my way of life   作:桜舞

294 / 408
294話『その血を受け継いでいる』

本当かよ、とも思ったが、ユエの手料理が食べられるなら黙ってようと思った。

まぁ、僕がこんな事考えてるの、ユエにはお見通しなんだろうけど。

 

僕は彼女と一緒に部屋へ戻る。

調理を開始したユエの背後に行き、彼女を抱きしめた。

 

「アオ? 危ないよ?」

 

包丁を持っていたユエは軽く振り向き、不思議そうに僕を見る。

だけど僕は彼女の肩に顎を置き、腕に力を込めた。

 

「別に怪我しても大丈夫。君が僕の為に食事を作ってくれるって、なんか新婚って感じしてさ。もー…ユエ可愛い、好き、愛してる」

 

僕がそう言うとユエはまな板に包丁を置き、手で顔を覆ってしまう。

耳まで真っ赤になっているので、照れまくっているのだろう。

 

「…まだ結婚してないのに…アオの馬鹿…! ご飯作れなくなっちゃう…っ!!」

「照れてる君も可愛いよ…っと、これ以上邪魔するのもいけないね。ご飯楽しみにしてるから。僕向こうでテレビでも見てるね」

 

ユエの首筋にキスを落とし、僕は彼女から手を離した。

そのままソファーの場所まで行き、腰を下ろす。

テレビをつけ、オーシアのニュース番組をぼーっと眺めた。

 

言語勉強してて良かった。

何言ってるか分かるし。

多分アオイさん、僕がオーシア語分からなかったらリューネ語に切り替えてくれたんだろうな。

あと、陛下への通訳もしてくれたかも。

…あれ、ツェリはいつの間にオーシア語勉強してたんだろ。

 

ニュース番組を見つつ思っていると、良い匂いがしてくる。

僕はユエに尋ねた。

 

「何作ってんの?」

「だし巻き卵と、豆腐とわかめのお味噌汁と、焼き魚。あとは今、鍋でご飯も炊いてるよ。他に何か食べたいのある?」

 

充分、と彼女に伝え、またぼーっとテレビを眺める。

ユエに名前を呼ばれ振り向くと、テーブルに先程言っていたメニューが並んでいた。

 

ソファーから立ち上がり、僕は椅子を引いて座る。

ユエも向かいに座って、いただきますと声を揃えて言い、ご飯を食べ始めた。

 

「…美味…っ! ユエ、また腕上げたんじゃない?」

 

ユエが作ってくれたご飯を食べつつ、僕は彼女を褒める。

焼き魚は絶妙な焼き加減だし、だし巻き卵も出汁が効いてて美味しい。

お味噌汁も美味しいし、ご飯の炊き具合も良い。

何より、このメニューは前世の僕が好きだったものだ。

オーシアでも、和風の調味料って手に入るんだー、なんて考えが頭の隅の方に追いやられるくらい、とても美味しい。

 

「ママに仕込まれたの。アオの口に入るものを自作出来なくてどうする、って。ママもテスタロッサ夫人に仕込まれたらしいよ? 王妃様がいつ命を狙われて殺されるか分からないから、王妃様が食べる物は全て貴女が作りなさいって。前世の話だけど」

「あー…成程。でもユエ? 君に負担が行くようなら、無理しなくて良いんだよ?」

 

してないよ、と彼女は微笑む。

ユエが作ってくれた食事を絶賛しつつ終え、洗い物もするという彼女をソファーに座らせて、僕が洗い物をする。

 

シャナと生活している中、これは僕の担当なわけで。

作らせた挙句、片付けもさせるとかただのクズでしかないとは、姉の持論である。

僕もそれには同意見なので、ユエにはゆっくりしててもらうとしよう。

 

「そう言えば…シャナ達食事どうしたんだろ…」

 

食器を洗いつつ、僕はポツリと呟いた。

 

「ユタカが纏めて作るって話してたよ。シャナちゃん、課題片付けるのに精神使ってご飯どころじゃないだろうからって」

 

本当うちの姉が面倒かけてごめん、ユタカ。

今度お詫びに、またシナモンクッキー作って渡してあげようかな。

 

洗い物を片付け、僕はユエの隣に座る。

僕の肩に彼女は頭を乗せ、尋ねてきた。

 

「お風呂一緒に入る?」

「入りません」

 

ちっ、と隣から舌打ちが聞こえる。

僕は呆れた目をユエに向けた。

 

「あと半年ちょっとなんだから我慢しろよ。それに、僕の理性が切れて君を襲ったって仮定するとだね? 君、高等部卒業して直ぐ子供産む事になるんだよ? それで良いの?」

「そんなに早くは出来ないよ」

 

甘い、甘過ぎる。

ユエはわかってない。

リューネ王族の男子が、どういう生き物か。

 

僕はため息をつき、彼女に懇々と説明してあげる。

 

「ユエ、良いかい? 母様は、結婚して一ヶ月で僕らを身籠ってるんだ。なんでかわかる? 毎晩毎晩、父様が母様を抱き潰していたからだよ。リーゼと僕らの年が五歳離れているのも、周りのゴタゴタでそういう事が出来なかったからだ。じゃなかったら、確実に年子か離れても二年か三年だったろうね。良い? 僕はその血を受け継いでいる。一回で済むわけないだろ。君が気絶しようが抱く自信しかないんだよ…もう…煽らないでってば…」

 

ユエの方を見ると顔を真っ赤にして俯いていた。

煽ってくるくせに、そう言われたら赤面して黙るんだから。

 

「本当、君の悪いクセだよユエ。良い子で初夜を待ってなよ。泣いたって離してやらないからさ」

 

彼女の頭を撫でる。

バッとユエは立ち上がり、お風呂入ってくると早足で部屋に置いてあった荷物を取り、そのまま風呂場と思われる場所に入っていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。