my way of life   作:桜舞

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256話『働き者だよ、うちの母様は』

「次に吸血族のノーット一族。基本的に、彼らは夜にしか活動しない。昼間に活動すると、肌の色素が薄いせいで火傷を負うんだって。主食は血液らしいんだけど、昔母様がそこの長と話し合いをして、血液製剤を渡す代わりに人を襲わないと盟約を結んだって話だよ」

「ノーット一族って、教科書にも載るくらいの亜人族だよね? 確か吸血鬼って呼ばれて、吸血鬼狩りだっけ? 一時期人間と争う立場にあったんだよね?」

 

ユタカはちゃんと、勉強を真面目に聞いてたらしい。

うちの姉にも見習って頂きたいものである。

 

「そう。それでギルドが動く事もあったんだって。その当時、光姫としてギルドに籍を置いていた母様に白羽の矢が立ったんだけど、長達と話し合いをして盟約を結んだ、って話を聞かされたんだ。僕達が三歳の頃だよ、シャナ」

「え、マジで? 母様無茶するなぁ…」

 

本当にね。

あの頃は近くの小国とかと小競り合いしてて、中々父様が城に帰って来れない状況だったのに。

城を守りつつ、ギルドの依頼もこなすとか。

働き者だよ、うちの母様は。

 

「あとはフレキ一族。これは人狼とも呼ばれている。普段は人の姿をしているけど、満月の夜にだけ狼の姿に変わる。これも母様から叩きのめされて、次に一族の誰かが人でも食おうものなら、一族郎党全滅させると宣言されてるよ。エイクスは鹿、ヘイズルーンは山羊、グリンカムビは鳥の一族だね。ここら辺は平和なもので、争い事とは無縁の一族だよ。ヒルディス一族は猪で、あまり人の話を聞かない。力はフレイア一族に匹敵はするけど、猪突猛進気味だからね。一回大人しくさせないと言う事聞いてくれないって、母様嘆いてたっけ」

 

手加減難しくて昏倒させちゃうのよね、なんて疲れた顔して帰ってくる事もあったな。

父様の名代で行ってるから尚更。

 

「亜人族だけでも結構な人達がいるから、昔はそれこそ奴隷として扱っていたりとかしたらしいよ。人族よりは屈強で力も強いから、労働力とかで捕まえて働かせていたんだろう。環境は最悪だったらしいけど」

「それでも、ちゃんと人として扱い始めたのここ最近だ、って聞いたんだけど…」

 

ユエの発言に、僕は頷く。

それを確立させたのは、父様が王太子としてお祖父様の代わりに政務をしている時の事だったらしい。

 

亜人族に人権が無いのはおかしい、彼等も人としてこの地に生を受けた民達だ。

彼らの地位を守らずして何が王か、とお祖父様に直談判し、彼らの人権を確立させたんだっけ。

 

流石父様。

その頃から王の器足り得る仕事してたんだなぁ。

本当…僕が後継者で大丈夫?

 

「父様が王位に就いた時にも反発はあったらしいけど…全て母様が斬り伏せたって。そんなの嘘だろって、いつもの母様見てたら思うんだけどね」

「ナッちゃん、頭は回る方だと思うよ? だって、前世で篠原財閥の次期総帥だったんでしょ? 篠原財閥かぁ…」

 

ユタカが感慨深げに呟く。

ん? と思った僕は彼女に尋ねた。

 

「ユタカ、篠原財閥と何か関係あったの?」

「そこの子会社で働いてたの。事務…って言っても分かんないか。お金の計算とかのお仕事してたんだよ。ナッちゃんが総帥の位置にいたら、あんなブラックではなかったかなぁ、と思っちゃって。ほら、ナッちゃんって方々に目を向けるじゃない? どれだけ上の位置にいようが、各部署とかに顔を出してみんなの話聞くじゃん。自分がどれだけ忙しくても。それで不平不満があったら、改善しようと動いてくれるし…あんな上司の下に付きたかった…ママが羨ましい…」

 

ガクリ、とユタカが肩を落とす。

前世の話聞いてる限り、ユタカは結構人に物を言われて過ごしてきたんだなと思った。

それもこれも、夕陽…シンクに会う為に、頑張ったんだろう。

そんな彼女が、シンクは誇らしいだろうなと思う。

 

「母様の妹が総帥に就いたんだっけ?」

「そう、真子様ね。様ってつけたくないけど、社訓で付けなきゃいけなくて。結婚式もニュースになってたよ。なんだっけ、サン・ピエトロ大聖堂で式挙げたとか何とか。興味無さすぎて、大聖堂の名前しか覚えてない」

 

前世の記憶が一部分しかない僕にとって、それどれだけ凄い教会なんだろう、と首を傾げる。

 

あー…地球に行った時、そこの観光もしたかったなぁ…。

 

「シャナ、そこ段差になってる。危ない」

「え、あ、うん。ありがとう、ツルギ君」

 

先に進んでたツルギが、シャナに手を差し出す。

姉はツルギの手を取って、その段差を降りた。

 

途端、僕とシンクに二人の視線が刺さる。

 

「あの、そんなに見ないでもらって良いかな…」

「エスコートしてやりたいのは山々なんだけど、暗すぎて無理なんだわ。ごめんな、ユタカ?」

 

更に眼光が鋭くなり、僕らはお互いを見てしまう。

仕方ないと頷き合い、自分の恋人の手を取って引き寄せた。

 

「ユエ、そんなに甘えてくるなんて…どれだけ僕に抱かれたいの?」

「ユタカ。あんまり可愛い行動すると…タガが外れて襲うかもな?」

 

耳元で囁いてやると、ユエとユタカは顔を真っ赤にさせ僕らから離れ、シャナ達も追い越して先に進んで行ってしまう。

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