my way of life   作:桜舞

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207話『本当ナイスだったよ』

「お願い…死ぬなんて言わないで…死ぬなら、一緒に連れていって。逝くなら、アオと一緒がいい。私を、置いて逝かないで…。傷付けても…良いの…泣かせても、良い…私は、貴方の隣にいられて…見捨てず、婚約破棄もせず…隣に置かせてくれて…それだけで、幸せなの…」

「ユエ…」

 

アオが私の頬に手を添え、顔中にキスをしてくる。

額、目、頬、そして唇。

久々のキスに、私はもっととアオにせがむように首に腕を回した。

彼も私の背中に腕を回して、深く抱きしめてくる。

 

「…アオ、好き…」

「僕も…愛してるよ、ユエ」

 

少し唇を離して、お互いに愛を囁き合う。

 

あぁ、とても幸せだ。

これが幻想でなければ良いと、思ってしまう。

 

「ずっと、アオの中にいたい…。このまま、死ぬまで…アオと一緒に…」

 

本棚を背に、座っている彼に抱きしめられ、私はアオの胸に頬をつけながら呟く。

 

あれから、私達は色んな話をした。

何を思っていたか、どんな気持ちだったか。

流石に少し口論にはなったけど、それも笑ってお互いに許した。

 

アオは困ったように笑いながら、私の頭にキスをしてくる。

 

「僕もそうしたいのは山々なんだけどさ。ユエがここに来れたのって、多分シンクが何かしてくれたんだろ? 帰ったら怒られそうだな…」

 

むしろみんなから殴られる覚悟しなきゃな、なんてアオは苦笑いを浮かべた。

 

「桃華と、キスしてたし、ね…アオは」

 

私の言葉に、アオは固まる。

驚愕を顔に張り付けて、私を見つめていた。

 

「マジ、で…? ユエ、それ見て…」

「…見た、よ? むしろ、見せつけられた…というか…」

 

アオは私を抱きしめていた手を離し、肩を掴んでくる。

一体どうしたのかと思ったら、彼は真剣な顔で言った。

 

「ユエ、現実に帰ったら消毒させて」

「…良いよ。あと、桃華にキスマークも付けてたから…私にも、付けてね?」

 

マジか、と更にショックを受けて、アオは自分の顔を覆う。

まぁ、敵とはいえ妹とキスするわ、キスマークつけるわで、アオにとっては有り得ない事なんだろうけど。

 

「あれ、アオだったの、かな…。一人称は俺になっていたし…むしろ、夕陽君っぽかったよう…な」

「ユエ、まだ喉痛めてるだろ…君は僕の精神世界の人じゃないから、回復させてあげられないんだ。ごめんね」

 

アオが申し訳なさそうに謝るので、私は首を横に振り、自分の喉へ回復魔法をかける。

そういえば、ここでも魔法使えたんだっけと思い出して。

 

緑の光が私を照らし、喉の痛みも、押さえ付けられて傷んだ皮膚も、何もかも治っていく感覚がした。

そんな私を見て、アオはホッとした表情をする。

 

先程の私の疑問へ、アオは答えてくれた。

 

「ユエ。それはそうなんだよ。魔王の遺物の力で、僕自身の人格は封じられていたし。君が拾ったあの本。復元してくれたよね? あれに封じられてたんだよ、僕の人格」

 

あれ、と言われ、アオに首を絞められた時それを手放していたっけ、と今更ながらに思い出す。

 

「…私、グッジョブ?」

「本当ナイスだったよ、ユエ。あぁ、もう!! 本当大好きだ、ユエ!! 僕の彼女最高!!」

 

強めに抱きしめられ、私は驚いてアオを見る。

こんなに感情的に喋る事、あんまりなかったんだけど。

 

いや、時々はあったよ?

ここがアオの精神世界だからなのかなぁ?

感情表現、大袈裟。

 

そして私はふと、あの桃華と抱き合っていたアオを思い出して彼に言う。

 

「アオ、あのね。私がアオ達を見た時、大きなベッドの上で抱き合っていたんだけど…見た感じ、体の関係…まだっぽそうだったんだよね。もしあったら、どうする?」

「あったら? 僕は君を殺して自害する。今世でなく、来世で君と幸せになる。前世で恋人で、今世でも会えたんだ。きっと来世だって、君と出会って恋に落ちる。なんで僕の初めて、桃華にやらなきゃいけないんだよ。全部ユエにあげたいのに…!!」

 

ギリッ、と歯を食いしばり、嫌そうな顔をするアオの胸に頬擦りする。

彼は私の頭を優しく撫でてきた。

その動作だけで、私は嬉しくて微笑む。

私が愛おしいと、言ってくれているのも同然だったから。

 

「帰ったら、検査してもらったら?」

「そうする。次あいつに会ったら八つ裂きにして、殺してやる…っ!!」

 

本当に嫌そうに言うアオにキスをする。

唇を離すと、彼は私に微笑んだ。

 

「もう時間っぽいね。ユエ、愛してるよ。前世も、今世も…来世も。ずっと君だけを愛してる」

 

アオの精神世界が、白く染まっていく。

その言葉がお別れの言葉っぽくて、私は彼の服を掴んだ。

 

「アオ…ちゃんと、戻ってきてね」

「それは勿論。ユエと仲直りできたんだ。精神崩壊したままで帰るわけないだろ。待ってて、必ず戻るから」

 

笑うアオに、私も笑い返す。

視界が真っ白に、染め上げられた。

 

◆◆◆

 

目を開ける。

朝の光なのか、窓から入った日差しが私を照らしていた。

ふかふかのベッドに、アオと手を繋いで寝かされていたようで、私は隣で眠る彼の顔を見る。

 

「ユエ、起きたか」

 

アオと一緒だけど少し高めの声に、私はアオと手を離さず、そちらを振り返った。

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