my way of life   作:桜舞

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230話『その髪どうにかなんない?』

抱き上げた所で僕の背からでもあまり花火が見えず、来年は穴場を見つけてそこで見よう、って話になったんだっけかな、確か。

それでも見つけられず、また来年と言いながら笑い合っていた。

 

「でもね、アオ。私、貴方と見られるのなら、何処でも良かったんだよ。人混みだろうが、草むらだろうが、それこそ神社の裏手側だろうが。おめかしして、貴方と一緒に夏祭りに行って。それだけで楽しかったの」

「あの時の君、とても可愛かったよ。浴衣も可愛かった。僕の為にと思ったら尚更……夕陽は、プライドが邪魔して言えなかったみたいだけどね」

 

クスクスとユエは笑う。

多分、それもわかった上で彼女は僕と…夕陽と付き合っていてくれたのだろう。

 

「よくあんな馬鹿で阿呆で、記憶容量が少ない男好きになったね、雪那?」

「それでも、私に対して気を遣ってくれて、とても優しかったから。一緒に買い物行っても、必ず荷物持ってくれてたよね? 体調が悪くて寝込んでる時も、何か欲しいものあるかってメールで聞いてきて、お母さんにそれを渡してくれたり。そんな優しくて、私を一番に想ってくれている貴方が大好きだったんだよ、夕陽君」

 

今も大好きと、ユエは僕に笑いかけてくれた。

そんな彼女に僕も微笑む。

 

「僕も君が大好きだよ、ユエ」

 

◆◆◆

 

散歩から帰ってくると、起きてきたメンバーがソファーに座りながら、テレビを見ている所だった。

何の変哲もない、休み特有のバラエティー番組が流れている。

 

「あ、お帰りー。どこ行ってたの?」

 

完璧寝起きのシャナが、髪がボサボサの状態で僕にそう尋ねてきた。

あ、眼鏡ない、とシャナは少し驚いていたが。

 

「散歩。早く起きちゃったから。それよりシャナ、その髪どうにかなんない? 毎朝の事だけど」

 

シャナの髪は腰まであるものだから、ちゃんと整えないと髪が痛むだろうに。

 

やってー、と言ってきたので、僕はため息をついて姉に尋ねる。

 

「ヘアケアセット持ってきてんの?」

「ん」

 

収納空間からヘアブラシなどが入ったポーチを取り出して、僕に投げて寄越してきた。

それを受け取り、シャナの両脇に手を入れて持ち上げ、ソファーからダイニングテーブルに付属されている椅子へ座らせる。

 

ユエより重いから、身体強化使わないと持ち上がらないんだが。

この愚姉め。

 

「…アオ、それ毎朝やってんの?」

「シャナが寝ぼけてたり、甘えてきた時限定…お前、昨日コンディショナー使わず、髪も乾かさないで寝たろ。ツルギが迷惑だから、せめて髪だけは乾かしてから寝ろよ」

 

ヘアブラシで髪を梳こうとすると引っかかる感覚を覚え、僕は姉に苦言を言う。

だがユエが抱きついてきたので、僕はその動作を止めた。

 

「あの、ユエ? どうかした?」

「うーらーやーまーしーいー!! 私もアオにヘアセットしてもらいたいーっ!!」

 

あー、毎朝シンクがそっち行ってユタカのセットしてあげてるんだっけか…。

 

僕は苦笑して、ユエを抱きつかせたままシャナの髪を整えてやる。

 

「ユエちゃん、髪ちゃんとやってないとこうやって文句言われるけどいいの?」

 

僕に髪を梳かれながら、シャナはユエに尋ねる。

そう思うんなら、少しは女子らしさってもんを養えよ馬鹿姉。

城だとメイド達がやってくれるから、自分でしなくていいんだろうけどさ。

 

「私ちゃんとヘアケアはやってるもん」

「確かに、ユエの髪サラサラだもんね。肌触り良いし、いい匂いするし」

 

あまりにもブラシが引っかかるものだから、僕はシャナの髪を水魔法で濡らしてから梳く。

姉の持ち物にあったヘアオイルで髪質を整えてから、ドライヤーで乾かし、最後に左上で束ねて、渡されたシュシュで髪を括ってやった。

 

「ん、ありがとグンジョウ」

「どういたしまして。ユエ? 簡単なものしか出来ないんだけど、それでもしてもらいたい?」

 

僕に抱きついた状態の彼女に尋ねると、うん、と力強く頷かれる。

 

あ、そうですか。

 

「なら、毎朝こっちにおいで。やってあげるから」

「本当?! 嘘じゃないよね?!」

 

なんで嘘つく必要性あるんだよ。

あとシンク、こっちを驚いた様子で見んな。

毎朝じゃねぇって言ってんだろ。

後、今回結構大変だったんだが。

あとでツルギにも教えなきゃいけないか、これ?

 

「みんな朝食は?」

「まだだよ、グンちゃん」

 

ユタカはちゃんと服を着替えていて、髪型も昨日とは違うものになっている。

逆にシンクは寝巻きのままだ。

何この差。

 

「何だよ、兄ちゃん。言いたい事あるなら言えよ」

「ユタカは着替えてあるのに、なんでお前着替えてないんだよ。って思っただけ」

 

そんなの魔法使えば一発だろ、と文句を言ってくる弟に、はいはいと返す。

この場で寝巻きなの、シャナとシンクだけじゃないか。

ツルギもちゃんと着替えてるし。

 

「ツルギ、寒くない?」

「…え…あぁ…この後着込むので…」

 

黒のスキニーパンツと、白のワイシャツといったコーデで、気温が下がっている今それだけでは寒いだろうな、と思って聞いたのだ。

着込むって何を、と尋ねると、ベストと上着と答えたので、それ厚手のだよなと若干心配になる。

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