

だってシャナだし。

 

「じゃあ、反応あったって辺りまで降りてみるか。というか、結構道分かれてるな…グンジョウ、スキルで分かったりしねぇ?」

「そんな万能ではないのは、お前も分かってるだろ。むしろお前がやれよ。僕と同じスキル持ってるんだから」

 

へーへー、とシンクは収納空間から、昨日見た人形を数体取り出し始めた。

どう見てもアンナの人形だ。

こいつ、パクってたのか…いつの間に。

 

「シンク…」

「あそこに放置されてた奴を持ってきただけだっての。そんな非難がましい目で見んなよ、グンジョウ。大体、これはアンナにとって消耗品扱いだ。それを有効的に使ってやろう、って話なだけだろ?」

 

それはそうなのだが。

そして、普通に見ていただけなのだが、僕そんな目つきになっていたのか。

気をつけないと。

 

眼鏡を外し、僕は目頭を押さえつつそこを揉む。

ユエが心配したのか、僕の腕に触れてきた。

眼鏡を掛け直し、僕は彼女に微笑む。

 

シンクはそんな様子の僕らに肩を竦め、人形にスキルを使った。

人形が、僕がスキルを使った時と同様青黒く染まっていき、1人でに動き出す。

 

「お前はあっち、お前はこっち。マッピングも兼ねてるから、行き止まりなら引き返して別の道を。良いか、危険があったらすぐに知らせろ。行け!」

 

シンクの支配下にある人形達が方々に散っていく。

僕はそれを見つつ、弟に聞いた。

 

「なぁ、シンク。僕らの能力って、無機物にしか効かないのかな?」

Ritter sterben(騎士は無手で) nicht von Hand(死なず)? じゃねぇ? 大体、逸話がそうだろ? 有機物相手なんて、想像出来ないけど」

 

だよな。

もし、桃華が出した魔獣とか支配下に置けたら、戦闘も多少は楽になるんじゃないかと思ったんだけど、そう簡単な話ではないか。

 

そうシンクと話していると、ツルギが挙手する。

 

「あの、なんで魔王は遺物を集めているんでしょうか? そんな事をしなくても、魔獣とか色々呼び出して、総力戦をした方が…効率がいい気がして」

「確かに。何でだろう…桃華に聞いた方が早い気がするけど」

 

桃華の名前を言った瞬間、ユエが僕に抱きついてくる。

僕がその名前を口に出す事が嫌なのだろう。

抱きついてきた彼女の頭を、僕は優しく撫でた。

 

「ん? 反応が消えた…ここか。グンジョウ、場所わかったぞ。マッピングも終わった。最短距離で行くぞ」

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