my way of life   作:桜舞

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182話『そういう事言うもんじゃない』

「ユエちゃん添い寝する?」

「…シャナてめぇ…僕をユーリおじさんに殺させる気だな…後で覚えてろ…っ!!」

 

そう言いつつ力尽きた僕は、突っ伏したまま寝落ちした。

 

◆◆◆

 

次の日、朝っぱらからシャナを懇々と説教して訓練に臨み、いつも通りの結果になった後、丸一日かけて撮影するとルトルが言ったので、僕らは彼女の親が経営している撮影スタジオに飛んだ。

 

化粧をしてもらい、用意されていた衣装を着て、僕はセットの中に入る。

 

早朝訓練きつかったなぁ…。

また母様に吹っ飛ばされたし…。

今回休みだからって父様も参戦してくるとか。

一発蹴り入れられたのは、大きかったけど。

 

朝の訓練を思い出しながら、僕はため息をつく。

 

「アオ、大丈夫?」

 

声をかけられ、僕は後ろを振り向いた。

白いドレスに身を包み、髪を編み込んだユエが僕を心配そうに見つめている。

髪飾りに、百合の花が挿されていた。

 

そんな彼女に、僕は微笑む。

 

「大丈夫だよ、ユエ。一晩寝たおかげで魔力も戻ったし。いや、ため息ついてたのは朝の訓練思い出したからで…」

「あぁ、確かにキツかったよね。陛下の動きに翻弄されちゃって、当てるに当てられなかったんだもん。アオが陛下に蹴り入れてたのには驚いたけど」

 

父様の動きを見て、ここに来るだろうと予測してたら当たっただけなんだけど、その後ボコボコにされたから、良かったのか悪かったのか。

 

「というかアオ、台本覚えてる? 私あんまり覚えてなくて…」

「読み合わせした気がするんだけど…持ってきてるから見る?」

 

うん、と頷いたユエへ荷物から台本を出して渡す。

パラパラとめくり、自分のセリフを読み込んでいるようだった。

 

「…私の出番これだけ?」

「あとは僕とダンスを踊るシーンでユエは終わりだね。いやぁ…僕後何コマ残ってるのかなぁ…」

 

自分が死ぬシーンはやったし、ユエとの絡みも今日で終わってしまうし、あとはシンクの回想シーン撮るだけか?

 

「アオが終わるまで待ってるから」

「ありがとう、好きだよユエ」

 

息を吐くように口説かないで、とユエは頬を染めながら文句を言ってくる。

可愛い。

 

ルトルから呼ばれ、僕達は所定の位置に着く。

カメラが回り始めて、僕は台詞を言い始めた。

 

「裏切り者、か…。まぁ、良い。泳がせておけ。どうせ、俺には敵うまいよ」

「でも、もし貴方が殺されでもしたら私…っ!!」

 

マフィアのボスである僕の所に、ボスの恋人であるユエが、この中に裏切り者がいるという話を聞いたと、僕の所に来る場面から始まる。

 

僕の心配をして、ユエは悲しそうな顔をした。

 

「そんなに嘆くな、お前はいずれ俺の妻になるんだろう? ボスの妻が、それでどうする。もう少し強くなれ」

 

彼女の腕を引き、抱きしめる。

 

「貴方の心配をしちゃ、いけないというの…? どうして、分かってくれないの? 私は貴方を心から愛しているというのに…っ!!」

 

ユエ、アドリブ入れてきた…!!

 

本来なら最初の台詞だけのはずが、ユエは続けて僕に言う。

それは彼女の演技ではなく、僕へのメッセージだと思った。

 

「心配をするなとは言っていない。お前の気持ちは分かっているさ、愛しい人。俺も、お前を心から愛しているよ。だからこそ、心配するなと言っているんだ。俺が裏切り者に負けるとでも思うのか?」

 

僕もアドリブを入れて、彼女へ伝える。

 

君が僕を心配してくれる気持ちは、痛い程分かっているよ。

でも、心配しないでユエ。

僕は絶対、魔王に勝ってみせるから。

 

そう思いつつ、彼女に微笑む。

 

「カーット! いやぁ、いい絵だったよ! グンジョウ君、ユエ君!!」

「そりゃどーも…。ルトル、今の台詞使える?」

 

勿論だとも、と彼女は返し、次のシーンに移るよう、スタッフになっている別のクラスメートに指示を出している。

 

「アオ」

「ユエ、驚いたよ。急にアドリブ入れてくるなんて。君、舞台女優でも出来そうじゃない?」

 

彼女から手を離して、僕はクスクス笑う。

だが彼女は、僕を見上げ少しムッとした。

 

「アオ?」

「分かってるよ、君の言いたい事は。でも、僕もさっき言った通りだから。ルトル、僕の出番すぐじゃないよね?」

 

カメラ役のクラスメートと話しているルトルに声をかける。

彼女は顔をこちらに向け、ニヤリと笑った。

 

「ユエ君と何処かでしっぽりするつもりかね? 別に良いが、衣装は汚さないでくれよ? 君の出番はあと一時間後、ユエ君とのダンスシーンだね」

「どいつもこいつも…! なんで僕がすぐユエに手を出すとか言うんだよ…っ! …あとルトル、君女の子なんだからそういう事言うもんじゃないと思うんだけど?」

 

まぁまぁ、とルトルは笑っているが、僕は頭が痛くなってくる。

そんなに、僕は手が早いとか思われているのだろうか。

 

僕はユエの手を引き、スタジオの外にある自販機の所まで行く。

お金を入れて、飲み物のボタンを押した。

ガコン、と音を立てて飲み物が取り出し口に落ちてくる。

 

「ユエは何飲む?」

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