my way of life   作:桜舞

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265話『どうやって弔われるか』

それらが見て取れて、ここはもしかして地下墓地かと何となく察する。

 

「な、ななななんでスケルトンいるの?!」

 

シャナが怯えて僕に抱きつき叫んだ。

対して、ユエは僕の服の袖を掴んで険しい顔をしている。

姉はこういうホラー系が苦手だからだろうが、ユエは強がりからくる表情だろうな、と彼女を見つつ思う。

 

「スケルトンの発生理由なんて、すぐわかるだろシャナ。昔母様に教えてもらったじゃないか」

 

昔、人は死ぬと土葬に付されたらしい。

その際、魔物として蘇らぬよう教会から祝福を受け、それから土葬していた。

祝福を受けないと、魔物として復活する事例が何件も発生した為だそうだ。

 

今は火葬になったが、それでも炎の魔物になる事があるのだそうで、やはり今でも教会から祝福を受けてから、火葬になるらしかった。

 

一時期、魔物が増えた事があったが…あれは統合騒乱直後だったと聞いている。

死者数が把握出来ないくらいだったと、母様が言っていたから。

 

「ん? ここ、違法墓地って事?」

「サンテブルク教会の地下に、違法墓地? あり得ねぇだろ。なんで墓地の上に教会建てるっていうんだよ」

 

シンクの世界でも、死者はどうやって弔われるかの知識は同じだったようで、シャナの呟きに反論している。

弟の意見に僕も賛成だったので、スケルトンを燃やし尽くした後、警戒しながら地面に突き刺さった剣達を引き抜いた。

そして、姉に言う。

 

「憶測で物を言って申し訳ないけど、封印していたんじゃないかな。魔王の遺物と共に。そうなると、普通の地下墓地とは意味合いが異なってくる。シャナ、魔物の発生理由は大きく分けて三つある。覚えてるよね?」

 

シャナは、うーん、と思い出すように指を折り始めた。

 

「えっと、一つ目は教会から祝福を受けずに亡くなった人が、一定の確率で魔物になる。二つ目は、自然現象で発生するもの。こっちの方が多いんだったかな。マナが濃かったりする場所だと、そこから発生する。そこのマナを薄めたり使い切っちゃえば、暫くは出てこない。三つ目は瘴気から発生するもの。これは瘴気の元を断たない限り、無限に湧いてくる。マナと瘴気は似て非なるもの。マナは濃くてもあたし達の魔法とかの源になるけど、瘴気は害にしかならない。あったら即消滅させなさい、って母様言ってたよね」

 

姉の言葉に、僕は頷く。

多分、あのスケルトンがここにいたのは三番目の理由だろう。

瘴気は魔物を発生させるだけでなく、人や動物、果ては精霊にまで害を及ぼすものだから。

 

「瘴気が充満しているのなら、進めなくない? 払い方知らないし…」

 

ユタカは、スケルトンが現れた廊下を見つめながら呟く。

霧状になっている瘴気は吸い込むだけでも危ないものだから、出来れば消滅して欲しいが、無理なら決して近付かないように、とは母様から言われていたんだけど。

 

「瘴気に対しての対策はしなくてはならないだろうから、一旦撤退しよう。ただ、進まなきゃ話にならないから、対策を母様なりカヅキおばさんなりに相談してから…」

「瘴気の事なら、私が何とかします」

 

僕らの話を聞いていたエレオノールさんが、手を上げる。

僕は彼女を見ながら尋ねた。

 

「エレオノール様、瘴気を何とかするって具体的にはどうするんですか? 瘴気は霧状になっており、ごく僅かでも吸い込めば人体には害になります。その中をどうやって進むおつもりですか?」

「私は水の他に、光の属性も持ち合わせております。光の結界で、瘴気の侵入を阻みます。効果範囲は50メートル程ですので、皆さんが動けるくらいの広さはあるかと」

 

エレオノールさんの提案は、正直助かる。

だが、逆に言えば彼女の魔力が枯渇したり、魔物に傷をつけられ結界が張れない状況になったとしたら、僕らは詰む。

 

僕が首を縦に振れず悩んでいると、ユエがエレオノールさんに聞いた。

 

「あの、それ光魔法使える人なら誰でも使えますか?」

「少し特殊な技法ではありますが、覚えれば何方でも使えますよ」

 

ユエの問いかけに、エレオノールさんは頷く。

彼女の考えがすぐさま理解出来た僕は、抱きしめたい衝動を抑え、拳を握るだけに留めた。

 

「デバイス持って来てるよね、ユエ?」

 

ユエの考えをユタカも理解したようで、自分の妹に尋ねる。

 

「勿論。捜索に来る時は常に持って来るようにしてるから。エレオノール様、それを私に教えて下さいませんか? グンジョウ殿下の憂いは、出来る限り取り除きたいのです」

 

あぁ、ダメだ。

抑えられない。

 

僕はユエに近づき、彼女の腕を引っ張って腕の中に閉じ込めた。

彼女の言葉が嬉し過ぎての行動だった。

 

僕のあまりの暴挙に周りも唖然とした事だろうし、何よりユエが固まってしまっている。

 

「あの、殿下…」

 

戸惑う彼女へ、念話で謝った。

 

〈ごめん、ユエ。今の発言で君がとても愛おしくなってしまって、こんな事しちゃったんだ。ごめん。でも、本当に君が大好きなんだ。愛してる〉

 

そう言うと、ユエはしょうがないなという風に笑いかけてくれる。

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