my way of life   作:桜舞

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24話『この感情、何?』

眼鏡を直してもらい、ついでに予備の眼鏡を二、三個もらって城に帰ると、ユタカが僕らを待ち受けていた。

 

「ユエ、抜け駆けするなって言ったでしょ!!」

「してないし、ルカちゃんの所に連れて行っただけだよ。てか、ユタカ帰ろ。お邪魔しすぎてる。そろそろアオちゃん達も夕飯の時間でしょ?」

 

チラッと僕を見たユエに、まぁ、と返事する。

 

眼鏡を直してもらってかける際、ユエが僕が握っていた手を自分の口元に当てながら、嬉しそうに笑っていたのを思い出した。

 

それを見て、ユエが可愛いと思ってしまった自分自身に驚く。

 

この感情、何?

 

分からなくて、自分に少しムッとする。

だから、素っ気無い態度になってしまった。

 

「ママから伝言。久しぶりに裕里とゆっくりしたいから、お前ら帰ってくるな。だって」

「…はぁ? じゃあ、スイカとかリオンとかどうするの? てか、帰ってくるなって何? 寮の部屋に戻ってろって事?」

 

ユエ達の弟妹の名前が出てくる。

二人はアンナとラゼッタの専属護衛だ。

同い年という事もありユエ達とは違ってすぐに決まって、二人とも地団駄を踏んでいたっけ。

 

なんでそんなすぐ婚約者に決まるんだ、とか何とか。

 

専属護衛だって言ってるだろ、馬鹿者共。

なんて、カヅキおばさんに叱られていたのはいい思い出と言っていいのか悪いのか。

 

「城で一泊していけ、だって。なっちゃんも了承済みだってさ」

「……ユタカ、わかってると思うけど。今度アオちゃんに夜這いかけたら、本国送りだからね? 私はもうする気が起きないから、別にユタカが自爆するのは良いんだけど。アオちゃんに迷惑かけるの、駄目だよ」

 

物凄く釘を刺すじゃないか、ユエ。

ユタカも、ぐぬぬって顔をしているし。

 

あと、する気起きないんだ、ユエさん。

成長したなぁ。

 

「もうそろそろ夕飯の時間だけど…何やってるの?」

 

シャナが城の入り口で話している僕らを見つけ、怪訝そうな顔をしている。

僕は姉の姿を見つけ、側に寄ると抱きしめた。

 

「…グンジョウ? どうかした?」

「シャナ、後で相談があるんだ。出来れば、二人には聞かせたくない話なんだけど」

 

ユエとユタカの視線が僕の背中に刺さっている気がする。

でも僕は小声でシャナに言った。

 

「…わかった。後でね」

 

シャナは僕の背中を軽く叩いて、離れるよう促す。

 

立花家の姉弟妹と、僕ら兄弟姉妹、それと父様母様と共に、夕飯を頂く。

 

「申し訳ありません、陛下、王妃殿下。うちの両親が我儘を言いまして、ご迷惑をおかけいたします」

 

ユエが立花家を代表して、頭を下げた。

本来なら長女であるユタカが下げるべきなのだろうが、出遅れたようだ。

 

「構わん。カヅキも羽目を外した…痛っ!!」

 

父様が余計な事を言いかけたらしい。

母様が父様の腕を思い切り殴った。

 

「気にしないでね、ユエちゃん。この人、無自覚で地雷踏み抜く癖があるみたいで。カヅキが迎えに来るまで、ここに居ていいからね。あ、気にせず食べてて。ちょっとあたし、この人とお話があるから」

 

ほほほ、と母様は父様を引っ張って、僕らが聞こえない所まで行くとお説教を始めたようだ。

父様が凄い落ち込んで、項垂れている。

 

「食事が冷めるから、食べようか」

 

僕がそう言った瞬間、母様が何かに気付いたように上を見上げた。

ユエとユタカ、それにシャナも何かに気付いたようだったが、僕にはさっぱりで何でそんなに緊張しているのかと首を傾げる。

 

「ユタカ、防御結界張って! 大規模なのが来る!!」

「私そんなに魔力操作上手くないよ!! シャナちゃん!!」

 

シャナが僕達がいたテーブルを囲むように、防御結界を張った。

それと同時に天井に穴が開き、瓦礫やら何やらが降ってくる。

ユエは僕を守るように、覆い被さりながら頭を抱きしめてきた。

 

「ユ、ユエ…あの…」

 

戸惑う声を上げる僕に、彼女は何も言わず土煙が立ち上がる方を睨みつけている。

ユエに抱きしめられているので、状況がわからない。

あと柔らかいものが当たっているので、即刻離れてもらいたいんだけど。

 

「母様! 無事?!」

 

シャナが大声を出す。

そちらの方も見れなかったので、僕は後ろ側にいたであろう弟妹を見た。

ラゼッタは泣きそうになりながら、リオンちゃんにしがみついているし、アンナはスイカ君と手を繋いで怯えているようだ。

 

リーゼはといえば、机の下に避難していたようでそこから顔を出している。

防災意識が高いようで、お兄様は安心だよリーゼ。

 

なんて、現実逃避をしている場合じゃない。

 

「ユエ、離せ。私は無事だ。必要な時は盾になってもらう」

 

目を閉じ、深く深呼吸した僕はユエに告げる。

彼女は僕の方を見つめ、少し心配そうな顔をした後離れてくれた。

 

椅子から立ち上がり、土煙がもうもうと立ち込めている場所を見る。

確かあちら側に、母様達がいたはずだが。

 

「ちゃんと無事よー。お父様も傷一つついてないから安心してねー」

 

母様のそんな声が向こう側から聞こえ、僕は安心する。

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