my way of life   作:桜舞

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211話『目が痛くなっただけ』

僕はユエの頭に頬擦りし、良いよ、と彼女に言った。

 

◆◆◆

 

次の日、僕らはベルナールの屋敷に足を運んだわけなのだが。

 

「うわ…」

 

外観の惨状を見たユエが、思わず声を上げた。

僕もそう言いたかったのだが、そこはグッと堪える。

 

以前、父様と一緒に来た時よりも様変わりしていて、僕を含め全員がその様相に引いていた。

 

ゴテゴテに装飾された門扉は金色に塗られているように見えたが、よく見れば本物の金を使っており、前に見た物から新しい物に取り替えられているのがわかる。

 

門扉の内側、屋敷へ続く道に青銅の像が立っていたはずなのだが、それも撤去されたようで代わりに金色のベルナール卿の像が立っていた。

 

それには宝石が所々散りばめられ、太陽の光を反射して眩さを増すというか、逆に眩しすぎて直視出来ない状態だ。

 

庭も前ベルナール卿の奥方が好んだ、可愛らしい花々が咲き誇っていたはずなのだが…何を血迷ったのか、これまた金色で塗りたくられており…更には白薔薇だろうか?

それも金に塗られていて、流石に僕は目が痛くなり始め、眼鏡を外して目頭を押さえた。

 

「…アオ、大丈夫?」

「うん…目が痛くなっただけだから…心配しないで、ユエ」

 

ユエが心配そうな声を上げ、僕の腕に触れる。

眼鏡を掛け直し、彼女へ安心させるように微笑んだ。

 

ベルナール卿は、金色が好みのようだ。

それか、権威を示すためにこうしたのか。

どちらにしろ、これは父様に報告しなきゃいけない案件じゃないか。

ベルナール領からの納税は変わっていなかったので、自分達の貯金を切り崩したか、もしくは民に重税を課して贅沢をしているか、のどちらかだろう。

 

面倒くさい…ふざけんなよ、あのおっさん。

前ベルナール卿の方が、まだ良識あったんだけど?

馬鹿じゃねぇの?

そんなんだから、母様に見向きもされねぇんだよ。

まぁ、母様は父様一筋だから可能性はゼロなのだが。

 

「はぁ…」

 

心の中で罵倒した後、ため息をついてしまう。

それも仕方ない事だと許して欲しい。

 

「心中お察しするぜ、兄貴。ってか、これ前から?」

「そんなわけないだろ。前ベルナール卿が統治してた時に何回か来た事はあったけど、ここまで酷くはなかった。むしろ落ち着いた雰囲気がある屋敷で、好感が持てるような感じだった…んだけど…」

 

見れば見るほど酷い。

前ベルナール卿である、カルデラ・クンツァイト・ベルナールも、多分息子の凶行を止めはしたんだろうが…あの我の強い男の事だ。

絶対聞き入れはしなかったんだろう。

 

「今の代でこうなったってか? うわ、前ベルナール卿可哀想に…」

「全くだよ…父様に処刑されてしまえ…」

 

後半は小声で言ったのだが、シャナが僕の肩に手を置いて、首を振ってきた。

 

「グンジョウ、心の声が漏れてる。それに、その判断をするのは父様でしょ?」

「…ごめん、気を付ける」

 

ここまで車で送ってくれたクロノスが、窓を開けて僕に言ってくる。

 

「…殿下…陛下に、ご報告…しておきましょうか?」

「良い。ここの事は、報告書を渡すついでに言っておく。余計な気を回させてすまない、クロノス」

 

ベルナールについて言うのが嫌だろうと、彼女は気を遣ってくれたのだが、僕は少し笑みながらその提案を断った。

ご武運を、とクロノスは言い、窓を閉めて車を発進させ走り去っていく。

次に彼女が迎えに来るのは、明日の夕方くらいだったか。

 

門番も鎧が金色で、僕はシャナを見た。

 

「シャナ、髪色変えられない?」

「金髪だから見るの嫌になってきたって? いや、分からなくもないけどさぁ…」

 

シャナは僕に呆れた目を向け、自分の髪に触れる。

みるみるその色が蒼に染まっていき、僕やシンクと同じ色になった。

 

「いや、待てシャナ。その色で女だと、お前ベルナール卿から求婚されんじゃねぇ? 母様そっくりだし」

 

途端シンクからストップが入り、それを聞いたシャナがとても嫌そうに顔を歪める。

いや、むしろ染めんの嫌だって断れば良いのに…うちの姉優しい。

弟のお願い聞いてくれる姉君、好き。

帰ったら何か好物でも奢ろう。

 

「うわ、やだ。えー…じゃあ、前のシンクと一緒で良いか…」

 

そう言うと、シャナの髪が紅に染まる。

ツルギが少し驚いて姉を見ていた。

 

「どうしたの、ツルギ」

「あ、いえ…魔法って、便利だなぁ…と、思いまして。俺がいた日本だと、こうやって髪を染めるって一瞬で出来なくて…」

 

髪染めた事あるんだろうか、ツルギは?

とてもそうは見えないんだけど。

 

「シンク、日本だと髪染めるってどうやんの?」

「あ? お前そこの記憶…いや、硬派な夕陽君はした事ないんでしたっけね。まぁ、シャナみたいに髪色入れるってやるんなら、赤の染色を髪に入れりゃあ良いんだけどよ。それだと色落ちすげぇらしいんだわ。だから一回ブリーチってやつやって、髪を脱色して色を入れるか、もしくは美容院で取り扱ってるカラー専用の整髪剤使って色を維持するか、らしい」

 

らしい、ってお前も髪染めた事ないんじゃないか。

又聞き感凄いぞ。




ちなみに、作者も一回だけしか髪染めてません
しかも美容院で色入りにくいと言われ
8時間座りっぱなしだったのは
良い思い出です
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