my way of life   作:桜舞

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22話『冬夏ちゃんだもん』

「昼食がまだなら、ご一緒にどうかと思ったのですが。如何でしょうか、殿下?」

 

ユエとユタカが頭を下げて僕に挨拶してくる。

僕はカナリアの方を見て、苦笑した。

 

「父様達長くなるかもしれないから、その間誰もここを通さないようにね」

「その前に王妃様の結界で、誰も入れないですよ。入れるの立花卿くらいでしょうけど、流石に察していただけるとは思いますよ。こういう展開、何回もありますから」

 

お盛んだな、父様。

それだけ母様を愛しているという事なのだろうが。

 

僕はユエ達に向き直り、僕の部屋に行こうかと言う。

ユタカが何か期待をするような目をしていたが、ユエが彼女を小突いた。

 

「いった! 何するのよ、ユエ」

「いい加減にしなよ、ユタカ。テスタロッサ夫人の授業で何も学ばなかったわけ? アオちゃんが女たらしならともかく、部屋に行った所で何か起こるわけないでしょ。ただ、私達とお昼ご飯を食べてくれるだけ。そうでしょ? アオちゃん」

 

僕は彼女の言葉に頷く。

 

というかお祖母様の所から戻った後、ユエは別人のように大人しくなったな…。

行く前は、ユタカと一緒になって騒いでいたというのに。

 

「カナリア、メイドに昼ご飯僕の部屋に持ってきてって伝えてくれる? ユエ達の分もって」

「了解です、殿下。いってらっしゃいませー」

 

カナリアが手を振ってくれたので、僕らは歩き出した。

ユタカは少し拗ねたように、僕を見ているようでまたユエに小突かれている。

 

「ユエ、さっきから何なの? グンちゃんにアプローチしてるだけじゃん」

「それがいけないんだって、なんでわかんないかな。それに、私達の事は友達以上に思ってないよ、アオちゃんは。アオちゃんの初恋、冬夏ちゃんだもん」

 

ユエのその言葉に、僕は歩みを止めた。

そしてぎこちなく後ろを振り返る。

 

「ユ、ユエ? 何を言って…」

「冬夏ちゃんに告白してるとこ、見ちゃったんだよね。アオちゃん、速攻振られてたけど」

 

そう。

僕の初恋は、カヅキおばさんの妹である冬夏さんだ。

僕のスキルが発動した際、母様が自分の手に負えないからと冬夏さんにお願いして、付きっきりでスキルの使い方を教えてもらっていた。

その時だろうか、冬夏さんを好きになったのは。

それが憧れか、それとも愛情だったのかはわからない。

僕も幼かったから。

それでも、冬夏さんに告白した。

ユエが言う通り、速攻で振られたけど。

子供に興味ないと言われて。

 

それをまさか、ユエが見ていたとは。

 

「いや、あの…僕も小さかったし…」

「だから、アオちゃんのストライクゾーンは年上なんだよね?」

 

ユエが少し、悲しそうな顔で僕を見つめていた。

その顔を見ていると、心が騒めく。

 

「そんなの、振り向かせれば良いだけじゃん!」

 

ユタカはユエの肩を掴み、揺さぶった。

いい加減にしろ、と彼女から殴られていたが。

 

◆◆◆

 

二人といる所を、ちょうど昼食を取るために部屋から出てきたシャナに見つかった。

 

「ユタカちゃん、課題とかいいの?」

「課題? 何の話?」

 

どうやら僕の推測は外れたようで、ユタカはギリギリで赤点回避などしていなかったようだ。

この様子から見るに、余裕だったみたい。

 

「え、ユタカちゃん、今回の順位どれくらいだったの…?」

「ん? 100位以内だったけど?」

 

それを聞いて、シャナが崩れ落ちた。

どうやらユタカを同類と思っていたようだ。

 

「…シャナ、ユタカに勉強教えてもらったら? カヅキおばさんよりは、気を遣わなくていいだろ?」

 

そう言うと、シャナはユタカの手を取り、一目散に自分の部屋の方へ駆けていく。

善は急げといった風だったが、ユタカが悲鳴じみた声で

 

「ユエ! 抜け駆けしたら許さないからね!!」

 

と大声で言った。

ユエは手を振って

 

「抜け駆けも何も、眼中に入ってないって言ったばかりだっつーの、馬鹿姉」

 

と悪態をつく。

 

「あの、ユエさん? 流石に二人きりでは…」

「わかってます、殿下。メイドなり何なり控えさせてください。未婚の男女が密室でなんて、誰に噂をされるかわかりませんものね?」

 

よくわかってらっしゃる。

今の時代そんな事言う輩はいないだろうが、あらぬ噂を立てられるのは、僕も彼女も本意ではない。

 

でも、そう言うユエの顔が諦めに似た表情をしてて、また少し心が騒めいた。

 

これが何なのかわからないまま、僕達は僕の自室に入り一緒に昼食を取る。

扉の横にはメイド達数人が控えており、僕らが食事を終えるまでいてもらった。

 

「殿下、午後からのご予定はありますか? 昼食を食べ終えたら、姉と共に失礼をさせていただこうと思っていたのですが…」

 

食事を終え、ユエを見送ろうと思った僕は彼女と共に部屋の外に出る。

ユタカは今、シャナに捕まって勉強を教えている所だろう。

流石に一人で帰るのは、と思ったらしい。

 

「なら、ルカさんの所に行きたいんだけど、連れてってもらえる? 眼鏡の度が合わなくなってきてて、見辛いんだよね。両親があぁだから、午後からの予定無くなっちゃっててさ」

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