my way of life   作:桜舞

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228話『絶対王妃様からの遺伝だよね』

本当に羨ましいな、その魔法。

僕もそれをやってみたいものだ。

魔力ないから出来ないけど。

 

ユエが部屋から出て行き、僕は寝巻きから普段着に着替えて、彼女と同様部屋を出た。

リビングルームが静かな所から、他のメンバーはまだ寝ているのだろう。

扉を開けると、その横でユエが壁を背に預け立っていた。

 

「お待たせ」

「待ってないよ。アオ、その服も格好良いね。何着ても似合うなんて羨ましいな」

 

格好良いのだろうか?

黒のファーがついたフード付きの白ジャケットに、黒のロングTシャツ、灰色のスラックスという、何の変哲もない服装なのだが。

それよりはユエの服の方が可愛いし、彼女の方が何を着ても似合うだろうに。

 

「君のゴシック系も可愛いよ。その言葉は、君にも当てはまるんだからねユエ?」

 

昨日の動きやすそうなスタイリッシュ系とは違い、今日はゴシックパンク系らしい。

スカートが少しだけ短いのが気になるが、別に戦闘になるわけでもなし、許容範囲だろう。

いつもはポニーテールの彼女は、今回ツインテールにしているようで、それも可愛さに拍車がかかっていた。

 

僕の言葉に少しだけ頬を染めたユエは、ふいっと顔を横へ逸らした。

照れているらしい。

 

「じゃあ、行こうか…の前に。大浴場ってどんな感じだった?」

 

僕は少し興味があり、大浴場の方に足を運ぶ。

音がしないので誰も入っていないと判断し、扉を開けた。

 

「うわ…すっご…」

 

大浴場とは言うがそこは露天風呂になっていて、ベルナール領の領都が一望出来る他、天気が良ければ満天の星空が見える所だった。

 

一泊ではなく二泊だったら良かったな、なんて頭の片隅でそう思ってしまう。

 

「アオ?」

「ユエ、昨日楽しかった?」

 

僕の服の裾を引っ張り、ユエが名前を呼んできた。

そんな彼女を見つつ、僕は問いかける。

 

「昨日? …あー、お風呂の話かな? うん、楽しかったよ。星空は綺麗だし、街の明かりも綺麗だし。胸は…私が一番小さかったけど…シャナちゃんのは絶対王妃様からの遺伝だよね。最近サイズが合わなくなってきたって」

「ユエ、そこまでは聞いてないから…! あと、僕は胸が大きいか小さいかで、女性の事判断しないから…って朝から何言わせんの…っ!!」

 

ユエの肩を掴み、俯きながら赤面した。

 

大体、ユエの胸そんなに小さい方じゃないだろ。

僕が顔埋められるくらいには大きいわけだし…って何考えてんだ僕は!!

 

僕は浴室の方に行き、水を出して顔を洗う。

こんな思考をするなんて、まだ寝ぼけてるんだ。

きっとそうに違いない。

 

「アオ、大丈夫?」

「…大丈夫、狼狽えてごめん」

 

眼鏡ごとやったものだから水滴で前が見えず、僕はそれを外して、ポケットからハンカチを取り出し、レンズを拭いた。

と、ユエからリンクを繋がれ首を傾げる。

 

「どうしたの、ユエ?」

「いや、その…裸眼のアオとデートしたいな、と思いまして…」

 

あんまり可愛い事言うと、押し倒すぞマジで。

 

僕はユエの魔力を使い、視力を上げる。

目の前の彼女は、少し頬を染めて僕を見上げていた。

 

「ユエ…あのさぁ…本当に抱き潰したくなるから、その顔やめてくんない?」

「さっき、私の胸の話聞いて狼狽えてた人が何言ってんの?」

 

ユエがニコリと笑い威圧してくる。

その雰囲気はユーリおじさんそっくりで、僕は彼女に謝った。

 

「はい、すみません…でも、裸眼の僕ってシンクそっくりだろ? 嫌にならない、ユエ?」

「最近顔の作り違って来てるよ、アオ。アオの方が少しタレ目なの。シンクは逆にツリ目。気付いてない?」

 

そう言われて、僕は浴室に備え付けられている鏡で自分を見る。

自分の目元を見てみるが、シンクとの違いが全くわからない。

 

本当に?

という顔で、僕はユエを見る。

 

「嘘だと思うなら、ユタカにも聞いてみたら良いよ。多分、私と同じ事言うから」

「うーん…そうだね。じゃあ、散歩行こうか」

 

眼鏡ケースに眼鏡を入れて、収納空間に投げた。

カードキーを使って外から施錠し、僕はユエと手を繋いでホテルの庭園へ行く。

冬の空気は澄んでいて肺に冷たい空気が入り、朝も相まってか清々しい気分になった。

 

雪というものを一回見てみたいと、母様にお願いして見せて貰った事がある。

周囲の気温が低くなり、雨とは違う白いものが頭上から降ってきて、シャナと二人ではしゃいだ記憶を思い出した。

 

あの時と同じような空気を感じるが、リューネは滅多に雪が降らないので、それは少し残念に思う。

まぁ、母様やカヅキおばさんから言わせれば、雪が降らないほうが交通機関が麻痺しなくて済むから、そちらの方が良いと言うのだろうけど。

 

「空気冷たいね」

「シルフ2の月だからね。来月になれば、少しは暖かくなるだろうけど。ユエ、寒くない? 大丈夫?」

 

彼女にそう尋ねると、ユエはクスクスと笑った。

 

「アオ、心配性過ぎない? そんなに柔じゃないよ?」

「愛しい婚約者の心配をして、何が悪いっていうんだ。君、自分が華奢なのわかってる? こんなに軽いしさ」

 

ユエから手を離し、彼女の両脇に手を入れて抱き上げる。

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