my way of life   作:桜舞

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215話『俺のは母様の劣化版』

「罪悪感とか覚えなくて良いよ、ユエ。あれは僕が悪いと怒ってくれてて良いから。何やったかもユタカ達に話して良いよ。みんな君の味方をするだろうさ」

「はいはい、痴話喧嘩もここまで来ると夫婦喧嘩に昇華するな、これ。んじゃ、ユタカ。ユエのフォローよろ。こっちの馬鹿兄貴は俺が引き受けるからよ」

 

僕の肩に腕を回し、シンクは自分の恋人にそう言う。

任せて、とユタカは笑い、ユエの手を引いて歩き出した。

 

「…おい。ユタカ達がベルナール卿に襲われたらどうするんだ」

「あのおっさん、母様しか眼中にねぇだろうよ。それに手を出そうとするなら、シャナの方に行くはずだ。俺もそれを心配して、シャナに防護結界張ってあるしな。あのおっさんがシャナに触れた瞬間、弾き飛ばした挙句俺に通知が来るようになってる」

 

流石シンク、抜かりがない。

それに、と弟は言葉を続ける。

 

「ユタカ達に色目を使う事はねぇよ。あのおっさん、カヅキおばさんから会議だの何だので、コテンパンに打ちのめされてるからな。おばさんに恨みはあれど、その娘を襲おうなんて考えるはずねぇじゃん」

「腹いせに、娘へ仕返ししたらどうすんだ馬鹿」

 

やっぱり、今からでもシンクに向かって貰うべきかと考えたが、弟は首を横に振る。

 

「カヅキおばさんより、母様より弱いあのおっさんが、ユエとユタカに勝てるわけねぇだろ。今の二人の魔力量、ベルナール卿より多いんだぞ?」

「…ごめん、それ僕はどうなんだ? 二人よりは少ないと自認してはいるけど」

 

ベルナール卿よりは多いのだろうかと、疑問を口にした。

シンクはニヤリと笑い、僕の背を叩いてくる。

 

「少なくても、技術で圧倒出来るだろ兄ちゃん! それに、俺らの婚約者だぞ? 害したらどうなるかなんて火を見るより明らかだ」

「まぁ、それもそうか…あっちは娯楽室の方だったか? なら、僕らは客室を見て回ろうか」

 

おうよ、とシンクは返事をしてくれ、僕らは客室のエリアに向かった。

 

◆◆◆

 

ベルナールの屋敷って、そんなに広くないんだな。

 

客室のエリアに着いて捜索している時に、ふとそう思った。

結構色んな家に行ったりしていたが、捜索は今日中に終わりそうだなと思ってしまう。

 

今日中に終わるのなら、ベルナール領都を観光しても良いのかもしれない。

ユエとも仲直りしたいし。

後これは直感ではあったが、これだけ手狭なら桃華は多分襲って来ないだろう。

 

「…桃華といえば。何だっけ、ツェリと同じクラスだった…」

「セツナか? ツェリが退学になってオーシアに送られた後、あいつも退学したっぽいぞ。まぁ…お前が連れ去られた時、身体の損傷全く無かったんだが…あれどうなってんだ?」

 

シンクがカーペットの裏側とかを見ながら、聞いてくる。

 

それは僕が聞きたい事なのだが。

だが、そうか。

ツェリという隠れ蓑がいなくなってしまった以上、あの場所にいられなかったのか。

別の者を隠れ蓑なりすれば良かったのだろうが、彼女が魔王の遺物に侵食されていた事と、何か関係があるのだろうか?

 

「さてね。ここにも無い、か…」

 

ベッドの下辺りを見ていた僕は立ち上がり、部屋を見渡す。

何の変哲もない客室なのだが、こういう場所に限って地下への入り口だの、隠し扉があったりするから手に負えない時があるのだ。

 

「シンク、お前の星読みに何か引っかからないのか?」

「引っかかるわけねぇだろ。俺のは母様の劣化版だっての。見たい時に見れるわけじゃねぇからな?」

 

母様だって、欲しくてその力を手に入れたわけじゃないだろうな。

それはシンクもだろうが。

 

母様はあれからちょくちょく見えているようで、見えた時表情が固まっている気がする。

それに気付いて、父様が母様を気遣ったりしていた。

 

客室エリアを捜索している途中、白髪の老人に出会う。

 

「お久しぶりでございます、殿下方」

「久しいな、ベルナール老。息災にしているようで何よりだ」

 

僕がそう声をかけるとベルナール卿の父、カルデラは僕らに頭を下げてきた。

 

「この度は、我が愚息が殿下並びに王妃様方にまでご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。何分一人息子にて、甘さが出てしまったようです…庭や我が家の惨状を見ていただければお分かりかと思われますが、最近あれは暴走気味なようで…」

 

戦争で母様の影に隠れてしまったが、母様が現れる以前は武神と恐れられていたベルナール老は今もガタイが良く、今だ体を鍛えているのだろうと察せる。

そんな彼が僕らに頭を下げてきている事に、何とも言えない気持ちになってしまった。

 

「ここ最近なのか、あれ…」

 

少しずつ改装していったかと思われたのだが、最近なら相当金が動いたはずだ。

後程、ここの帳簿も見なければならないだろう。

 

仕事増やしやがって、あのクソ…!!

 

少し眉が吊り上がった僕に、シンクが肩を軽く叩いてくる。

 

「表情に出てるぞ、グンジョウ」

「…すまない。ベルナール老、ここの捜索が終わり次第帳簿を改めさせて貰う。拒否をするならば…わかるな?」

 

は、とベルナール老は更に頭を下げた。

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