my way of life   作:桜舞

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2話『悪い事した…』

「「ママ! ごめんなさいぃぃぃっ!!」」

 

半べそをかいて、二人は母親であるカヅキおばさんに許しを乞うていた。

 

シャナが僕の横に来て、小声で僕だけに聞こえるように言う。

 

「自業自得ってやつだよね」

「言ってあげるなよ…可哀想だろ…」

 

でも正直、眠気がすごいので早く退出してくれないかと、思ってはいた。

しかも、お風呂に入る為に眼鏡を自室に置いていってたので、正直あまり見えていないのもあり、多分僕の目つきは睨むようなものになっていただろう。

 

それも彼女らの悲鳴に一役買っていたのかもしれない。

 

「グンジョウ、お前は優しいな。こいつらに慈悲はいらん。と、睡眠時間を妨害するのはこのくらいにしておこう。おやすみ、二人とも」

 

そう言って、カヅキおばさんとユエ達は陰に沈んでいった。

 

「…グンジョウ、どんまい。というか、本を読んで寝不足になるのは程々にしておいた方が良いと思うよー? あんまり思考回ってないでしょ?」

「…うん。明日寝坊しないか、それが心配…」

 

早く寝なよ、とシャナに言われ、姉は自分の部屋に帰る。

僕も自室のドアを閉めて、ベッドにダイブした。

 

あぁ、眠い…。

 

そんな感想と共に、僕の意識は落ちていった。

 

◆◆◆

 

「…うわぁ…昨日の事、夢だったら良かったのに…。ユエとユタカには悪い事した…」

「あれはあの二人が悪いんだって。じゃなかったら、カヅキおばさんがあそこまで怒るなんて事ないでしょ? おばさん、誰に対してだって平等な判断しかしないんだから。おばさんも言ってたけど、グンジョウは優しすぎると思うよ?」

 

学園に登校している最中、昨夜の事を思い出して軽く自己嫌悪に陥る。

カヅキおばさんを呼ぶ前に、いくらか対処も出来たのではないだろうか、と考えてしまうのだ。

 

一昨日読んだ本が面白すぎて、夜遅くまで読んでしまっていたのが原因なのだが。

 

「でもさ…」

「お、おはよう、グンジョウ君、シャナちゃん」

 

声のした方へ振り向くと、オレンジの髪を肩辺りで切り揃えた女生徒が目に入る。

 

「ツェリ、おはよう」

「おはよー、ツェリ。あれ、今日エミルいないの?」

 

シャナがツェリに尋ねた。

 

彼女は、ツェツィーリエ・パパラチア・ハインリヒ。

21貴族、ハインリヒ家のご令嬢だ。

内気なのか少し吃音が目立つが、幼等部の頃から一緒の幼馴染である。

とても良い子なのは、クラスメートの皆知ってるしね。

 

「ふ、二人共、お、おはよう。お、お兄ちゃんは、に、日直で…先に、行っちゃったの…」

「そっか。じゃあ、あたし達と一緒に行こう」

 

シャナがツェリの手を握る。

彼女は嬉しそうに、シャナの手を握り返した。

 

そしてツェリは僕と目が合うと、恥ずかしそうに目を逸らす。

中等部の頃からそんな風に目を逸らされる事が多くなったが、まぁツェリは内気な子だからなと自分を納得させた。

 

ハインリヒ兄妹も双子なのだが、うちのクラスの双子率が高いと思うのは気のせいだろうか?

 

「き、今日は、ユエちゃんと、ユタカちゃん…い、いないの?」

「あー…あの二人、昨日やらかしてね。おばさんに説教食らってるんじゃないかな」

 

内容を言わないであげるのは、シャナの優しさ故か、もしくは醜聞を他に漏らさない為か。

多分どっちもだろう。

 

「そ、そっか…よし…っ」

 

ぐっと握り拳を作り、ツェリは何か気合いを入れたようだ。

その何かはわからないけれど。

 

僕は後ろから、二人の様子を眺める。

進行方向、十字路の右側から初等部に通う妹達が見え、シャナが大きく手を振った。

 

「おーい! リーゼ! アンナ! おはよー!」

 

その声が届いたのか、僕と同じ蒼い髪のリーゼが僕らに会釈し、シャナと同じ金の髪のアンナは少し眉を吊り上げ、腕組みをして僕らを睨む。

 

「アンナ? どうかした?」

「おはようございます、シャナお姉様。良いですか、お姉様。淑女たるものそんな大声で相手の名前を呼ぶなんて、はしたない事なのですよ。お祖母様に習ったはずでしょう?」

 

首を傾げて尋ねるシャナに、アンナはつらつらと説教をしてくる。

その隣でリーゼはニコニコ笑っているだけだった。

 

「ちゃんとオンオフは切り替えるようにしてるよ? それじゃダメ?」

「ダメに決まっています。お姉様は王族としての自覚が…」

 

さらに続けようとしていたアンナの両肩に、リーゼともう一人、手を置いた人がいる。

彼女の背後にいて見えなかったが、アンナの専属護衛として常に傍にいる、立花家長男。

アンナと同い年の、立花水夏が妹を止めていた。

 

「まぁまぁ、アンナちゃん。早くしないと学校に遅れると思うよ」

「それもそうね。シャナお姉様、この事はお母様に報告しますから。まぁ、お母様も少しぼんやりなさっている方だから、通じないかもしれませんが」

 

そう言い、アンナは初等部への道を歩き始める。

その後をスイカ君が追って行った。

 

「…あそこまで言い切れるあの子が凄いと思うわ」

「アンナちゃんはまだ幼いから、お母様の武勇伝もホラ話だと思っている節がありますしね。では、私もこれで」




いや、ネタバレ注意となっちゃんのとこに貼ったけど
これ、ヘンリのとこ見てる人いたら
あっちの方がネタバレなのではと思う
あっちの方が年代的にはあとなわけで…
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