my way of life   作:桜舞

242 / 408
242話『処分しましょうか』

ロゼおじさんは養子だ。

そんなおじさんが後を継ぐのを、分家の連中が認めないと大騒ぎした事があるらしい。

ロゼおじさんの養父、ユリウス・モルガナイト・ヴァリエール卿はもう故人だが、遺言状を残し父様にロゼおじさんの事をお願いして亡くなったようだ。

その時には王位に就いていた父様は、その遺言状と次のヴァリエール家当主にロゼおじさんを指名した事によって、騒動は終息したはず…だったのだが。

 

「王が指名したにも関わらず、まだ反発している連中がいるんですね?」

「えぇ、はい…」

 

アエラおばさんが少し暗い顔をする。

ヴァリエール家の運営を養父から教えて貰っていたロゼおじさんの手腕があるからこそ、この領は維持出来ていると言えた。

 

ロゼおじさんは領民の声を聞き、何か困った事があれば改善案や打開策などを他の領主の人達に聞いたり、率先して自分でやったりしている。

だからこそ、おじさんは領民から慕われているのだ。

 

他の奴がヴァリエール領を運営しようとしたら…多分、民が貧困に喘ぐ事になるだろう。

おじさんみたいに、領民と一緒に頑張ろうとするのではなく、搾取しようとする連中ばかりなのだから。

 

「そのアレンって奴もですか?」

「…お恥ずかしい話、その通りです。未だに、ロゼを当主と認めない人達は一定数いるようで。私が中流の出だという事も気に食わないみたいですよ」

 

おばさんとの結婚も、分家の連中が口を出してきたと、ロゼおじさんが言ってたっけな。

だから二人でこじんまりした教会で式を挙げたとか。

それを聞いた母様が、分家の連中処分しましょうかと静かにキレて、ロゼおじさんが慌てていた。

 

「そのアレンって奴だったとして、何でここに用があったのかな?」

「さてな。あ、おばさん。ヴァリエール家の家宝ってなんです?」

 

シャナが疑問を口に出すが、シンクはそれに肩を竦めつつ、アエラおばさんに尋ねる。

 

「盾です。それも、腕輪型の。一度ロゼが見せてくれた事があって…あら?」

 

アエラおばさんが部屋の一番奥を見つめ、首を傾げた。

もしかして、と僕はおばさんに聞く。

 

「あの一区画に安置されてたとか…ですか?」

「その通りです。何故無くなって…グンジョウ君達が来る前にここも見ましたが、その時は有ったのに…」

 

おばさんが怪訝な顔をする。

僕らがここに到着したのは数時間前であるが、施錠されていなかったのなら、持ち出されていてもおかしくはなかった。

 

「まさか、アレンって人が持ち出したのかな?」

「本家の家宝を持ってくって…それヴァリエール卿に言ってなかったら泥棒じゃん」

 

ユエとユタカも僕と同じ結論に至ったようで、少し眉を寄せながら言う。

そんなまさか、とアエラおばさんは首を振った。

 

「ヴァリエール家の分家筋とはいえ、貴族なのですよ? そんな馬鹿な事…」

「馬鹿だから、人の物を取ろうが何しようが許される。自分達は特別なのだから、相手の都合や事情なんぞ知らんって考えの連中、一定数いるって事ですよアエラおばさん」

 

シンクが魔武器を取り出し、そう言いながら振るう。

魔法陣が展開され、そこへ映像が映し出された。

 

「シンク、これは?」

「ここ数時間、この部屋であった出来事を映像として投影してるだけだ。あー…防犯ビデオの映像って言えばわかるか、グンジョウ?」

 

僕はその問いに頷く。

カヅキおばさんが経営している店全てにそれが入っていると聞いているし、実物もシャナと買い物に行った時に見た事があった。

あれは機械だったけれど、シンクは魔法で再現しているようだ。

 

あと、なんでそれが分からないとか思ったんだ、シンク。

そこまで世間知らずじゃないぞ、僕は。

 

しかし、うちの姉も魔法の扱いは上手いが、その姉の上をいくとは。

むしろ、僕が三番目とか言った方が良いんじゃないだろうか、なんて考えが過る。

 

「やめろ、グンジョウ。俺が兄貴なんて冗談じゃない」

「弟って柄でもないだろお前。あと、心を読むんじゃない。仕方ないだろ…誰かとリンク繋がなきゃ、魔法使えない僕なんて…出涸らしみたいなもんじゃないか…」

 

はぁ、とため息を吐きながら肩を落とすと、ユエが僕の腕に抱きついてきた。

そちらを見れば、彼女は少し頬を膨らませ、眉が吊り上がっている。

 

「どうしたの、ユエ」

「アオは出涸らしなんかじゃないから。私の格好いい婚約者なんだけど。あんまり自分を卑下しないでよ、アオ。アオは自分で思っているより、かなり凄い人なんだからね?」

 

めっちゃ励ましてくれる、うちの彼女。

好きー…。

 

ユエを抱きしめたかったけれど、周りに人がいると恥ずかしがる彼女だったので、僕はユエの頭を撫でるだけに留めた。

 

暫く映像を眺めていると、映像の中の部屋に男性が入ってきて、シャナが声を上げる。

 

「この人だよ、出てきた人」

「アレン…」

 

おばさんが呆然と名前を呟いた。

成る程、こいつか。

 

アレンは周りをキョロキョロと見回した後、腕輪をケースから取り出し、自分の懐に入れる。

そこでシンクが映像をストップさせた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。