my way of life   作:桜舞

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300話『オーシアのご令嬢』

「ユエ。こっちじゃ君、成人扱いだけどね? リューネだとまだ未成年だからね? わかってる? あと、わかってて飲んだろ。鑑定スキル持ちの君が、アルコールの有無ぐらい分からないわけないだろうし」

「大丈夫だよ、アオ。飲んだの初めてじゃないし」

 

そう言って、ユエはふにゃりと笑う。

 

それは後で問いただすとして。

 

若干危ない気がしたので、僕はユエを引っ張ってアオイさんの所へ行く。

おばさんの酒癖の悪さは僕も知っていたので、その娘であるユエがどうなるかなんて、火を見るより明らかだったからだ。

 

「アオイさん、すみません。ちょっと緊急事態が起こりまして、僕らはこれでお暇させて頂きます。女王陛下にご挨拶できず、大変申し訳ないとお伝え頂けないでしょうか?」

「うん? どうし……あちゃー。ユエ、好奇心に負けてお酒飲んだね? お姉ちゃんの秘蔵のワイン、ユタカと一緒に飲んで怒られたの懲りてなかったの? 分かったよ、グンジョウ君。早くホテルにお帰り? 一つ忠告して置いてあげる。ユエ、酔ったらキス魔になるから気を付けてね」

 

それを聞けて助かった…カヅキおばさんみたいな事にならなければ、僕にも対処可能だから。

 

僕はアオイさんに頭を軽く下げ、ユエの肩を抱いて会場を後にする。

ツェリがリムジンの前で待っていてくれたが、ユエの様子がおかしい事に彼女も気付き、怪訝な顔をした。

 

「グンジョウ君、ユエちゃん…」

「酒飲んだんだよ、こいつ。全く…ごめん、ツェリ。防護結界と防音結界後部座席に張ってて貰えない? あと君、前の席に乗って。本当ごめん」

 

僕の要望に彼女はコクリと頷き、僕らが後部に乗った後、防護結界と防音結界を張ってくれたようだった。

ツェリが助手席側に乗り込んだのが見えたが、その直後、後部座席側が覗ける小窓が閉められる。

どうやら気を遣われたようだ。

 

メッセでやり取りして、僕らについて来た親衛隊とメイド達も、後からホテルに向かう事になっているし。

 

「ユエ、なんで君酒飲んだの…」

 

ちょっとドタバタ過ぎて、若干疲れてきた。

会議で頭をフル回転させていたというのもあるが。

 

「んー? アオイちゃんが言った通り、好奇心に負けたぁ。あとはぁ…アオに甘えたくなったのー!」

 

ふにゃふにゃと笑うユエは見た事がなくて、素直に可愛いと思う。

彼女が顔を近づけて来たので、僕はそのままユエからのキスを受け入れた。

 

ちょっと待て?

ユエが今キス魔になってるなら、深くしても問題ないんじゃないか?

 

と思った僕は、キスを深いものに変える。

いつもならストップが入るのだが、それもなかった。

キスの合間合間で僕の名前を呼ぶユエが愛おしすぎて、思わず彼女を押し倒してしまう。

 

「アオ…?」

 

トロンとした目で僕を見上げるユエ。

理性が崩壊しかけたが、その直後彼女は目を閉じてスースーと寝息を立ててしまった。

僕はため息をつき、ユエの上から退く。

 

あっぶねぇ…っ!!

あのままだったらユエ襲ってた…っ!!

絶対胸は触ってたな、うん…。

あそこで寝てくれて助かった…っ!!

 

僕は自分の顔を覆い、さらに深いため息をついた。

リムジンが止まり、外から窓を軽く叩かれる。

僕は扉を開けて、叩いてきたツェリに苦笑いをした。

 

「ごめん、ツェリ。ありがとう」

「ユエちゃん寝ちゃったの? 大丈夫? あと…そういう事、まだ早いと…」

 

少し頬を染めて言うツェリに僕は、残念ながらしてないんだよねと伝え、ユエを抱えてリムジンを降りる。

改めてツェリに礼を言って、僕はホテルの中に入った。

 

眠ってしまった彼女を部屋のベッドに降ろし、着替えはメイド達にやってもらう。

僕は別部屋に行き、王太子用の礼服を脱いで私服に着替え、礼服をメイドに渡した。

ついでに風呂に入っておこうと着替えを持った瞬間、ドアチャイムが鳴る。

 

親衛隊の一人が玄関まで行って対応した後、部屋を出て見ていた僕の方へ、困ったような顔を向けた。

 

「どうした?」

「エレベーターホール辺りで、オーシアのご令嬢が殿下に会わせてほしいと仰っているそうです。どうやら、要家のリムジンの後をついてきたようで」

 

うわ、マジか。

穏便に帰ってもらえたら有難いんだけど、親衛隊が困っている所を見るに、そうしてもらえなかったという事だろう。

しかもエレベーターホールと親衛隊が言った所によれば、この階まで上がってきたという事に違いなかった。

 

「強硬手段に出たら、外交問題になるしなぁ…。わかった、僕が出る。ユエは簡単に起きないだろうけど、起きたらこういう事になってるから、部屋から絶対出ないように言っておいて」

 

親衛隊に言伝を頼み、僕は部屋の外へ出る。

エレベーターホールで待っていたのは、金髪緑目のご令嬢だった。

毛先が軽く巻き髪になっており、毛質を見るに天然パーマというやつかな? と感想を抱く。

歳の頃は僕やユエと同じくらいか、少し下かと思う。

 

「グンジョウ王太子殿下。(わたくし)キムラヌート領主の娘で、ソーニャと申します。前触れも無く訪問致しました事、お詫び申し上げますわ」

 

そう言い、彼女はカーテシーをしながら頭を下げた。




300いきましたー
なっっが…
凄い自分…どんだけ書くの…?
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