my way of life   作:桜舞

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200話『3歳の時の話』

「王族に刃を向けるのは重罪だ。それはお前も理解しているだろう」

「重々、承知しています。承知した上で申し上げているのです。ツェツィーリエの今回の行動は、魔王の遺物に操られての事。彼女自身に罪を償わせるのは、些か早計とは思いませんか陛下」

 

父様と睨み合っていると、パンパン、と手を叩く音がして、僕と父様はそちらに顔を向けた。

ツェリの治療を終えた母様が立ち上がり、僕らを苦笑しながら見ている。

 

「シャル…」

「グンジョウの言い分も一理あるとは思わない? あなた。確かに、ツェリちゃんだけが悪いわけではない。でも、王族に刃を向けたのも事実。本来なら死刑が確実ではあるけど…グンジョウ。貴方はどう考えているの?」

 

母様が僕に、判断を委ねてきた。

僕は二人を見つめ、自分の考えを告げる。

 

「僕は…私は、王太子としてお二方に進言致します。ツェツィーリエ・パパラチア・ハインリヒは、国外追放処分が妥当である、と」

「そう…あなた達も同じ意見なのね?」

 

母様がシャナやシンク、他のメンバーの顔を見ながら尋ねた。

最初に声を上げたのは、シャナだ。

 

「あたしは、グンジョウの意見に賛成。最初あたしは、ツェリを殺すつもりだったけど…グンジョウやシンクが助けるって判断した。なら、弟達の意見を尊重する」

「俺は、兄君がツェリを助けたいって願ったから、そう動いただけだよ。それに、あの姿見ちゃあなぁ…あれ、完璧ツェリじゃなかったし。魔王の異物に完全に乗っ取られてたって、あれ」

 

母様は二人から今度はユエとユタカ、ツルギを見る。

 

「私は…グンジョウ殿下の判断は正しいと、進言致します王妃殿下。ツェツィーリエ様は、正気を失っておいででした」

「殿下が先程も仰ったように、ツェツィーリエ様はこのような暴挙が出来る方ではありません。妹も言いましたが、正気であのような行動は出来ません」

 

ユエとユタカが、母様にそう言う。

少し遅れて、ツルギも母様へ意見を述べた。

 

「俺も…そう思います。殿下の判断は、妥当だと、思います。死刑にするには…その、罪を贖わせるには…重すぎる、かと」

 

皆の意見を聞き、母様は父様に微笑む。

これを聞いて、貴方はどう判断するの、とでも言いたげだ。

 

「…グンジョウ、国外追放処分にするのは良いだろう。だが、何処にツェツィーリエを流すというのだ。魔王の遺物は取り除かれたとはいえ、危険人物をおいそれと国外に渡して良いものなのか?」

「それは…」

 

そこまで、考えていなかった。

正直な話、ツェリが生きてさえいてくれればとしか、思っていなかったのだ。

 

自分の思考の甘さに歯噛みする。

 

「カヅキ、ちょっと来て」

 

そんな僕に助け舟を出そうと、母様が自分の影に向けてカヅキおばさんを呼ぶ。

スッと影が伸び、そこからおばさんが現れた。

 

「私は忙しいんだが。何の用だ、ナツキ」

「アオイちゃんの所に、ツェリちゃんを預けられないかっていう相談をしたいの。どうせ影を使ってこの状況も見ていたのでしょう?」

 

まぁな、とおばさんは返答しつつ、チラリとツェリを見る。

エミル君に支えられている彼女は、申し訳なさそうに目を伏せていた。

 

「…まぁ、あちらにツェリを置いた所で、どうにか出来る連中ばかりだ。私がそう育てた。それに、幼いとはいえ龍種である刑音もいる。だが、それでアオイに何の利益があると言うんだ、ナツキ。ただ、厄介事を押し付けられるだけではないのか? それなら、私は了承出来ん」

「アオイちゃん、書類仕事が出来る秘書が欲しいって言ってなかった? ツェリちゃん、貴女そういう仕事出来るわよね?」

 

話を振られたツェリは目を上げ、はい、と答える。

 

「…お兄ちゃんや、お父さんの…お手伝いが、したくて…それに、もし…グンジョウ殿下の、伴侶になれたのなら…そういうお仕事も、しなければならないと、思って…勉強してて…」

「ね、カヅキ?」

 

母様がカヅキおばさんに微笑む。

それに対して、おばさんは舌打ちを返した。

 

「あなた、良いわよね?」

「…まったく…これではどちらが王かわからんぞ、シャル」

 

父様へ微笑む母様に、苦笑しながら父様は母様を抱き寄せる。

ハインリヒ卿は父様の元へ跪き、頭を下げた。

 

「ありがとうございます…っ!! ありがとうございます、陛下、王妃殿下…っ!! 寛大な御慈悲…誠に、誠に…っ!!」

 

声が震えている。

ツェリが死刑にならず、ホッとしたのだろう。

そして国外追放とはいえ、娘がこれからも生きていけるのがとても嬉しいのだろう、と推測できた。

 

「グンジョウ、ツェリちゃんを送っていってあげてね。貴方の判断ですもの。そこまで責任持ちなさい」

「…はい、王妃殿下」

 

その後、カヅキおばさんは妹のアオイさんに連絡を取り、了承を貰えたと僕らに告げてくる。

 

そして僕は帰りの車の中、ユエに胸ぐらを掴まれていた。

 

「アオ、ツェリちゃんが初恋ってどういう事?! 私って言ってなかった?!」

「いや、あの…3歳!! 3歳の時の話だから!! 冬夏さんと同じで、淡い恋心ってやつ!! 本当に今まで忘れてたんだって!! ごめん、ユエ!! だから首絞めようとしないで?! 今愛してるの君だけだから!!」

 

眉を吊り上げて、僕の首を絞めようとしてくるユエをユタカが抑える。




200話いきましたー
いつも読んでくれている皆様
ありがとうございます
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