my way of life   作:桜舞

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253話『亜人族と共に暮らす一族』

ノーム2の月。

魔王の遺物探しの為、僕らはロスヴィータの領地にやってきていた。

 

「私、ロスヴィータ領って初めて来た」

「私も。妃教育でどういう所かは知っていたけど、話に聞くだけじゃ分からない事もあるんだなって、今実感してる」

 

ユエとユタカが、馬車の窓から外を見ながらそう呟く。

まぁ、カヅキおばさんが他の領地を訪問する理由も特にないし、訪問した所で彼女らを連れて行く道理もないから、ロスヴィータを知らないのも無理はない。

 

ロスヴィータは元々農耕が主流の領で、リューネでは唯一亜人族が暮らしている領だ。

統合騒乱が起こる前、父様と一緒に来た事があったが、他の領とは違い領都というものが存在していなかった。

何故、と父様に問いかけると、

 

「ロスヴィータは、亜人族と共に暮らす一族だ。人族だから、式典やら何やらはちゃんとした格好で出てくるが、基本民とそう変わらない姿で過ごしている。オーリッド・シトリン・ロスヴィータは驕り高ぶる事とは無縁の男でな。民や亜人族に寄り添うような者だ。だからこそ、亜人族の代表達も彼の話には耳を傾けるのだろう。あとはシャルだな。力で語る亜人族も多いと聞く。彼女の言葉に従う者も多くてな…本当、オーリッドがシャルに求婚しなくて良かった…」

 

最後の方は安堵が入っていたような気がするが、概ねそんな感じの事を父様は言っていた気がする。

統合騒乱で、一族全て亡くなってしまった時に母様が、ロスヴィータで一番力を持っていた獣王であるハンフリーさんにお願いして、ロスヴィータの称号を引き継いでくれないかとお願いしに行った。

 

結局力勝負になっちゃったわ、なんて笑って帰ってきた時なんて、父様が顔真っ青にしてめちゃくちゃ心配してたっけ。

まぁ、ラゼッタを産んだ後くらいに統合騒乱は起こるわ、世界が崩壊するのを止めるために力を振るい、重傷を負ったにも関わらずハンフリーさんと力勝負するわで、父様としては胃が痛くなった事だろう。

 

「亜人族って、結構力で話が決まるって聞いたけど…グンジョウ大丈夫そう?」

 

シャナが心配そうに僕を見つつ尋ねてくる。

姉はハンフリーさんに会った事がないので、そういう反応になるのだろうけど。

 

「心配してくれてありがたいけど、ハンフリーさんには僕も何回か会ってるし、亜人族のまとめ役だからね。話はちゃんと聞いてくれるよ。まぁ、何か決める物事があったら、それは戦闘でって事になるだろうね」

 

父様とは互角だったけど、今の僕はどうだろうか?

いや、今の父様にも負けているのに、獣王であるハンフリーさんに僕が勝てるとは思えないな。

 

「…帰ったら、父様にも稽古つけてもらおうかな…」

「グンちゃん向上心凄いねぇ。あ、ねぇねぇシンク! 帰ったらトーナメントで、誰が一番強いかって決めない? 一番ビリの人は、ママ特製の地獄の特訓メニュー受けてもらうの!」

 

なんて事言い出すんだ、ユタカ。

シンクも苦笑いしてないで止めろよ。

 

「ユタカ、それさ。自分がビリになるって想定で話してるの? ママの特訓メニューなんて生温いって、テスタロッサ夫人が出張ってきたらどうするつもりなの?」

「う……それは困る…」

 

流石ユエ。

ユタカの暴走を止めてくれて助かった。

後、トーナメントっていうけど何で競うつもりだったんだ彼女は。

 

「ユタカ、興味本位で聞くんだけどさ。何で勝負するつもりだったの、それ」

「ん? えーと、魔法と体力測定と学力と…」

 

ユタカは指折りそう言っていくが、魔法は僕とツルギに分が悪すぎる。

それに、体力測定は魔力を使わない純粋なものだろうから…。

 

「シャナに不利だな、それ」

「はぁ?! 魔法には自信ありますがぁ?!」

 

シンクがポツリと呟いた言葉に、シャナが食ってかかる。

いつも乗っている車より狭いので、あまり暴れられると困るんだけど。

 

「シャナ、落ち着け」

「だってさ、ツルギ君…っ!!」

 

ツルギが姉の頭を撫でて、落ち着くよう言うがシャナは涙目になり、彼に抱きついた。

だから狭いので、イチャつかないでもらえないだろうか。

 

「シャナちゃん…」

「羨ましい…」

 

ユエとユタカが、僕とシンクを見る。

僕らは彼女らから目を逸らして苦笑した。

三人掛けなので、僕の隣にツルギとシャナ、シンクの隣にユエとユタカが座っているわけなのだが。

 

「アオー…」

「城に帰ったら存分にしてあげるから、今は我慢して」

 

シンクの隣に座っているユタカは弟に抱きついてご満悦だが、僕の正面に座っているユエはジト目で僕を見る。

そう彼女に返すと、ブスッと膨れてしまった。

 

してあげたいのは山々なのだが、この状態で出来るかと言われたら出来ないので、ユエには我慢してもらう他ない。

 

その内、ハンフリーさん達がいる場所に到着したようで、馬車が止まった。

 

「わぁ…!!」

「すごーい…!!」

 

草原の中、移動式の住居が寄り固まって一つの集落を作り上げている様子に、馬車から降りたユエとユタカが感嘆の声を上げる。

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