my way of life   作:桜舞

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20話『ちょっと怒らないといけなくなるわ』

先々月の、シャナが魔王の生まれ変わりだった騒動を経て、その後はギルドの登録もして平穏な一月を過ごした僕らは、夏季休暇という長期休暇を満喫するべく、親衛隊の一人で中等部まで僕らの護衛をしてくれていたクロノスの運転する車に乗り、城に向かっていた。

 

「…補習にならなくてよかった…」

 

魔術や物理攻撃に対して防御魔法が張られているリムジンに乗り、シャナは長めのシートに寝そべっている。

姉が言っているのは、先月辺りの期末テストの事だろう。

徹夜とかを駆使して赤点を回避したシャナだったが、それでも点数はギリギリだった。

 

「行き当たりばったりで授業内容詰め込むからでしょ。いつも復習しておけば、そうはならないはずだし」

「グンジョウとは頭の作りが違うんですー。だってグンジョウ、王立図書館の本のタイトル何個覚えてるのさ」

 

そう言われて、僕は首を捻る。

何個だったっけ…。

 

「えーと…多分、半分は」

「普通覚えられないんだって! 何なの、マジで! 父様といい、グンジョウといい! なんでそんなに頭の作りが良いのーっ?!」

 

姉はジタバタとシートの上で暴れる。

それを見ていたクロノスが、暴れないでほしいと伝えてきた。

 

城の駐車場に着き、僕らはリムジンを降りる。

入り口から見慣れた姿が駆け寄ってきてて、僕らはその人に手を振った。

 

「お帰りなさい、二人とも。しばらくいるのだから、みっちり鍛錬するわよ!」

「いや、母様、あたし無理…」

 

クロノスが、車内から大量の冊子を取り出してくる。

それを見た母様が、シャナの方を見た。

 

「まさかとは思うけど、補習なの?」

「違う、課題…」

 

赤点はギリギリ回避したシャナだったが、おばさんから大量の課題を出されたのだ。

ちなみに、僕は手伝うなというありがたいお言葉を、カヅキおばさんから直々にいただいている。

 

「グンジョウは出来るわよね?」

「いや、父様からの政務とか教えてもらう事沢山だから、僕も出来るかどうか…」

 

僕らの返答に、母様は顔を膨れさせた。

母様は、結婚してすぐ僕達を身籠ったらしく、今年で34歳だ。

外見年齢は贔屓目に見て僕達とそう変わらないと思うが、そんな歳の人がこんな子供っぽい動作をするのは、少し、いや、かなりどうかと思う。

 

「母様…父様に怒られるんじゃない? そんな事やってると…」

「流石に、子供に嫉妬なんかしないわよ。自分とあたしの息子なんだもの。それでも嫉妬するようなら…ちょっと怒らないといけなくなるわ」

 

母様のちょっとがちょっとじゃないのは、僕とシャナも身に染みてわかっているので、苦笑いしか出来ない。

 

「姫殿下、運び終わりました」

「ご苦労様、クロノス。グンジョウ、手伝ってくれたりは…」

 

自分の部屋に課題を運んでもらっていたシャナは、クロノスに礼を言うと、僕の方を見てくる。

だが僕は、首を振る事で否定をシャナに伝えた。

 

「だよねー…。グンジョウはダメでも、ユエちゃんとユタカちゃんなら、手伝ってくれるよね!」

「ユタカもシャナと同じぐらいじゃなかったっけ…? あっちは手伝うなって言われてないから、ユエはユタカにかかりきりだと思うよ?」

 

うわーんっ!!

と、母様に抱きついて泣くシャナに、僕は肩を竦めた。

 

そう泣くくらいなら、最初からちゃんと勉強しておけば良かった話なのに。

 

「よしよし、シャナ。お母様も、一応勉強できるから教えてあげましょうね? グンジョウの様子を見るに、カヅキに手伝うの止められたんでしょう?」

「その通りなんだよね。というか、母様勉強出来たんだ」

 

普段の母様は雰囲気がとても柔らかく、言っては悪いが勉強が出来るような人には見えない。

言い方は悪いが、流石シャナの母親だなと思うくらいだ。

僕の母親でもあるんだけど。

 

「失礼ねー。一応学年二位だったのよ? 本気出してもナズナには勝てなかったけどね。あの人の頭の中、どうなってるのかしら」

 

車内で同じ事をシャナも言っていた。

やっぱり親子である。

あと本当かどうか、やっぱり疑わしい。

 

「…そんなに疑わしいのなら、ナズナに聞きなさいな。忖度なしでって言えば、ちゃんと話してくれるでしょうよ」

 

シャナの肩に手を添え、母様は姉を城に連れて行った。

自分が何言っても無駄、といった感じだったのだが、別に力説されたら信じるのに。

 

◆◆◆

 

「シャルの成績? 高等部生の?」

 

書類整理の仕方を習っている時、父様に尋ねてみた。

シャナの成績が散々なのは、母様の遺伝なのではないかと思った僕は、母様の成績を聞いてみたのだ。

 

「俺が何を言った所で、お前は信じないと思うんだが。シャルの奴、わかってて俺に投げたな…」

 

父様は軽くため息を付き、書類を見ながら判子を押していく。

それを僕が部署ごとに分けるのだ。

 

「簡単な方法は、学園に問い合わせて過去のシャルの成績を取り寄せて見る事。それか、簡単ではないがカヅキに問題を作らせて目の前で解かせる事だな。どちらが良い」

 

どちらが良いと言われても。

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