my way of life   作:桜舞

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250話『無理しなくていいけど』

「ユエ? 流石にボールは戻せばいいだろうけど、他のはその部活の物だからね? 勝手に使うのは許されないと思うんだけど」

「むぅ…もっと格好良いアオ見たかった…」

 

何やらせるつもりだったんだ、ユエは。

取り敢えず聞いたら、次は弓道をやって欲しかったらしい。

 

「あの、した事ないです。無理だよ、ユエ」

 

バスケは中等部の時に、遊びでエミル君達とやっていたから、出来るだけであって。

弓道なんて、本格的な装備じゃないと出来ないやつだろ。

 

「アオならいける!」

 

いや、なんでそんな自信満々に宣言できるの?

僕完璧超人じゃないからね?

 

そう言ったけど、先程と同じ言葉を返され、うーんと悩む。

僕は仕方なしに、携帯を取り出した。

 

掛けた先は弓道部にいる友人で、名前はアラスター・ミラー。

大変申し訳ないと思いつつ、電話に出た彼に事情を説明したら電話口で爆笑された。

 

『グンジョウ、お前…彼女のために頑張るなぁ?! あっはっはっはっはっ!!』

「アラスター…申し訳ないとは思ってるけど、ちょっと装備貸してくんない?」

 

良いけど道場内鍵閉まってるぞ、と言われてしまう。

よし、ユエに断る口実が出来たと内心ガッツポーズをしていると、アラスターが余計な気を回してくれた。

 

『5分待て。そっち行って鍵開けてやんよ』

「…無理しなくていいけど」

 

してねー、とアラスターは笑いながら電話を切る。

僕は少しため息をついて、ユエに弓道場に行こうかと言った。

 

◆◆◆

 

「おっまたせー…って、休みなのに制服デートしてたん? 奇特だなー」

 

弓道場の鍵を振り回しながら、僕らの格好を見たアラスターがニヤニヤと笑っている。

本当、ニヤケ顔が似合う奴だよ君は。

 

「グンジョウ、ちょっと」

 

アラスターはユエから僕を引き離して、小声で聞いてくる。

 

「お前の彼女、氷の花って名高い立花ユエじゃん。何、手折ったわけ?」

「あのさ、アラスター。何、氷の花って。それに、まだ手は出していない」

 

ユエの異名を聞いた僕は、小声で返した。

聞いた事ないんだけど、氷の花。

何それ。

 

「告る男共を、その冷たい目線で一刀両断にしているって噂だぜ? 眼は紅いのに、吐く言葉も目も冷たすぎて、いつしか高嶺の花ならぬ氷の花って呼ばれてんのよ」

「じゃあ、彼女の姉はなんて呼ばれてんの?」

 

ユタカも、シンクの知らない所で告られているらしいと、彼女から聞いたばかりなものだから、少し好奇心に負けた。

 

「イバラ姫だったかな。妹の方が氷なら、姉が吐く言葉は棘だらけって、誰かから聞いた気が…」

「うわ…」

 

ユタカの見た目は、シンクが手を加えているからかとても可愛らしい。

だが、身内以外に対しては毒吐くのかユタカ…。

 

「アオ?」

「いや、何でもない。ユエ、彼はアラスター・ミラー。中等部からの付き合いだけど、結構良い奴だよ。弓道も中等部からだっけ?」

 

僕の引いた声が聞こえたのか、ユエが首を傾げながら名前を呼んでくる。

アラスターは一つ頷くと、恭しく僕とユエに頭を下げた。

 

「ご紹介に預かりました、アラスター・ミラーと申します。ご機嫌麗しゅう、立花嬢。グンジョウ殿下とは中等部の頃同じクラスになりまして、そこからのよしみで仲良くさせて頂いております。中流貴族のミラー家で次男坊として生を受けた私ではありますが、グンジョウ殿下と懇意にさせて頂いているばかりか、その婚約者様の立花ユエ嬢ともお知り合いになれるとは。いやはや、本日はとても良い日になりました」

 

ユエが怪訝そうな顔で僕を見つめる。

なんだこいつ、とでも思っていそうだった。

 

「アラスター、別に畏まる必要はない。学園外ならともかく、ここは学園内だ。友人として振る舞ってくれ」

「えー。ユエ嬢に対しては、畏まってた方がいいだろー? 家格は立花の家の方が高いんだしさー」

 

僕はアラスターから、ユエの方を見る。

君はどうしたい? と問いかけた。

 

「いや、あの、同級生なので…別に普通で良いです…」

「あ、そう? それは助かんよ。いやー、俺こんな顔だからさぁ。いっつもニヤケ顔なわけ。失礼じゃね、って言われる事も多くてさぁ。あー、グンジョウの質問に答えてなかったわ。うん、そう。中等部の時から弓道してるー」

 

アラスターは弓道場の扉の鍵を開け、僕らを招いてくれる。

シン…としたそこは、厳かな雰囲気を纏っていて、身が引き締まる思いがした。

 

アラスターは自分が使っている弓と、射出する為の矢を持って僕を手招きで呼ぶ。

 

「見本見せるから、この後やってみなー」

「軽すぎるだろ、アラスター。有難いけど」

 

アラスターは矢を射る姿勢になり、ニヤケ顔はそのままだが目は真剣で、弦を引く。

暫くの後、矢が放たれて的の真ん中に刺さった。

 

「凄い…」

 

ユエは正座をし、アラスターを見ている。

彼はニヤリと笑い、僕に弓と矢を渡してきた。

 

「ユエ嬢、俺よりグンジョウはもっとすげーんだぜ? ほらほら、可愛い彼女に見してやれよ」

「急かすなよ…あと、こんなの誰でも出来る事だからな?」

 

僕はアラスターの動きを思い出す。




アラスターはあのアラスターをイメージしました
アニメ見てないんですけどね…
あと弓道詳しくないので
違うと思っても
スルーしていただければ…
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