my way of life   作:桜舞

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29話『ユエに告白しよう』

「ユエはどうしたい?」

「殿下の判断にお任せします。ユタカを殿下の下につけるなら、それでも良いと思いますので。私は、殿下の幸せしか願っておりません」

 

周りに人がいるからだけど、やっぱり何か諦めたような顔で笑い、他人行儀なユエに少し腹が立つ。

 

君が僕の幸せを願うのなら、僕だって君の幸せを願う。

でも、君の隣には僕がいたら良いとも思う。

ずっと二人でいられたら、どんなに幸せな事だろう。

 

この騒動が終わったら、ユエに告白しようと決めた。

疑われても、信じてもらえなくても、ユエに愛を囁き続けよう。

あと、母様達にユエと婚約したい旨も伝えなきゃ。

…ユエから拒否られなければ、だけど。

 

「殿下、食事が用意されたようです。いただきませんか?」

 

ぼーっとしていた僕の服を引っ張り、ユエが伝えてくれた。

そうだね、と言って食卓につく。

 

そして朝食を終えた僕らは、王都にある立花邸にやってきた。

朝から忙しなく動いているメイド達を横目に見ながら、僕はカヅキおばさんの執務室へ案内される。

ユエとは屋敷に入った時に別れた。

多分ユタカが食ってかかってくるから、宥めるためにここで別れた方が良いと言われたのだ。

 

もう少しだけ、一緒にいたかったな。

 

なんて、婚約者でも恋人でもないくせに、烏滸がましい事を考えてしまう。

 

「失礼します」

 

カヅキおばさんの執務室に入ると、ソファーには姉であるシャナと、昨日の侵入者であるツルギが座っていた。

 

「よく来たな、グンジョウ。まぁ、座れ」

 

シャナ達の向かいに座り、僕は差し出されたコーヒーを受け取る。

豆から拘っているため、カヅキおばさんの家のコーヒーは香りも味もいい。

 

一口飲んで、ソーサーごとテーブルに置く。

 

「それで、どうご判断されたのですか? シャナの護衛に据えるのか、もしくは王城に不法侵入した罪で処刑にするのか」

 

シャナが何か言いかけていたが、おばさんが手で制した。

 

「私としては、シャナの護衛に据えるのがいいと判断する」

「それは何故でしょう? 一応ではありますが、彼は犯罪者です。王族の護衛には向かないと思いますし、良くて追放ではないのですか?」

 

それもそうだな、なんてカヅキおばさんは椅子に深く腰掛け、足を組んだようだった。

 

「そいつが、要の一族しか知らない体術を身につけていたからだ。あれは門外不出のはずでな。誰に教えてもらったって聞いたら、私の2番目の兄貴と来たもんだ。兄貴がこいつを信用して教えたというなら、私も信じざるを得ないんだ。ただ、シャナが卒業するまでに、シャナの護衛を務められないようなら処刑するとは伝えてある。完遂したら、元の世界に返してやると約束している。そうだな、ツルギ?」

「はい。ご迷惑をおかけしました。任務を遂行できるよう、尽力します」

 

そう言うと、ツルギは僕に頭を下げてくる。

まぁ、母様がシャナの護衛にするならそれで良いって言ってたから、この問題は良いとして。

 

「もう一つ、ユタカはどうしますか? 引き続き、シャナの護衛として…」

「ユタカはお前につけるさ、グンジョウ。シャナも言っていたが、お前は王太子だ。護衛が増えた所で不都合はないだろう」

 

それはそうだけど、シャナ余計な事を。

あと、僕に不都合はなくても、ユタカにはあるんじゃないかと思うのだが。

まぁ、ユエに告白して振られる可能性だってあるわけで。

 

「…わかりました。ユタカにその旨伝えてきます。部屋にいますか?」

 

多分な、というおばさんの言葉とともに、コーヒーを飲み干し、ご馳走様でしたと告げて部屋を出る。

出る前にシャナへ

 

「ツルギへ礼儀作法を教えておいた方がいいよ。流石に連れてって笑われる可能性があるから」

 

と言って出た。

ユタカの部屋の前に来ると、中から何かぶつかる音と怒鳴るような声がして、僕はノックするのを躊躇う。

 

え、何事…?

姉妹喧嘩、にしては物音が大きすぎるし…。

 

僕は覚悟を決めて、扉をノックした。

 

「はい! 誰?!」

 

ユタカの怒鳴り声が聞こえ、僕は顔が引き攣るのを感じる。

こんなに怒ってるユタカの声を聞いたのは、久々だったからだ。

あの時も僕絡みだったはずなので、多分今回もだろうと声をかける。

 

「ユタカ、僕だけど…」

「グンちゃん?!」

 

バタバタと駆け寄ってくる音がして、扉が開かれた。

部屋の中の惨状が凄い事になってて、その中央には防御結界を張り呆れた目でこちらを見ているユエの姿がある。

ユエの周りに物が積み上がっているのを見る限り、ユタカが物を投げつけていたのだろうと察した。

 

「ユタカ、あのさ…」

 

もう少し成長したら?

 

そう言おうとしたのだが、彼女は背伸びして僕の唇を奪う。

驚いた僕は、彼女の肩を掴んで引き剥がした。

 

「いきなり何するの?!」

「だって、グンちゃんユエとキスしたんでしょ?! ユエは否定してたけど、ユエの服からグンちゃんの匂いと魔力痕あったもん! 絶対したでしょ!!」

 

待って、魔力痕?

そんなものつけた覚えないんだけど?

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