my way of life   作:桜舞

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175話『結構衝撃あって、痛い』

「一体何用だ、俺は見ての通り忙しい。お前に構っている暇などない」

「そう言うなよ、血を分けた兄弟なのにつれない事言わないでくれ」

 

僕はただの紙を見つつ、それを傍にいたツルギに渡す。

 

このシーンは、マフィアのボスである僕が、話をしている時に殺されるというシーンらしい。

 

ニヤニヤ笑っているシンクに、僕はルトルが褒めたあの目を向けた。

 

「だからなんだと言うんだ。血を分けた兄弟? そんなものになんの意味がある。そんなくだらない事を言う為に、俺の時間を割いているというのか? 愚かなのも良い加減に」

「良い加減にするのはテメェだ」

 

シンクが懐から銃を取り出し、僕へ向けて発砲する。

最初に僕を庇ったツルギが、破裂音の後血糊を噴き出し倒れ、更にシンクが僕を撃つ。

 

僕も着ている服から血糊が噴き出し、椅子から力なく落ち、ツルギに覆い被さるよう倒れる演技をした。

 

ちなみに、今僕はシンクに似せる為に眼鏡を外していた。

視力はシャナとリンクを繋いで上げている。

 

「はいカーット!」

 

ルトルの声で、カメラが止まった。

僕はすぐ、ツルギの上から退く。

 

「ごめん、ツルギ。重かっただろ」

「いえ…それより、軽めの火薬使って血糊を破裂させるって…結構衝撃あって、痛いんですね。驚きました…」

 

それは僕も驚いた。

爆竹みたいなものだよ、なんてルトルは説明していたけど、結構痛いじゃないか。

 

「だろ? いやぁ、ユタカに殺されるって初めての経験だけど、これは流石に嫌だなぁ。すっげぇ痛ぇでやんの」

「お芝居でしょ、シンク。私が貴方を殺すわけないじゃない。というか、迫力が凄すぎて…本当に今起こったのかと錯覚しちゃったよ。ここにユエがいなくて良かったね、グンちゃん。絶対泣き叫んで、これもう一回やる羽目になってたよ」

 

この血糊爆弾、もう一回は流石に嫌かな…。

 

僕は服をめくって、それが仕掛けられていた場所を見る。

若干肌が赤くなっており、僕は眉を顰めた。

 

「ルトル、もうちょっと威力抑えられなかったのか」

「派手に血を噴き出すシーンだからね、無理だよ」

 

飄々と言ってのけるルトルに更に文句を言いたくなったが、後ろからシンクとシャナに肩を掴まれ、首を横に振られる。

 

言っても無駄なのは幼等部の頃からの付き合いなのでわかってはいたから、僕はため息を吐くに留めた。

 

残りの僕の出番は、シンクの回想シーンと、ほんの少し。

ツルギは僕と出る事が多かったので、すぐクランクアップしていたが、僕はユエとの絡みもあるのでアップはもう少しお預けだ。

他のメンバーも撮り終わらないと魔王の遺物の探索には戻れないので、僕は仕方なしにシンクの撮影を見ていく事にする。

ユエに会いに行きたいが、今体調不良で寝込んでる彼女を起こすのは忍びない。

 

今回のシーンは、貴族令嬢であるユタカに自分がマフィアである事、そして利用していただけだと愛人であるシャナやドミノさんを侍らせながら告げるシーンだ。

 

「お前はただの駒なんだよ、俺を更に上にいかせるためだけの、な」

 

シンクの言葉に、ユタカが泣きそうな表情でその場に(くずお)れる。

そんな彼女の様子を見つつ、シャナが笑い出した。

その顔はユタカを本気で嘲笑っているかのようで、姉の表情を見た僕は驚く。

 

どこが大根なんだよ、シャナ。

完璧に演技出来てるじゃないか。

 

「クスクス…可哀想ぉ。でも、利用されている間は良い夢を見れていたでしょう?」

「私達みたいに美しくないのだから、利用してくれてありがとうございます、と頭を他に付けて感謝を述べるべきよね」

 

シンクの太ももにしなだれ掛かったドミノさんの服は、赤いミニスカートのドレスに背中も肩の布地もないものでフリルだけがふんだんにスカートへ施されている。

シンクの精神力の高さに、僕は脱帽する他ない。

 

シャナはともかく、ドミノさんにしなだれ掛かられていたら、動揺して演技どころではなかっただろう。

 

本当に、ここにユエいなくて良かった…絶対思考読まれて喧嘩になっていた筈だから。

 

「そ、そんな…」

「…っ!!」

 

ユタカがポロポロと涙を流し始める。

そんな彼女を見て、シンクが動揺を露わにした。

 

「カット!」

「……すまん」

 

ルトルの声を聞き、シンクは自分の口元に手を当て項垂れる。

シンクはここまで全くNGを出さずに来ていたのに、やっぱり好きな子の涙は動揺するよな。

 

シャナとドミノさんがシンクから離れ、ユタカが駆け寄ってシンクを抱きしめた。

 

「シンク、本気で泣いてるわけじゃないから動揺しないで。大丈夫だから。もう…本当に私の事になると、冷静でいられなくなるね」

「ごめん、ユタカ…ちょっと、撮影止めて…」

 

シャナがルトルに少し休憩するよう伝えに行き、僕は座っていた椅子から立ち上がり、シンクの所に向かう。

ユタカを強く抱きしめていたシンクを見つつ、弟に声をかけた。

 

「大丈夫か、シンク。この場面だけ変わろうか?」

「…シャナと絡むけど…あと、ドミノ…」

 

それはまぁ…仕方ないというかなんというか。

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