my way of life   作:桜舞

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181話『お姉ちゃんとチューする?』

「アオ」

 

ユエが僕の唇を自分ので塞ぐ。

いつもより体温が下がっているユエの唇が、僕の頬に添えられている手が冷たくて、このまま雪みたいに彼女が消えてしまうのではと、錯覚してしまった。

 

「…ユエ」

「もう、ツェリちゃんの名前は出さないで、アオ。断ってくれたのは嬉しいけど、思考がツェリちゃんに染められてる。染まるなら…私の事だけ考えて?」

 

なんて可愛い事を言うのだろう、僕の恋人は。

僕は、前世も今世も、そして来世でさえも君に恋をし続けるのだろう。

僕のユエ。

僕の…運命の女(ファム・ファタール)

 

「そうだね、ユエ。君の言う通りだ。僕は、君を愛してる。君さえいれば何もいらない。あぁ…君と一つになれればいいのに」

「…アオ、もうちょっと我慢しててね。式を挙げたら…いっぱい、甘くて蕩けてしまうような夜を過ごそう。私、その日を楽しみにしてるから」

 

ユエの指に自分のを絡め、彼女の額にキスをする。

 

「うん、僕も楽しみに日々を過ごすよ。君が、僕の運命の女(ファム・ファタール)で良かった。ユエ…」

 

魔法陣を展開していた僕の魔力が尽きたようで、彼女に好きだよと言う前に、僕の意識は暗転した。

 

◆◆◆

 

「…アオ、起きて。アオ」

 

ユエに揺り起こされ、僕はうっすら目を開ける。

 

「ユ、エ…?」

「うん、寝かせてあげたいんだけど、ごめんねアオ。もう閉館するから、リリア司書長がもうお帰りって。アオのバイト代も預かってるよ。起き上がれそう?」

 

僕はゆっくり起き上がり、フルフルと首を横に振った。

意識が全く覚醒しない。

いや、起きてる時点で意識はあるのだが、まだ夢の中にいるような感覚だ。

 

「ごめん、ユエ…シャナか、シンク呼んで…魔力欠乏になりかけてる…データベースとはリンク切ったんだけどなぁ…」

 

夢見心地とはこの事か。

確かに、魔力酔いを起こしたシャナが楽しくなるのはわかる気がする。

 

だからって、あんなテンション高くはなれないけれど。

 

ユエが携帯を取り出し、電話をかけ始めた。

誰にかけているかは、ボンヤリした頭では理解出来なかったが。

 

「グンジョウ、大丈夫? 確かに、魔力欠乏起こしかけてるね…もう、ちゃんと無理なら無理って言いなよ」

「全くだ。なんだったら俺が代わりに行くっていうのに。おーい、グンジョウ聞こえてるかー?」

 

ユエが電話を切った直後、目の前にシンクとシャナが転移してくる。

なんで二人が一緒にいるかはわからなかったけど。

 

「姉上…シンク…ごめん、助けて…」

 

僕がそう言うと、二人とも僕の手を握ってくれる。

 

「おうよ」

「当たり前じゃん、お姉ちゃん達に任せなさい」

 

二人がリンクを繋いで、僕に魔力を流した。

魔力回路が活性化してきて、僕の意識が段々ハッキリしてくる。

 

視界も鮮明になってきて、一番始めに見えたのはユエだった。

彼女は少し申し訳なさそうな顔をしていて、何故そんな顔をしているのだろうと思ってしまう。

 

「ユエちゃん、連絡くれてありがとう。いやぁ、二人が抜けた穴埋めるの大変でさぁ。またおばさんにコテンパンにやられた後に連絡貰ったんだけど」

 

シャナが笑いながら、指を鳴らす。

瞬時に景色が変わり、寮の僕らの部屋へ転移したようだった。

 

「お前頑張りすぎ。あとユエ、んな顔すんな。お前、今魔力不安定なんだろ? ユタカから聞いた。グンジョウとリンク繋いでサポート出来なかったって、悔やむなよ。お前悪くねぇから」

 

無茶したコイツが悪いの、とシンクは僕の頭を軽く小突いてくる。

全くもってその通りなので、僕はユエに謝る。

 

「シンクの言う通りで、魔力欠乏になる前にリンク切れば良かったのに、しなかった僕が悪いんだよユエ。後、お昼ご飯持ってきてくれてありがとう。ちゃんとサポートになってるから、そう落ち込まないで欲しいな」

「アオ…。うん、ありがとう。明日は、ちゃんと映画の撮影に参加するからね」

 

無理しないでね、と言うが、大丈夫と返されてしまった。

シャナがこっそり、僕らに聞こえないようユエへ耳打ちして何か質問をし、ユエもシャナに耳打ちで返す。

 

「あー…うん、ユエちゃん強くない?」

「これは人それぞれだって、ママ言ってたよ。私はこれで平気だけど…シャナちゃんは辛いんだね…」

 

うんうん、とシャナが頷いているが、僕はなんの事かサッパリなので取り敢えずスルーする。

聞いた所で、女性の悩みを男性が理解出来るとは思えないし。

理解しろと言われれば、勉強する所存ではあるが。

 

「取り敢えず、ユエ送ってくるわ。グンジョウ、もう寝ろ。明日はお前とユエの絡みが多いシーン撮るって、ルトル言ってたから」

「うげ、マジかよ…」

 

ユエと映るのが嫌なのではなく、こんな怠い状態で撮影しなければならないという事実が、である。

 

「足りないなら、お姉ちゃんとチューする?」

「誰がするか馬鹿野郎!! お前はツルギとでもしとけ!!」

 

怒鳴ったせいで眩暈がし、僕はソファーに突っ伏した。

アオ、とユエが僕を心配する声が聞こえるが、僕は手を挙げて彼女に大丈夫だと伝える。

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