my way of life   作:桜舞

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262話『親と同年代の人に』

「エレオノール嬢と共に教会内を探索、遺物を発見次第回収、もしくは破壊しろ」

「了解しました」

 

僕らはカヅキおばさんに頭を下げる。

 

「いってらっしゃい、気を付けてね」

「朗報を期待している」

 

いつもながら二人に見送られ、僕らはエレオノールさんを伴い、王都内にある教会へと向かった。

 

◆◆◆

 

「ここがサンテブルク教会かぁ…」

 

徒歩でも結構な距離なので車で教会に向かい、降り立つ。

車から降りたシンクは、物珍しそうに教会を見上げていた。

 

「あれ、シンク来た事ないの?」

「そりゃ、16年間も病気がちだったらな。勉強と魔法の練習しか、する事なかったよ」

 

肩を竦める弟に、尋ねたシャナが気まずそうな顔をする。

エレオノールさんがいる手前、弟はそう言ったが…正確に言えば16年間も幽閉されていた、だろう。

 

しかもシンクの家庭環境から言えば、味方だったのは一番上のソルフィアナという姉だけで、シャナは虐めてくる方の姉だったはずだ。

両親には会った事もないと言っていたぐらいだし、シンクの心の支えは、その姉君だけだっただろう。

 

申し訳ないという思いからか、俯いてしまったシャナの頭をシンクは撫でる。

 

「そんなに気にすんなよ。別に嫌味で言ったわけじゃねぇし」

「う、うん…」

 

少し乱暴に撫でる弟に、シャナは髪が乱れるからやめろと叫んだ。

初めて会った時よりも仲が良くて、僕は少し笑う。

 

流石僕。

シャナが落ち込んでたら、どうすれば復活するかよく分かってるじゃないか。

 

教会内に入ると厳かな雰囲気で、僕は少し背筋を伸ばす。

外観もだったが、このサンテブルク教会は一体いつ建てられたのだろうか、と疑問に思う。

年代を感じさせないくらい、とても綺麗だ。

立太子の式典をやった時をほんの少しばかり思い出してしまう。

 

あの時の僕、滅茶苦茶緊張していたっけな。

父様と母様から教えられていた通りに出来ていた自信がない。

というか、記憶も曖昧だ。

ほんの7年前の話なのに。

 

どれだけ緊張していたのだろうか、僕は。

父様や母様、シャナからはちゃんと出来ていたと褒められたけれど。

 

「ここ、サンテブルク教会は、王族の方々の御婚姻や行事、一般の方の成婚や祈りを捧げる場など、多様に使われてきた場所です」

 

僕らの前を歩いていたエレオノールさんが立ち止まり、ステンドグラスを見上げる。

何かのモチーフなのだろうが、その光が教会内に降り注いでとても幻想的だ。

 

父様や母様も、ここで式を挙げたと聞いている。

いずれ、僕とユエもここで結婚式をするのだろう。

 

ユエ、ドレス姿綺麗なんだろうな…。

僕、惚けないか心配になってくるんだけど。

 

「ヴェスタ神を祀り、神に祈る…私達ジルベルト家は、そうやって生きてまいりましたの」

 

振り向いたエレオノールさんは、シンクを見つつニコリと笑った。

多分、弟の為に説明してくれているのだろう。

 

「へー…」

 

成程、といった感じでシンクが頷くけれど、珍しくユタカが少しムッとした顔で、弟を見つめている。

 

エレオノールさんが美人だから、嫉妬でもしているのだろうか?

 

〈アオ?〉

〈だから、人の心読むなって言ってるだろ。それに、エレオノール様は父様と同い年だぞ。一般の三十代の人よりは確かに美人ではあるけど、親と同年代の人に惚れるわけないだろ〉

 

だから嫉妬するな、とユエに念話で言う。

嫉妬してない、と彼女からは返ってくるが。

多分、シンクの方も同じ感じなのだろう。

若干弟が慌てていた。

 

と、キョロキョロと辺りを見渡しているツルギが目に入る。

 

「どうした、ツルギ?」

「あ、いえ…入り口以外に、風を感じまして…」

 

風?

 

ツルギの言葉に、皆一様に首を傾げた。

確かに今日は少し風が強くて、入り口から入り込んでは来ているけど…入口以外?

 

「シャナ」

 

シンクが姉を呼ぶ。

シャナがリブロを出し、Exploration(探索)と呟いた。

バラララッ! とリブロのページが捲られていき、あるページで止まる。

 

何のページだろうと、僕は姉の隣に行きリブロを覗き込んだ。

そこには魔王の遺物の名称やら、形状、どういう能力なのかが書いてあり、僕はシャナを見る。

 

え、リブロあったら探すの楽じゃん。

よく押収されなかったな、これ。

シャナがマスターだから、しようと思っても出来なかった、が正しいのだろうか?

 

「見つかりそうか?」

「多分あそこ」

 

シンクの問いかけにシャナが指を差したのは主祭壇で、それを見たエレオノールさんは首を傾げた。

 

「そこには何も無いはずですが…」

 

困惑気味に言う彼女の横を通り、僕は主祭壇を調べ始める。

重厚感のある祭壇は年代物で、見る人が見たら素晴らしいものだと感じる事だろう。

僕はそこら辺の感覚を養ってはいないから、ただの机としか感じはしないのだけど。

 

祭壇を隅々まで調べたが、リブロのページで見たようなものは見つからず、僕は立ち上がった。

 

「シャナ、無いよ」

「んー…祭壇自体じゃなくて、その周辺にあるとか? ごめん、リブロが反応してるから確かにあるはずなんだけど、正確な位置までわかるわけじゃないんだ」

 

リブロの正確性って、確かなんだろうか?

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