my way of life   作:桜舞

303 / 408
303話『もはや見慣れた顔』

「あら、他国の王太子殿下だと申し上げたでは有りませんか。リューネでは有名な、ナズナ陛下とシャルロット王妃殿下のご子息ですもの。それに、こちらでも有名な立花博士のご教授も受けていると、ユエから聞かされてますし。貴方方が、ユエを忘れられないとか惚けた事を仰るから、その婚約者である殿下と決闘なさっては? と進言しただけです。それに対して是と答えたのは貴方方ですわ。少し調べればわかる事ですし、私悪く有りませんわ」

 

情報収集を怠ったのはそちらだと言わんばかりの言い分に、男性はキレ散らかしていたが、僕の袈裟斬りを喰らい、地面に倒れ伏す。

あと数名となった所で、僕は彼らに聞いた。

 

「まだやりますか? それとも、降参しますか?」

「グンジョウ優しいー。思い上がった奴らは叩き伏せてしまえって、カヅキおばさん言ってたよ?」

 

シャナがおばさんの名前を出した瞬間、男性達は震え上がる。

 

おばさん、こっちで何やったんですか…?

それに昨日の女王陛下の様子も気になるんだよな。

アオイさんに尋ねてみるべきかなぁ。

 

なんて思考に耽っていたのだが、その隙を見てか男性達が僕に突撃してきた。

まぁ、そんな事は作戦の内だが。

 

僕は、魔武器であるブランシュとノワールを投げつけ、操る。

足やら腕やらをスパンと一刀両断された男性達は、痛くてその場でのたうちまわった。

 

うん、わかるよ。

痛いよね、足とか腕とか飛ばされたら。

僕はもう慣れたけど。

 

「はい、終了です。皆さん惨敗ですね。ユエを奪うなら殿下を倒さなければなりませんけど、無理だってお分かりになられましたか?」

 

防死の結界が解かれる気配がする。

僕は金髪が揺れる所まで行って、眼鏡を返してもらい、顔にかけた。

そしてユエへ弁明する。

 

「ユエあのね? 君が醜いとかの話をしてるわけじゃなくてね?」

「うん、シンクから説明された。美人は三日で飽きて、ブスは三日で慣れる。容姿の美醜は恋人選びにおいて些細な問題で、中身を見て選ぶべきだって意味なんだよね?」

 

そうそう、と僕は頷いた。

シャナは確かに美人の分類には入る。

だがそれを隣で17年見てきた身としては、もはや見慣れた顔としか思わないわけで。

美人なのは認めるけどね、くらいの認識だ。

 

「アオ、私は?」

「君? 最初は鬱陶しかったけど、今はとても可愛い僕の恋人で婚約者。いずれ妻になってもらって、一緒に死ぬつもりの運命の人」

 

言い切ると、ユエが少し照れたようで顔を俯かせた。

 

あー、可愛い。

抱きしめたい。

人前でやると怒るから出来ないけど。

 

そう思っていると、ユエが俯きながら腕を広げてくる。

耳まで真っ赤になっている所を見るに、恥ずかしいけど抱きしめても良い、と言う許可を出してくれたのだろう。

 

僕は彼女を抱きしめ、頭に頬擦りする。

 

「可愛い。大好きだよ、ユエ」

「ん…私も…」

 

ユエは僕を抱きしめ返し、胸へ顔を埋めてきた。

本当可愛いなぁ、僕の恋人は。

動作の一つ一つが愛らしい。

 

そういえばと、ふと気になった事を彼女に尋ねた。

 

「ユエ、二日酔いとか大丈夫かい?」

「ん? うん。頭痛くなってないよ。私、お酒強いというか…抜けるの早いの。というか、それ今聞く?」

 

ユエは僕を見上げつつ、ちょっと眉を寄せていた。

それに対して謝罪する。

 

「ごめんね。これが頭の中占めてて、君の体調まで気を回せなかった。僕、酒飲んだ事ないから…どうなるかわかんないんだよね。父様と母様は酒強いらしいんだけど、飲んでる姿あんまり見た事ないから本当かどうか怪しいし…」

 

むしろ彼女の前で醜態晒したらどうしよう、という懸念まである。

飲まないという選択肢もあるにはあるが…。

 

「ちゃんと介抱はするよ?」

「おかしくなったら本当ごめん…」

 

そんな僕らのイチャつきぶりに、ソーニャ嬢はまたクスクス笑うのだった。

 

◆◆◆

 

そんな感じで日々は過ぎて行き、僕らがリューネに帰る日になった。

航空艦に乗り込み、帰国までの間ラウンジでユエとお茶をする。

 

あの後ソーニャ嬢から、ユエが幼等部に入ってから初等部までの間の話を聞けたのは、良かったのだが。

 

「ユエに告白する奴ら、多すぎじゃないか…?」

「それ言うならユタカもだよ。私だけじゃないし」

 

ラウンジでお茶を飲みつつ、僕はガクリと肩を落とした。

彼女に想いを告げてきた連中の容姿やら何やらを聞いてたのだが、僕は段々落ち込んでくる。

 

本当、こんな僕で良いのだろうか彼女は?

中には、僕以上のスペックを持っている男性もいたというのに。

確かに彼女達は美少女だから、付き合いたいという欲求は理解出来るけども。

 

「んー…アオに振られたのが私だったら、そいつらの誰かとは付き合って結婚してたかもだけど。でも、私もユタカも、今とても幸せなの。好きな人に愛されてるって、素敵な事なんだよアオ?」

 

テーブルに肘をつき、ユエはニヤリと笑う。

 

「君に選んでもらえて光栄だよ、ユエ」

「それは私も。貴方と一緒に歩めるなら、辛く険しい道でも余裕な顔して歩いてみせる。アオの事が世界で一番大好きな女の覚悟、ナメないでよね?」

 

彼女の言い分に、僕も笑った。

ナメてないよ、と返事をしながら。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。