my way of life   作:桜舞

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189話『グンちゃんの為なんだよ?』

あの映画撮影とかでユエと過ごせなかった時間を、この三日間埋めるように過ごしてやるからな…!!

あと、変な噂流した奴に見せつけてやる…!!

 

「…あれ、そういえばユエ。髪切らないの?」

 

彼女の髪を弄びながら、そう聞く。

長いのは鬱陶しいから好きではない、って前世から言っていたはずだったし、切られる前に伸ばしていたのも僕の初恋が冬夏さんで、彼女の髪が長かった事に起因していた筈だ。

別に初恋じゃないけど。

 

「………」

 

ユエはプイッと僕から顔を背け、そのままクレープを食べている。

なんか変な事を言っただろうかと、僕は彼女の名を呼ぼうと口を開いた。

だがそれは、目の前の二人の深いため息に遮られる。

 

「…何だよ」

「グンちゃん、察し悪すぎ」

 

ユタカからジト目で見られてしまい、僕は困惑した。

何かマズい事でも言っただろうか?

 

ユタカはユエとは違い、黒髪を腰まで伸ばしているし、髪型はハーフアップと呼ばれるものだ。

ワンポイントなのか、シンクの名前通りの紅いリボンでくくっている。

 

ユエは暑苦しいからと、いつもポニーテールだけど。

ユタカみたいにしたら、もっと可愛く…いや駄目だ、他の男共がユエに群がってしまう。

 

「……?」

 

本気で分からなくて、僕は首を傾げた。

 

「ユエ、言って良い?」

「……うん」

 

一応ユエに許可取らなきゃいけない事柄なの、それ。

 

何言われるんだろう、と僕はユタカを見つめる。

彼女は呆れた目を僕へ向けて、告げた。

 

「グンちゃんとの結婚式で、ウィッグやエクステじゃなく、自分の髪を結って臨みたいってユエ思ってるから、鬱陶しくても髪伸ばしてるんだよ。ちゃんと髪の手入れもしてるから、サラサラでしょ? それもこれも全部、グンちゃんの為なんだよ?」

 

そう言われ、僕はユエの方を見る。

彼女は耳まで真っ赤になっていて、思わず背後から抱きしめた。

 

「ひゃっ!! ア、アオ、あの…」

「嬉しい。凄く嬉しいよ、ユエ。あぁ、大好きだ。僕のユエ。君を愛してる」

 

周りの視線が刺さったが、構うものか。

ユエが愛しすぎて、そんなもの気にならない。

 

「グンジョウ、良い加減にしとけー。立花先生飛んでくるぞー。両方」

「…それは困る」

 

ユエから手を離し、僕はコーヒーを飲み始める。

取り敢えずみんな食べ終わり、教室から出て次は何処に行こうかと相談していると、僕の背中に誰かがぶつかった。

そちらを見ると、オレンジの髪で。

 

ギョッとなった僕だったが、背後は階段だったらしい。

彼女も驚いたようで、下がろうとして段差を踏み外した。

その体が傾いでいく。

 

「っ!! ツェリっ!!」

 

僕へと伸ばされた手を掴み、脚力強化で彼女を抱き留めつつ、下の踊り場に着地する。

咄嗟の事でツェリを強く抱きしめてしまい、彼女が少し苦しげな声を上げた。

彼女を踊り場へと下ろすと、ツェリと目が合う。

 

とても切なげな目で見られたが、僕はそれへ目を逸らす事で無視をした。

 

「…ありがとう、ございます。グンジョウ殿下…お手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」

 

ツェリは悲しげな顔をしながら僕に頭を下げ、階下へ降りていく。

僕はユエに見えないように、自分の胸辺りを握りしめた。

 

あんな顔するなよ、ツェリの奴。

あれじゃあ、僕が悪いみたいじゃないか。

 

ギリッ、と歯を食いしばる。

 

「アオ、大丈夫?!」

 

僕を心配しながら階段を駆け降りてきたユエに、僕は微笑んだ。

 

「大丈夫。怪我してないよ。それより、驚かせてごめんねユエ。まさかツェリがいるとは思わなくて…」

「いや、マジで驚いたわ。ツェリ、あんなに魔力消すの得意だったっけか」

 

シンクもユタカと一緒に階段を降りながら、僕に声をかける。

そういえばぶつかられるまで、僕もツェリの気配に気付かなかった。

 

「…うーん」

 

ユタカが階段の途中で降りるのをやめ、首を傾げている。

そんな彼女を見て、シンクも同じく首を傾げた。

 

「どーしたよ、ユタカ?」

「シンク、あの話ここでしちゃダメだよね?」

 

あの、とはどの事だろうか。

 

だがシンクは合点がいったようで、頭を少し掻いた。

 

「あー…うん。ちょっとな。せめて寮に帰ってから…は、ユタカ待てなさそうだよなぁ…仕方ねぇ、こっち来い」

 

シンクは本当に仕方ない、といった感じで僕らを誘導し始める。

一体なんだと弟について行くと、保健室に辿り着いた。

 

シンクは何も言わずに、保健室の扉を開ける。

ここに何の用があるのだろう、と思って中に入ったシンクに続いた。

 

「あら、いらっしゃーい。今日はどうしたのー?」

 

養護教諭の先生だろうか。

丸眼鏡に、勿忘草みたいな淡い青色の髪色をした女性だった。

お世話になる事が全くないので、顔を全く覚えていない。

 

「母様、防音の結界張っていいか?」

「…は?」

 

僕とユエは、驚いてシンクを見る。

養護教諭の先生を母様とか…寝ぼけてるのか、コイツは。

思わずそんな目で弟を見てしまう。

 

「シンク、まずは扉閉めてから言いなさい」

 

へーい、とシンクは言う通りに扉を閉めた。

 

養護教諭の先生が眼鏡を外す。

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