「ユエ。こっちじゃ君、成人扱いだけどね? リューネだとまだ未成年だからね? わかってる? あと、わかってて飲んだろ。鑑定スキル持ちの君が、アルコールの有無ぐらい分からないわけないだろうし」
「大丈夫だよ、アオ。飲んだの初めてじゃないし」
そう言って、ユエはふにゃりと笑う。
それは後で問いただすとして。
若干危ない気がしたので、僕はユエを引っ張ってアオイさんの所へ行く。
おばさんの酒癖の悪さは僕も知っていたので、その娘であるユエがどうなるかなんて、火を見るより明らかだったからだ。
「アオイさん、すみません。ちょっと緊急事態が起こりまして、僕らはこれでお暇させて頂きます。女王陛下にご挨拶できず、大変申し訳ないとお伝え頂けないでしょうか?」
「うん? どうし……あちゃー。ユエ、好奇心に負けてお酒飲んだね? お姉ちゃんの秘蔵のワイン、ユタカと一緒に飲んで怒られたの懲りてなかったの? 分かったよ、グンジョウ君。早くホテルにお帰り? 一つ忠告して置いてあげる。ユエ、酔ったらキス魔になるから気を付けてね」
それを聞けて助かった…カヅキおばさんみたいな事にならなければ、僕にも対処可能だから。
僕はアオイさんに頭を軽く下げ、ユエの肩を抱いて会場を後にする。
ツェリがリムジンの前で待っていてくれたが、ユエの様子がおかしい事に彼女も気付き、怪訝な顔をした。
「グンジョウ君、ユエちゃん…」
「酒飲んだんだよ、こいつ。全く…ごめん、ツェリ。防護結界と防音結界後部座席に張ってて貰えない? あと君、前の席に乗って。本当ごめん」
僕の要望に彼女はコクリと頷き、僕らが後部に乗った後、防護結界と防音結界を張ってくれたようだった。
ツェリが助手席側に乗り込んだのが見えたが、その直後、後部座席側が覗ける小窓が閉められる。
どうやら気を遣われたようだ。
メッセでやり取りして、僕らについて来た親衛隊とメイド達も、後からホテルに向かう事になっているし。
「ユエ、なんで君酒飲んだの…」
ちょっとドタバタ過ぎて、若干疲れてきた。
会議で頭をフル回転させていたというのもあるが。
「んー? アオイちゃんが言った通り、好奇心に負けたぁ。あとはぁ…アオに甘えたくなったのー!」
ふにゃふにゃと笑うユエは見た事がなくて、素直に可愛いと思う。
彼女が顔を近づけて来たので、僕はそのままユエからのキスを受け入れた。
ちょっと待て?
ユエが今キス魔になってるなら、深くしても問題ないんじゃないか?
と思った僕は、キスを深いものに変える。
いつもならストップが入るのだが、それもなかった。
キスの合間合間で僕の名前を呼ぶユエが愛おしすぎて、思わず彼女を押し倒してしまう。
「アオ…?」
トロンとした目で僕を見上げるユエ。
理性が崩壊しかけたが、その直後彼女は目を閉じてスースーと寝息を立ててしまった。
僕はため息をつき、ユエの上から退く。
あっぶねぇ…っ!!
あのままだったらユエ襲ってた…っ!!
絶対胸は触ってたな、うん…。
あそこで寝てくれて助かった…っ!!
僕は自分の顔を覆い、さらに深いため息をついた。
リムジンが止まり、外から窓を軽く叩かれる。
僕は扉を開けて、叩いてきたツェリに苦笑いをした。
「ごめん、ツェリ。ありがとう」
「ユエちゃん寝ちゃったの? 大丈夫? あと…そういう事、まだ早いと…」
少し頬を染めて言うツェリに僕は、残念ながらしてないんだよねと伝え、ユエを抱えてリムジンを降りる。
改めてツェリに礼を言って、僕はホテルの中に入った。
眠ってしまった彼女を部屋のベッドに降ろし、着替えはメイド達にやってもらう。
僕は別部屋に行き、王太子用の礼服を脱いで私服に着替え、礼服をメイドに渡した。
ついでに風呂に入っておこうと着替えを持った瞬間、ドアチャイムが鳴る。
親衛隊の一人が玄関まで行って対応した後、部屋を出て見ていた僕の方へ、困ったような顔を向けた。
「どうした?」
「エレベーターホール辺りで、オーシアのご令嬢が殿下に会わせてほしいと仰っているそうです。どうやら、要家のリムジンの後をついてきたようで」
うわ、マジか。
穏便に帰ってもらえたら有難いんだけど、親衛隊が困っている所を見るに、そうしてもらえなかったという事だろう。
しかもエレベーターホールと親衛隊が言った所によれば、この階まで上がってきたという事に違いなかった。
「強硬手段に出たら、外交問題になるしなぁ…。わかった、僕が出る。ユエは簡単に起きないだろうけど、起きたらこういう事になってるから、部屋から絶対出ないように言っておいて」
親衛隊に言伝を頼み、僕は部屋の外へ出る。
エレベーターホールで待っていたのは、金髪緑目のご令嬢だった。
毛先が軽く巻き髪になっており、毛質を見るに天然パーマというやつかな? と感想を抱く。
歳の頃は僕やユエと同じくらいか、少し下かと思う。
「グンジョウ王太子殿下。
そう言い、彼女はカーテシーをしながら頭を下げた。
300いきましたー
なっっが…
凄い自分…どんだけ書くの…?