my way of life   作:桜舞

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227話『ユエの不安が払拭されるなら』

ユエの体を抱きしめると、カタカタと震えていた。

 

それが起きたのは先月の事。

未だにユエの心に傷を与え続けていて、僕は大変申し訳ないと思った。

 

「もう、君を置いて行ったりはしない。絶対に離れないと誓う。だから…ごめんね、ユエ。君を傷つけてしまった僕を、許して欲しい」

「アオ…」

 

僕を見上げるユエに、微笑みかける。

そのまま彼女を押し倒してユエの頭に頬擦りすると、クスッと笑う声が聞こえた。

 

「アオ、そうするの好きだよね」

「君、安心出来る匂いしてるんだもの。僕が好きな匂い。甘いけど、嫌じゃない甘さなんだ」

 

母様とも、シャナとも、妹達とも違う匂い。

何だろう、これ?

分からないけど、ユエといる時はとても気分が落ち着いている気がした。

 

「眠くなってきた…」

「アオ、ちゃんと布団被って。風邪ひいちゃう。あと、眼鏡は外そう? 予備、後一個しか無いんでしょ?」

 

ユエが起き上がるが、反対に僕は彼女を抱きしめた体勢のままズリ落ちていく。

僕に布団を掛け、眼鏡を外してくれたユエは、音からしてサイドテーブルにそれを置いたようだった。

 

「ユエぇ…」

「はいはい…もう、そんな抱き付かなくても…眠くなると甘えん坊になるね、アオは」

 

クスクス笑う彼女の胸に顔を埋める。

ユエの不安が払拭されるなら、僕はいくらでも彼女に甘えるのだが。

というか、やっと眠気が来たようで、もう思考が正常に回っていない。

 

僕は彼女に頭を撫でられながら、意識を闇に落とした。

 

◆◆◆

 

自然と意識が覚醒して、僕は目を開ける。

目の前に広がる肌色に、一瞬思考を停止した。

 

「…え?」

 

聞こえる寝息も香る匂いもユエのものだし、何なら抱きしめてる服の手触りも彼女のものなのだが。

なんで目の前に肌色が広がっているのか理解出来ない。

あと柔らかいので、この部分が胸なのは理解出来た。

 

あの後、僕ユエに無体でも働いた?

無意識で?

え、嘘。

 

思考が混乱に陥る。

離れようとしたのだが、ユエが頭を抱えているせいで離れられず、少しもがいた。

 

「ん…アオ…? 起きたの…?」

 

僕が身動きした事により、ユエが起きたようで拘束が緩む。

彼女から離れるとパジャマの前部分が開いていて、胸元が見えていた。

 

「……ユエ、ごめん!! 僕の首切り落としていいから!!」

「いきなり何?!」

 

ベッドの上で土下座すると、ユエが驚きつつ起き上がり、パジャマのジッパーを上へあげる音がする。

そして、先程の自分の行動でなんで僕がこんな状態になっているのか彼女は理解したようで、笑い出した。

 

「大丈夫だよ、アオ。アオは私に手を出してないから」

「いや、じゃあなんでその状態に…? 僕が何かしたとしか思えないんだけど…?」

 

くっくっと笑っているユエは昨夜の出来事を教えてくれたのだが、少し頭を上げかけた僕は、またベッドに頭を下げる羽目になる。

 

「いや、あの後金具が顔に当たってたみたいで、アオがこれ鬱陶しいって言い始めたから、胸元あたりまで引き下げたんだよね。私の胸に顔を埋めて、安心し切った顔で寝てたから、まぁ良いかと」

「本当に申し訳ない…言った記憶全くないんだけど…」

 

ユエの母性に甘えたとでもいうのか、僕。

それとも理性飛んでそうやったのか?

 

「どちらにしろ嫁入り前なのにそんな事させて大変申し訳ない僕を殺してくれ」

「一気に捲し立てるのやめてってば。嫁入り前って言うけど、アオに嫁ぐ事は決定してるんだから。ね?」

 

ぽんぽんと肩を叩かれ、顔を上げるよう促される。

顔を上げると、優しい顔で微笑んでいるだろうユエと目が合った気がした。

 

眼鏡がないのでぼやけているから、本当にそうなのか分からないけれど。

 

ユエもそれに気付いたのか、サイドテーブルに置いてあった僕の眼鏡を取って、渡してくれる。

 

それをかけ、僕は上体を起こす。

朝の光が部屋に入り込んでいて、そういえば昨日もう片方閉めるの忘れてたな、なんてそちらを見て思った。

 

「ユエ、今何時?」

「朝の5時だね。まだ寝れそうだけど、寝る?」

 

彼女の提案に、僕は首を横に振る。

僕はベッドから降り、一日だけだからと軽量化した荷物から服を取り出した。

 

「ちょっと散歩してくる。ユエは寝てていいよ」

「なら私も行く。今日の朝は訓練ないし、こんなにゆっくり寝たの久しぶりだから。やっぱり、アオと一緒に寝たからかな?」

 

寝起きだからか、その表情がいつもの笑顔ではなく少し蕩けたような可愛いもので、僕は目を逸らす。

そんな僕の様子に、ユエは首を傾げた。

 

「どうかしたの、アオ?」

「…寝起きの君、可愛すぎると思って…僕の妃、超絶可愛い…っ!!」

 

そんな寝起きのユエを見れた僕、今かなり幸せなんじゃないだろうか。

あれ、これ死ぬフラグ?

 

「な、何、馬鹿な事言ってんの?! あと、まだ結婚してないから!!」

 

ユエは赤面し、照れ隠しで枕を僕に投げてくる。

あまり痛くはないから、僕は彼女に苦笑した。

 

「着替えてくるね。ユエはそのままで行く?」

「…私も着替える。終わったら出てきてね」

 

そう言う彼女は、指を一回鳴らして服を瞬時に変える。

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