my way of life   作:桜舞

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289話『お気遣いどーも』

「ん…アオ、苦しいよ…」

「わざとだよ。僕の気持ち、疑ってないだろユエ?」

 

問いかけると、僕の腕の中で彼女は頷いた。

ユエの様子を見て、僕は力を抜く。

彼女は僕を見上げ、ふわりと笑った。

 

「私だけを愛してくれる、貴方が大好き」

「大好きなだけ?」

 

ユエの額に自分のを合わせ、少し拗ねたように聞く。

彼女はふふっと笑いを溢して、目を閉じた。

 

「愛してるよ、アオ」

「僕も。君を愛してるよ、ユエ」

 

誰もいないラウンジで、僕らはキスをする。

シャナ達も付いて来てるはずなんだけど、空気を読んでいなくなってくれているみたいだ。

唇を離し、僕はユエに甘える。

 

「アオ、座らない? ちょっと体勢きつい…」

「あ、ごめん」

 

彼女の方に体重をかけすぎていたようだ。

僕はユエを抱き上げ、ソファーに座らせる。

その横に僕も座り、彼女の膝に顔を埋めた。

 

「…アオ、今日は甘えん坊だね? どうしたの?」

 

ユエの腰に腕を回し、抱きしめる。

そんな僕に少し驚いたようで、彼女は僕の頭を撫でながら尋ねてきた。

 

「…だってさ…オーシアの会議だよ? 確実に向こうの国王参加の。しかも父様の代理で行くんだよ? 僕。気が重いったらない…それに、会議には各領の領主が来る。もしかしたら、ツェリに会うかもしれない。君とツェリを会わせたくはないんだよ」

 

僕の独白に、ユエの頭を撫でる手が止まった。

やっぱり怒るよな、と彼女を見上げると、予想に反して困ったようにユエは笑っている。

 

「そんな心配してたんだ…大丈夫だよ、アオ。会った所で私には何も話す事がないし、ツェリちゃんだって私を煽ってくる事は無いだろうから、安心して? それに、アオに付いて行っても控え室までしか付いていけないだろうから。国王も参加の会議に、婚約者は連れていけないでしょ?」

「いや、それはそうなんだけど…」

 

お互い、嫌な思いをするのは確実だろう。

ツェリも、ユエも。

二人には、そんな思いをしてほしくないのだ。

 

だが、今度は僕の背を撫でながら、ユエは苦笑する。

 

「大丈夫。そこは気にしなくて良いよ、アオ。それは、私達の問題だもの。アオが気に病んだって、仕方ないというか…同じ人を好きになったから、しょうがない感情というか。ともかく、アオは気にしないで。もしツェリちゃんとバトルするんだったら受けて立つから」

「受けて立っちゃダメでしょ! 君、要家前当主の娘だって自覚ある?! あと思考読まないでって、前から言ってるだろ?! …あ、そう言えば…シャナの奴、課題持ってきたのか…?」

 

僕はユエから手を離し、起き上がった。

シャナの課題を手伝ってる最中に父様に呼ばれ、あれよあれよという間にオーシア行きが決まったのだ。

城に課題を置いてきました、なんて言ったら、いくら姉でもはっ倒す。

 

「流石に、シャナちゃんそこまで馬鹿じゃないと思うよ…?」

「いや、馬鹿やらかすのがうちの姉だから。兄弟姉妹の事になると頼りになるのに、こう…勉強の事になると本当ポンコツで…」

 

ソファーから立ち上がった僕は、ため息をつきつつ廊下に出た。

そのまま、シャナの部屋になっている所の扉を叩く。

 

「はーい? あ、グンジョウじゃん。ユエちゃんとのイチャつき終わったの?」

「お気遣いどーも。シャナ、課題持って来てるよな?」

 

僕の質問に、シャナはやれやれと首を横に振った後、にこやかに言った。

 

「忘れた」

「阿呆!!」

 

シャナの頭に拳骨を落とす。

いったーい!! と姉は叫びながら、蹲った。

 

「グンジョウ?! 本気で殴ったね?!」

「殴りもするわ!! この馬鹿姉!! 別に僕は構わないけどお前、課題の提出遅れたり赤点ギリギリだと留年するぞ?! ツルギと一緒に卒業したいんなら、もうちょっと頑張れよ?! カヅキおばさん、そこまで甘くないからな?!」

 

涙目で抗議する姉に、僕は正論を叩き込む。

馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、ここまでとは。

我が姉ながら嘆かわしい。

 

「シャナちゃん…リューネに帰ったら、すぐ授業始まるのに…。課題やってる暇ないよ? なんで忘れたの…」

「ユエ」

 

あの後すぐに僕を追って来てたのか、ユエが呆れた目をシャナに向けていた。

だが姉は、僕らに言う。

 

「嘘だよ!! ちゃんと持ってきてるよ!! というか、シンクに忘れるなって釘刺されたんだから!!」

「…なら良い」

 

はぁー、と長めのため息をついた僕の胸ぐらを掴み、シャナは揺さぶってきた。

 

「良くない!! 姉殴るとかどうかしてんじゃないの?! ユエちゃんの事も叩いてんじゃないでしょうね?!」

「叩かれた事はあっても、叩くような真似するか!! ユエはシャナと違って、ちゃんと勉強はするし自分の事は自分で出来る女性だぞ?! 僕には勿体無いし、僕が情けなくても、それでも寄り添ってくれる人に、なんで手を上げなきゃいけないんだよ?!」

 

僕達の喧嘩する声に、ツルギとシンク、ユタカが部屋から出てくる。

まぁまぁ、とシンクが僕らを仲裁してきた。

 

「何があったか知らねぇけど、グンジョウが怒るってシャナ…お前何かやったな?」

「少し揶揄っただけなんだけど?! それで手を上げてくるんだよ?!」

 

揶揄ったシャナが悪いと、ツルギがポツリと呟く。

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