my way of life   作:桜舞

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202話『ユエにちゃんと伝えて』

シルフ1の月。

この月は、僕らの誕生日のパーティーがあったのだが。

先月、僕の婚約者で恋人であるユエを激怒させてしまい、にこやかに表情を取り繕って一緒に出席してくれたのは良いものの、僕と腕を組んでる時は手に力を込めて圧迫してくるわ、ダンスを踊っている時も足を踏んでくるわで…正直、そんなに彼女を傷つけてしまったのか、と内心罪悪感でいっぱいだった。

そんな関係は今現在まで続いており、冬休みに入ってからも僕はユエと全く喋れておらず、むしろ避けられているようで…勉強に身が入らない。

 

自業自得だと言えばその通り。

僕自身浮気したつもりは全くないし、ユエを傷つけたつもりも、勿論ない。

でも僕の行動で、彼女が傷ついた。

 

「…自害でも、するか。ユエに詫びないと…」

 

王宮内にある図書館の机に突っ伏し、僕はそう呟く。

 

場所は…何処がいいだろうか。

桜の前だと、綺麗すぎるし桜に迷惑だ。

かと言って、迷いの森だと発見されるまで数ヶ月かかるかもしれないし、あそこ魔物いるから死体喰われて跡形も無くなるだろうなぁ。

あとは立花邸?

それはそれで、庭が汚れるからやめろってカヅキおばさんに怒られそう。

ユエも、僕が死んだら一年喪に服さなければならないが…そこは、大変申し訳ないと思う。

 

「何馬鹿な事言ってんの、あんたは」

「…姉上…どうかしたの…」

 

シャナが来た事も気付かず、僕は姉を見上げた。

姉は呆れた目を投げかけ、尋ねてくる。

 

「良い加減仲直りしたら? 一月以上お互い話してないじゃん」

「仲直りって…言える立場じゃないでしょ、僕は。それに、これは僕が悪い。ユエが許してくれるまで、僕は彼女とは喋れないよ…」

 

椅子から立ち上がり、僕はシャナの横を通って図書館の入り口に向かう。

 

「ちょっと、何処行くの?! 自害なんてお姉ちゃん、許さないからね!」

「…うん、分かってるよ」

 

自害でなければ、良いのか。

なら、無防備で喰われればいいか。

 

そう考えた僕は、迷いの森に行く事にした。

城の門番に行き先を尋ねられたので、城下町に行ってくると嘘をついて、僕は町に降りる。

 

活気がある町。

父様が治める土地。

僕が引き継ぐべきだった、事。

 

「グンジョウ」

「シンク、何」

 

街から出ようとしたところで、シンクに肩を掴まれ止められた。

僕は弟を見つつ、微笑を浮かべる。

 

「おま…ユエを悲しませる気か?」

「…もう悲しませてるだろ? 離せよ、シンク。ユエに伝言頼む。僕を忘れて、幸せになってって」

 

シンクから殴られ、僕は地面に倒れた。

 

「おまっ!! ふざけんじゃねぇよ!!」

「…ふざけてこんな事言えると、思ってる? 僕はね、シンク。ユエを傷つけまくっている、最低な奴だ。君と違って、ユエを大事にしたいのにそれ以上に彼女を悲しませている、最悪な奴だ。そんな奴、ユエに相応しいと思う? 彼女には笑っていて欲しいのに、泣かせている方が多い。彼女を幸せに出来ない僕なんて…」

 

生きてる価値、あるのかな?

 

そう思った時、僕を後ろから抱きしめる腕があった。

ユエ? と思ったが、目の端に映るのは薄ピンクの髪。

シンクが驚愕の表情を浮かべているのを見て、あぁ、桃華かと僕はどこか諦めた表情をする。

 

「お兄ちゃん、そんなに悲しまないで。アタシなら、お兄ちゃんを悲しませるなんて事しないから。お兄ちゃんになら何をされても泣かないよ」

「桃華!! グンジョウから離れろ!!」

 

シンクが魔武器を取り出し、桃華へ向けた。

だが彼女は面白そうに、弟へ言う。

 

「魔法を使ったら、お兄ちゃんに当たるよ? 当たらなくても怪我するかもね? お兄ちゃんに当てず、アタシにだけ当てるなんて技術、アンタにはないでしょ?」

「…っ!!」

 

図星を刺されたようで、シンクは押し黙ってしまった。

それでも桃華を警戒して、僕を渡さないようにするにはどうしたら良いか、必死になって考えてくれている。

 

「…シンク、後を頼んだ。あと、ユエにちゃんと伝えてくれよ」

「グンジョウ!!」

 

シンクから叱責の声が上がるが、桃華はとても嬉しそうな声を出し、僕の頭に頬擦りしてきた。

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん…っ!! やっと…やっと一緒になれるんだね…っ!!」

 

シンクが僕を掴もうと手を伸ばして来たのが、僕が見た最後の光景だった。

 

◆◆◆

 

ケーネからリークされた出来事に私は怒り、城に帰ってきたアオを殴りつけた。

今回ばかりは本当に許せなくて。

 

なんでツェリちゃんと抱き合う必要性があったの?

やっぱり、私もついて行けば良かった…っ!!

 

悲しいのと、怒りとがないまぜになってグーで殴ったのだが、眼鏡だけが吹っ飛んでいき、アオは申し訳なさそうに私を見つめ、何も弁明はしなかった。

まるで、私にそうされるのが当然だと言わんばかりに。

 

何か言えば良いのに。

どうして、何も言わないの?

 

私は泣きながら城に戻り、それからずっとアオとは喋っていない。

アオは魔力探知が低いから、私が何処にいるかなんて分からないようだった。

私に気を遣って、部屋も訪問しなくなった。




今回の話は、ほぼユエ視点で動きます
グンジョウ意識失ってるんでね
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