my way of life   作:桜舞

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231話『長年一緒にいた弟普通に分かんないの』

たまに、修行僧なのかというくらい薄着になったり厚着になったりと、変な事をするツルギだし、シャナはそれを良しとしていて止めないしで、ため息をついた事が何回かあるのだ。

 

「ちょっとそれ見せろ、ツルギ。駄目なら、僕のジャケット貸すから」

「え、あ、はい…」

 

結論から言えば、薄手過ぎて僕はツルギを説教する羽目になった。

懇懇と説明をして、納得はして貰ったが…多分忘れた頃にまたやるんだろうな、と予感めいたものを感じる。

 

「格好いいのにー」

「だからって風邪引いたら元も子もないだろ馬鹿」

 

ツルギは転生者とはいえ、魔力量は僕とそんなに変わらないだろう。

なら、身体能力的にも病気に罹りやすいはずだ。

 

大体の病気や怪我などは治癒魔法で何とかなるが、風邪などの免疫機能低下系は、魔法でどうにかなるものじゃない。

だからこそ、薬っていうものがこの世界にもあるわけだし。

 

魔力量が多いとそういう事はないようで、僕が生まれてこの方、母様が何かの病気に罹った所を見た事がなかった。

妹や弟を産んだ時も、産気づいて一時間もしないうちに産んでたようだし。

 

翌日から赤ん坊を抱きながら、仕事してたっけな母様…。

学園から帰って来たら家族が増えてた、なんて多々あったし。

本当、アンナ辺りで慣れたよね、実際。

 

未だに新婚気分な両親なので、後もう一人か二人くらい産まれるんじゃないかと僕は思っている。

 

「朝食もルームサービスにする?」

「ビュッフェいこーぜー。好きなもんたらふく食いたいー」

 

そう言いつつ、シンクはユタカに抱きついた。

 

ユタカにしなだれかかるな、お前。

自分の体格考えろよ、可哀想に。

 

と、僕は思い出した事を彼女に尋ねる。

 

「ねぇ、ユタカ? 僕の目つきとシンクの目つき、違うの?」

「へ? あ、うん。シンクはツリ目で、グンちゃんタレ目だよね?」

 

そう言われて、シンクは僕を見た。

なんか違うか? とその顔は物語っている。

僕もそう思ったからユタカに聞いたのに。

 

「ね? 言った通りでしょ? シャナちゃんもわかるよね?」

「え? うーん? あたしは魔力の差で二人を見てるからなぁ…グンジョウは基本的に魔力量低いし、魔力のオーラっていうのかな。それが薄いんだよね。逆にシンクは濃いの。だからどっちかがどっちかの格好しても分かるんだよねぇ」

 

ケラケラと笑いながら言う姉を凝視する。

二人と違って、シャナは感覚で僕らを見ていたらしい。

 

え、長年一緒にいた弟普通に分かんないの、姉君?

これ親もだったら、ちょっと悲しいかなぁ…。

 

僕の心を読んだらしいシャナが、母様に電話をかけやがった。

まだ寝込んでると思っていたのだが案外早く回復したようで、母様は電話に出てくれる。

母様に事情を説明したシャナは、携帯をスピーカーにした。

 

『何を馬鹿な事言ってるのかしら、シャナ…。ちゃんと見れば二人の違いなんて分かるでしょ。というか、なんで姉の貴女が分からないの、このお馬鹿。シンクとグンジョウの違い? グンジョウは優しい顔付きをしてるし、シンクは凛々しいのよね。グンジョウはあたし似、シンクはナズナ似なんだろうなって見ていたのだけど…あ、グンジョウ? 今日中に証言とか集めててね。クロノスが迎えに行くまでがリミットだから』

「分かってるよ、母様」

 

あと、娘に対して馬鹿って二回言ったよ母様。

電話の向こうで、頭痛そうにしてそうだなと思った。

 

「父様は?」

『…シャル、なんで俺に携帯渡してくるんだ…は? グンジョウとシンクの違い? ……そうだな…グンジョウは戦闘時の動きが機敏ではある。逆にシンクは周囲を観察して動いてはいるな…あ、違う? 私生活で? ……分からん』

 

そう父様が言った瞬間、ゴッ、と鈍い音がスピーカーから聞こえる。

多分、母様が父様の頭を机に叩きつけたのだろうと推察出来た。

 

『グンジョウ、気にしないでね。この人本当に言葉が足らないし鈍いし、相手の地雷平気で踏み抜くような人だから。ナズナ、あんまり子供達傷つけるような発言すると離婚するわよ』

『ちょ、待ってくれシャル?! 少し考えさせて欲しいのだが?!』

 

そこでシャナは通話を切る。

何とも言えない空気が室内に流れた。

 

「…ご飯、食べに行こうか…」

 

僕の提案に、みんな無言で頷いた。

 

◆◆◆

 

ビュッフェで朝食を食べ、荷物はそのままに僕らはもう一度ベルナール家を訪れる。

クロノスが迎えに来る前に、ホテルに寄って荷物を回収してくれるはずなので、手ぶらで来れるのはありがたい。

 

あと何で皆付いて来たのかといえば、さっさと終わらせて観光しようという腹づもりらしかった。

 

(よこしま)過ぎない?」

「うっさいな。お姉ちゃんなりに弟を労ってんでしょうが……多分、来週辺りだと思うから。ベルナール卿の処刑」

 

後半部分、僕に耳打ちしてきた姉に対して苦笑いをする。

シャナも同席したいと言った所で、却下されるのが分かっているからだろう。

それなら、ユエが同席すると言った所で無駄な気がした。

 

僕らは兵達が集めてくれた証言の紙を貰い、ベルナール卿の執務室に入る。

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