my way of life   作:桜舞

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313話『男女逆転喫茶』

ウンディーネ1の月。

ローレンツの馬鹿親子は、刑務所なるものに収監される事になったらしい。

終身刑だそうで、一生刑務所の中から出て来れないようだ。

 

ローレンツの当主には分家の者が就いたようで、今度はまともな奴だと、父様から聞かされた。

 

シャナが交換してきた魔王の遺物は指輪だったようで、僕らが回収してきた遺物が増えた事により解析が進み、魔王の居場所が掴めそうだ。

そうおばさんが話していたと、ユエとの会話の合間に出てくる。

 

そんなある日。

 

「却下ぁぁぁぁっ!!!」

 

僕は机を叩いて抗議の声を上げていた。

クラスメートのみんなが僕の方を驚いた目で見たり、諦めた表情を向けたりと様々な顔を向けて来るが、それに構っている暇などなかった。

 

「ルトル!! お前なんてもの提案してるんだよ?! 良い加減にしろよ?!」

「うん? 別におかしな事は提案していないだろう? 男女逆転喫茶をしようじゃないか、と私は言っただけさ」

 

それが問題なんじゃねぇか!!

 

ルトルが提案した男女逆転喫茶は、男子が女子の格好を、女子が男子の格好をするという普通のものではなく、服に魔法陣を縫い込み、それを着ている間、男子の体を本当に女子へ、女子の体を本当に男子へする、というものだった。

 

「普通の男女逆転じゃなく、本当にするとか頭正気かお前?!」

「しかもよぉ、ルトル。これ結構高度な魔法陣組まないと出来ないぞ? それどうすんだよ。流石にその道のプロじゃねぇと厳しいと思うぞ」

 

シンクが助け舟を出してくれ、僕も思い切り首を縦に振る。

 

「衣装はうちの方で用意出来るのだが…魔法陣がなぁ…立花先生、どうにかなりませんか?」

 

ルトルが、担任であるカヅキおばさんに助けを求める。

僕らの様子を傍観していたおばさんだったが、ニヤリと笑った。

 

「どうにかしてやろう。私はこのクラスの担任だからな」

「おばさん?!」

 

僕がそう叫んだ瞬間、出席簿が僕目掛けて投げられる。

それをキャッチし、おばさんの方を見ると睨まれてしまった。

 

「立花先生だ、グンジョウ」

「今僕にとっては死活問題なんですよ、立花先生?!」

 

普通の女装は、まぁ、一年の頃に白雪姫やったから何とか耐えようと思えば耐えられる。

だが、体が本当に女になってしまったら、ユエと顔合わせられないんだが?!

嫌だよ、女になった僕を恋人に見られるの!!

 

「ユエなら、アオ可愛いー、とか言うだろうよ」

「思考読むな立花卿!! 見られたくないから言ってんだろうが!! 百歩譲ってやるのは良い、僕は絶対裏方だからなルトル!!」

 

えー、と彼女は不満の声を上げるが、僕は絶対裏方が良いと言い続ける。

 

「王子が民の願いを聞き入れんとは…王妃殿下が聞いたら、嘆かわしいとか言いそうだな。今回の学園祭、お前の両親も来るらしいぞグンジョウ。お陰で私の仕事が増えた。親に自分が立派にやっている所、見せたいとは思わんのか?」

「尚更見せたくないんですけどぉっ?!」

 

叫び過ぎて、僕はゲホゲホと咳をした。

そんな僕を見てか、カヅキおばさんは立ち上がり教室を出ていく。

何処に行ったかと思えば、同じく今のこの時間、学園祭の出し物について話をしているだろうはずの、隣のクラスにいるユエを連れてきやがった。

 

「あの、事情は聞いたんだけど…なんで私連れてきたのママ…アオを説得しろって事なんだろうけど、嫌がってるアオに無理強いするのは…」

「グンジョウが女になった姿見たくないか、ユエ?」

 

おばさんの甘言にユエはグッと黙り、僕をチラリと見る。

嫌だと目線で訴えるが、彼女は少し目を逸らしながら言った。

 

「アオが女の子になった姿…ちょっと見てみたいかな…」

「だったら、ユエのとこと今年も合同でやろうじゃないか? なぁ、ルトル? それなら僕も表に出て接客してやるよ。ついでにユエも出ろよ? 君も男になって接客すると良いさ」

 

多分今の僕の顔には青筋が浮いている事だろう。

ニコリと笑みながら言うと、ユエがマズいという顔をする。

 

今更意見など覆す事など出来ず、ユエのクラスの委員と話し合って、合同男女逆転喫茶と決まった。

 

◆◆◆

 

「アオが口聞いてくれない…」

 

あれから一日経ち、アビドボルの領地に行く事になった車の中。

寮に迎えが来て、それに乗り込み向かっている最中だったのだが、ユエが涙目になりながらシャナに訴えていた。

 

「あー…うーん。グンジョウの気持ちもわかるし、ユエちゃんの気持ちも分かるよ? でも…うーん…」

「今回はカヅキおばさんが悪いだろ。生徒主体でやらせるなら、あれは無理難題過ぎた。ルトルもそれが分かっていたから、カヅキおばさんに助力を求めたんだ。おばさんがノーと言えば、現実にはならなかったはずだぜ? 本当おばさんの悪い癖。子供の味方なのと、愉快主義者なとこ」

 

あとはユエがそう言わなければ、ルトルが更に助長する事もなかったんだろうけどね。

 

僕は少しイラついて、あの時間から一切ユエとは喋っていない。

今もガン無視で本を読んでいる。

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