my way of life   作:桜舞

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21話『会えないのが寂しいのですって』

確かに、母様の護衛兼補佐役で分身体…なのか?

城の中にカヅキおばさんはいるけれど。

 

「どっちも手間かからない?」

「手間か手間じゃないかではなく、お前がシャルの実力を見誤っている事が、俺には問題でしかないと思ってはいる」

 

父様がこう言うくらいだから、やっぱり母様は頭がいいのだろうか?

じゃあシャナの頭の悪さは自業自得?

 

「うーん?」

「シャナの勉学の心配をする前に、こっちの心配をしろグンジョウ。俺は生涯現役と思ってやってはいるが、人生何があるかわからん。ラゼッタはまだ小さい。お前が政務も出来ないようなら、次の候補はアンナだぞ」

 

父様の厳しい目が僕を捉える。

僕は目を伏せ少し深呼吸をした後、父様の目を真正面から見つめ返した。

 

「わかっています、陛下。戯言でお手を煩わせた事、謝罪致します」

「…お前、年々シャルに似てきたな。流石俺達の息子だ」

 

厳しい目から一転、父様は優しげな目に変わり苦笑する。

 

そうだろうか?

顔の作りは父様に似ている気がするけれど。

 

「母様にどこが似ているのでしょう?」

「すぐに公私を分けられる点、状況判断、相手を観察する点だな。後は、切り替える為に息を整える所もそっくりだ」

 

うわ、もしかして僕、母様侮りすぎ?

そしてそんな癖、母様にもあったのか。

 

くっくっ、と笑い始めた父様に僕は静かにため息をつく。

そんなに笑わなくても良いではないか、と少し拗ねてしまった。

 

「じゃあ、シャナはどうなるんです? どこか母様に似てる所でもありますか?」

「愛嬌か? シャナはどちらかと言えば、俺似だろう。カヅキだったか、シャルだったか。男は母親に、女は父親に似ると言われているらしいぞ」

 

そんな学説あるのだろうか。

後で暇になったら探してみようかな。

 

なんて考えながら、僕と父様は政務を片付けていった。

 

◆◆◆

 

「グンジョウ、貴方眼鏡の度合ってる?」

 

昼休憩、お茶とお昼ご飯を乗せたカートを押しながら母様が執務室に来る。

 

シャナの方はどうかと聞いたら、カヅキおばさんがみっちり教えているらしい。

自分の方はいいから、シャナについてやってと母様もお願いしたようだ。

 

「母様、いつも昼持ってきてるの? メイドとかにさせればいいのに」

「ナズナがねぇ、あたしに会えないのが寂しいのですって。朝と夜には一緒にご飯も食べているのに、それだけじゃ嫌だって言うから、メイドの仕事を奪ってまでしているだけよ。ねぇ、あなた?」

 

父様の方を見ると、こちらから顔を背けていた。

クスクスとテーブルに配膳していた母様が笑い出す。

どうやら本当の事らしい。

父様は愛妻家だと国の内外に知れ渡っているが、ここまでとは。

 

「というか、眼鏡の度? たしかに最近見えづらいとは思ってたけど」

「ルカさんの所に行って、直してもらってきたら? 別にあたしが行っても良いけど…」

 

父様が凄い勢いで首を横に振る。

そんな父様を見た事がなかった僕は、少し驚いた。

 

「もう、あなた。グンジョウが驚いてるわ。もう父親になって十年以上経つのに、子供っぽいんだから」

 

母様が口元を押さえ、笑いを堪えているのか父様から顔を背ける。

肩が震えている事から、僕の予想は当たっているだろう。

 

「だってな、シャル。あいつ、シャルが来るなり抱きついてくるだろう。シャルをいやらしい目で見る事もある。気に食わん」

「ふふ…っ…今は、ナツキが…いるじゃない…! 流石に、ルカさん…昔みたいに、は…しないわよ…くく…っ!」

 

どれだけ笑い転げるの我慢してるの、母様。

 

父様が立ち上がって、母様の肩を掴んだ。

僕は察して顔を俯かせる。

両親がイチャついている所は、出来れば見たくないのだ。

音も聞きたくはないが、午後からも政務があるので部屋を辞する事もできない。

 

僕は置物と念じる事ぐらいしか、僕に出来る事はないのだ。

 

「シャル、笑い過ぎだ。俺にはお前しかいないと言うのに、酷い女だ」

「あら、そんな酷い女を妻にしたのは貴方じゃないの。ふふ、そんなに拗ねないでちょうだいな、あなた。あたしだって、子供達が離れていったら貴方しかいないのに」

 

あー…居た堪れない…。

誰か助けて…。

 

そんな僕の思いが通じたのか、扉がノックされる。

父様が軽く舌打ちをして、扉の外にいたカナリアに用件を聞いた。

 

「立花卿のお嬢さん方が、殿下に面会を求めてますけど…どーしますか? 陛下」

「…グンジョウ、行ってきていいぞ。午後の政務も免除してやる」

 

父様の許可が出たので、僕はそそくさと扉の方へ向かう。

ただ、母様が少し慌てた様子だったけれど。

 

奥に仮眠室があるから、そこで続きでもするんだろう。

それ以上は想像しない。

ちょっと気持ち悪くなるから。

ただ、弟か妹が出来るのは早いだろうな、と思わないでもない。

 

扉の外に出るのと同時に、部屋に結界が張られる。

多分防音とか何かだろうな、とは察しがついた。

 

「ご機嫌よう、グンジョウ殿下。お呼びたてしてしまい、申し訳ありません」

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