my way of life   作:桜舞

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249話『なんで言わないの』

「…2学年に上がった辺りから、私も告白されてまして…その…襲われかけた事も何回か…」

「はぁ?!」

 

驚き過ぎて、声量が跳ね上がる。

思わず立ち上がった僕に、彼女は落ち着いて欲しいと言ってきた。

 

「勿論全部撃退したし、やってきた男子は全員ママにチクって、停学とか退学処分にしてもらったから。多分ユタカの方も同じ事してると思うし」

「あー…なんか一時期、男子生徒の数が異様に少ないな、なんて感じてたのその為だったのか…じゃなくて!!」

 

周りの視線が集まってきたので、僕は食器を片付けるついでに、彼女の手を取って学食から出る。

誰もいない空き教室にユエを連れ込み、肩を掴んだ。

 

「なんで言わないの?!」

「アオだって言わなかったじゃん。他の女子生徒から告白されてますって」

 

それはそうなんだけど。

僕とユエでは状況が違うだろうに。

 

彼女は不満そうに、口を尖らせながら僕を見上げる。

 

「私の事責められなくない?」

「あのね、ユエ。君女の子なんだよ? …そう言うと君さ、立花の娘だからって言うけど。心配する僕の身にもなってよ。僕の気持ち、理解出来ない?」

 

あー、やばい。

泣きそう。

うちの彼女、僕より強いからあまり危機感持ってくれないのが、難点なんだよな。

危機感持つの、大人の男性だけとか言ってたし。

 

僕はユエを抱きしめて深いため息をつき、その肩に頭を置いた。

 

「…理解出来る。ごめん、アオ。そんなに心配してくれて、ありがとう。今度呼ばれたら、すぐアオに言うね。でも、アオも私を呼んでよ。正妻は私なんだから」

「正妻も何も…僕の奥さんは君だけだってば…」

 

顔を上げるとユエと目が合って、僕らは笑い合う。

そして、軽めのキスをした。

 

◆◆◆

 

ユエと手を繋いで、誰もいない校内を散策する。

あと一年後には卒業かぁ、なんて感慨深くなった。

 

「来年の今頃には、私アオの奥さんかぁ…ふふ…嬉しいなぁ」

「本当にね。魔王の問題が片付いてなくても、推し通させてもらうから安心してよ」

 

新入生のレクリエーションも終わったようで、本当に校舎内に人の気配がない。

ユエの手を撫でながら、僕はふと思った事を彼女に聞く。

 

「そう言えば、ユエは進学しないの?」

「ん? なんで?」

 

キョトンと、ユエは僕を見上げ首を傾げた。

 

「ほら、ユタカとかシンクは進学するだろ? シャナはどうか知らないけど。ツルギは騎士団に入るし…僕は多分国外とかに行って、外交とかしつつ、国に戻ったら父様と一緒に政務とかやるだろうし…ユエ、暇にならない?」

「なるわけないじゃん。王妃様の業務、私もする事になってるんだから。それに、アオが帰ってきた時、誰がおかえりなさいって言うの?」

 

あ、出迎えてくれるんだ。

嬉しい。

 

「でもさ、ユエ。多分新婚でも僕、仕事優先しなきゃいけないと思うんだけど…」

「それは、まぁ…寂しいけど仕方ないというか。私、アオが帰ってくるまで待ってるから。でも、帰ってきたら甘やかしてね?」

 

僕も君に甘えたいので、その日は多分濃密な夜になるのだろうな、と想像して顔を背ける。

アオ? と顔を覗き込まれたので、今は顔を見ないで欲しいと伝えた。

 

「えっちだなぁ、アオは」

「…好きな女性をそういう目で見て何が悪い」

 

そう告げると、ユエも顔を赤らめてお互い無言で歩く。

そのうち体育館に行きつき、ユエが僕から離れ体育館の扉を開けようとした。

鍵は閉まっておらず、ガラガラと音を立てて扉が開いていく。

 

更に彼女は用具室を開けて、中からバスケットボールを出してきた。

 

「ユエ、勝手に入って良いの?」

「あとで片付けておけば問題ないんじゃない?」

 

そういうもんかなぁ…。

 

ユエはドリブルしながら、バスケットゴールにシュートする。

ガコンッと音がして、それはゴールに入らず落ちた。

 

「んー…難しい。選手の人とか見るけど、綺麗に決めるんだよねぇ。魔法なら的を外すなんてしないんだけど」

「そりゃ練習してるから当たり前でしょ…。あと、魔法をスポーツに持ち込まないの」

 

ユエは少しボールをドリブルした後、僕にパスしてくる。

やってみせろって事なのだろうけど、僕だってそんなに上手い方ではないんだが。

 

僕はボールを少し回転させながらシュートする。

ポスンと、ボールはゴール中央の網の中に吸い込まれていった。

 

「…すご」

「いやいや、これでも下手な方なんだからね?」

 

ボールと僕を交互に、ユエは見る。

褒められてなんだけど、男子生徒なら大体は出来る事ではないだろうか?

 

「アオ! あれやってあれ!!」

「あれじゃ分かんないよ、ユエ…」

 

こう、と彼女の動きで理解した僕はボールを回収し、少し離れた所からドリブルした後、高く飛んでゴールに叩き込む。

しかも片手で。

 

途端、ユエの黄色い声が上がった。

 

「きゃーっ!! アオ格好良いーっ!! 素敵っ!! 好きーっ!!」

「…テンションたっか…」

 

バスケの選手には見劣りするだろうに、そんなに格好良いだろうか?

 

僕はゴールリングから手を離し、床に着地する。

ユエは目を輝かせながら、次は何をしてもらおうかと思案しているようだった。

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