my way of life   作:桜舞

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171話『ちゃんと説明はする』

ゴウッ、と音がしてユエが炎の魔法を僕ら目掛けて撃ってくる。

ユタカがそれを防御魔法で防いだが、彼女とシンク、両方からユエは怒鳴られた。

 

「ユエ何やってんの?! 攻撃魔法とか正気?!」

「ユエ!! ユタカに当たったらどうすんだ!! グンジョウは平気でも、ユタカは火傷負うだろ馬鹿か!!」

 

あぁ、うん。

炎属性だからね、僕。

それを理解してるから、ユエも炎の魔法使ったんだろうし。

ここ火山だから、炎を出した所で問題ないと思ったんだろうけど。

 

いや、流石に二人きりの時にしてもらいたかったかな、それ。

批判されるの当たり前だろうに。

僕擁護できないよ、ユエ。

 

「アオが桃華に会ってたなんて、私聞いてない!! アオの浮気者!! 私より妹の方がいいんでしょ?!」

「……シャナ、ユエ錯乱してるっぽい。眠らせてあげて」

 

確かに、皆に桃華と会ったことは言ってなかった。

だが、彼女にそこまで罵られる事だろうか。

いや、周りの視線から見れば罵られても仕方がないのか。

 

シャナはやれやれと肩を竦め、ユエにスリープの魔法をかけた。

ガクン、と眠りに落ちて体勢を崩した彼女を、シンクが抱き止める。

 

「後で事情話してよね、グンジョウ。ちゃんと、ユエちゃんにも説明しなさい。いい?」

「うん、分かってるよシャナ」

 

地上に降り、シンクはユエを渡してきた。

彼女を抱き抱えると、弟は僕の額にデコピンをしてくる。

 

「いって!」

「魔法ぶっ放したユエも悪いけど、今回はお前も悪いってわかってるか?」

 

それは勿論理解していた。

ユエに隠し事をしてるつもりは全くなかったが、結果的にそうなってしまったのだから。

 

僕は頷き、ユエの頭を撫でた。

 

僕の行動や、魔法を使用した事、桃華と対峙して精神的に疲弊してしまっていた事。

魔法に対して耐性があるユエが、ここまで深く眠ってしまったのは、僕のせいだ。

 

「…ちゃんと説明はするよ。みんなにも、彼女にも」

「そうしてくれや。あー、疲れた。魔棍も破壊したし、早く帰ろうや。ちょっと寝ねえと、夜の訓練勝てねぇわマジで」

 

大きな欠伸をしながら、シンクは歩いていたユタカの横に並ぶ。

僕はユエを抱きしめ、ごめん、と彼女に謝った。

 

◆◆◆

 

みんな少し仮眠してから、夜の訓練に挑む。

結果的に言えば、引き分けに持ち込めた。

昨日の訓練では勝てたのだが、やはりカヅキおばさんである。

前回はおばさんだけでなく、妹達も一緒だったからだろう。

手加減に手加減を加えられていた状態だったらしい。

 

まぁ、スパルタな母様がここにいたら、結果はまた違っていただろうが。

 

今日の事もあり、明日の早朝訓練は無しになり、僕らは寮へと引き上げる。

そして次の日、何も言わずとも皆早起きをし、僕とシャナの部屋に集まった。

 

皆の視線が僕に集まる中、あの別荘であった出来事を話す。

シャナやツルギ、ユタカは少し痛ましい顔で僕の話を聞いていたし、シンクは難しい顔をして腕を組み、ユエは少しムスッとしていた。

 

「…あの時にあった事は、これで全部だよ」

「で、お前どーすんの? 桃華を殺すのか?」

 

シンクが僕に問う。

僕は少し目を伏せ、わからない、と答えた。

 

「同情はしたくない。桃華は、僕から雪那を奪った。でも、あの様子を見ていると…どうしても憐憫を覚えてしまう。前の僕…夕陽の記憶を思い出すと、桃華が狂っていく前兆は、感じていたんだ。感じていて、見て見ぬふりをしていた。自分の妹がそうなるはずがない、きっと気のせいだって。ちゃんと、桃華と向き合っていたら…雪那は死なずに済んだ。全部、僕のせいだ。謝っても、謝りきれないと思っている」

 

僕はユエに頭を下げる。

ユエの前世である雪那を、僕が殺したと言っても過言ではなかった。

今、桃華をどうしたいのか、僕はハッキリとは答えられない。

 

桃華の、妹の心情を知ってしまった今、ただ憎いだけではなくなってしまったのだから。

 

「夕陽君のせいじゃない。桃華が自制出来なかったのが悪い。だいたい、かまってちゃんじゃないの桃華の奴。なぁにが、子供だった、だ。それで私を殺してるんだから、立派な犯罪者じゃない。あの時、桃華16でしょ? 何をしたらどうなるかなんて、思考出来てないわけないじゃない。アオ、私達は何も悪い事なんてしてなかった。ただ付き合って、幸せに過ごしてただけじゃない。それを壊したあいつを、私は絶対に許さない」

「…ユエ」

 

ユタカが少し落ち着けとでもいう風に、ユエの名前を呼ぶ。

ふん、と言いながら、彼女は顔を背けた。

 

「…まぁ、取り敢えずこの話は保留って事で。シャナ、腹減ったー。弟が腹すかしてるぞー。なんか作ってお姉ちゃーん」

「なんでそんな棒読みなのかなぁ?! 言っとくけど、あたし和食は作れても洋食はからっきしなんだからね! ユエちゃん、ユタカちゃん手伝って! 三人でやれば早く作れるから!」

 

シャナは立ち上がり、ユエとユタカとキッチンスペースに行く。

僕ら男性陣は料理が出来上がるまで、テーブルの隅で大人しく待つ事にした。

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