my way of life   作:桜舞

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318話『弟妹が幸せなら、それだけで幸せ』

「勝手に、人を、殺すんじゃ、無いわよ…っ!! 気絶してて、今起きたっつーの!! というか、身動き取れないから助けてよグンジョウ?! 手ぇ振り払ったなぁっ?! お姉ちゃん勝手に殺して助けないとか酷い弟だなぁっ?!」

「シャナ?!」

 

僕は慌てて、瓦礫やらを退かし始めた。

ユエ達も戦闘が終了したようで、シャナの救助に加わってくれる。

瓦礫と地面の間からシャナが現れ、腕を引っ張って助け出した。

 

土だらけになった姉は、自分の服についた土を払いながら眉を寄せる。

 

「あんにゃろー…っ! よくも攻撃してくれたなぁ!! くっそ油断したぁぁっ!!」

 

悔しがる姉に、ツルギが安堵した表情を浮かべてシャナを抱きしめた。

 

「シャナ…俺も、君が死んだかと…思ってた…無事で、本当に良かった…っ!!」

「咄嗟にリブロが障壁張ってくれたの。衝撃は殺せなくて、瓦礫に頭打って気絶しちゃったみたい。えへへ、ごめんねツルギ君。グンジョウも。泣かせてごめんね。お姉ちゃんは頑丈だから大丈夫だよ」

 

片方の手をツルギの背に回し、もう片方を僕に差し出してシャナは微笑む。

僕はそれを見て、また涙が出てきた。

 

「…っ、姉さん…っ!! 姉さんが無事で、本当に良かった…っ!! 僕こそごめん…っ! 守りたかったのに、守れなかった…っ!!」

「グンジョウ来てたらもっと大変な事になってたよ。でも、心配させてごめんねグンジョウ。お姉ちゃん想いの良い子だね、グンジョウは」

 

ツルギがシャナから離れたようで、姉は僕を抱きしめてくる。

頭を撫でられ、僕はシャナの服を掴み泣きじゃくった。

 

「アオ…」

「ユエ、そっとしといてあげよう? グンちゃん、シャナちゃんが無事で本当に嬉しいんだからさ。シンクも行きたいなら行ってきなよ。私達、周囲の様子見てくるから。ほらツルギ。シャナちゃん取られたみたいで複雑なのはわかるけど、姉弟なんだから変な事にはならないって! こっち来る!」

 

ユタカがユエとツルギを連れて、その場から離れる。

その後に少し重さがかかったのは、きっとシンクもシャナを抱きしめたからだろう。

 

「姉ちゃん…うちの姉が悪い…」

 

シンクはバツが悪そうにシャナに謝る。

あれを姉と呼ぶのも本当は嫌なんだろうが、自分の身内が起こした事を弟は謝罪した。

 

「あれを姉と呼ばなくて宜しい。あんたのお姉ちゃんはあたしだけ。良い? あんな性悪、あたしじゃないから!」

 

泣き止んだ僕の頭を撫でながら、シャナは宣言する。

シンクも、自分の弟であると。

 

「それに、グンジョウの名前についてなんか言ってたの聞こえたぞ…。母様が名前つけてくれたのにケチ付けるとかアホか。群青って名前は、グンジョウにぴったりなのに。何が見たまんまだ。ふざけんな!! あー、もーっ!! 次会ったら問答無用でぶちのめしてやる!!」

「…姉ちゃん…ごめん、俺も頭撫でてもらって良い…?」

 

良いよ、とシャナは微笑み、シンクの頭を撫で始める。

そして、弟にしては初めて涙を溢した。

 

「…うん、辛かったんだね。グンジョウ、あの…」

「良いよ、別に。こいつもグンジョウだし。僕と混ざってややこしいから、シンクって呼んでるだけだし」

 

シャナの意図がわかり、僕は肩を竦める。

弟だと思ってはいるが、もう一人の自分だという事は忘れていない。

 

「ありがと。シンク、今だけ群青って呼ぶね。あっちの世界で、とても辛い思いをしてきたんだね群青。でも、ここには群青を苦しめる者も、辛い思いをさせる物も、何もないよ。あたしも、もう一人の君も、弟妹だって群青の事が大好きだよ。だから、今からは幸福にしかならないって、宣言してあげる。もしも、君を痛めつけて、苦しめて、悲しませるモノがあったのなら、お姉ちゃんが全部排除するよ。あたしはね、群青。弟妹が幸せなら、それだけで幸せなの。君達の幸せが、あたしの幸せ」

「…姉ちゃん…」

 

シャナはシンクの手を握り、笑う。

とても優しい微笑みで。

シンクはその笑顔を見て、また涙を流した。

 

「ごめん…ありがとう…姉ちゃん…っ! 俺も、みんなが大好きだよ…っ!!」

「うん。思いっきり泣いて良いよ、群青。ここにはあたし達しかいないからね」

 

シャナと額を合わせ、シンクはさっきの僕みたいに泣きじゃくる。

いつもシンクが慰めてくれているように、僕は弟の背を撫でた。

 

◆◆◆

 

「アオ、あのさ。一個聞いて良いかな」

 

シンクが泣き止んだあたりで、ユタカ達が戻ってきた。

彼女達の報告を聞いて、僕は頭が痛くなる。

 

アビドボルは、被害は少ないもののフリーデリーケと同じ末路を辿ったらしい。

屋敷の中にいた者達は全て、原型を留めないくらいに溶けてしまっていたようだった。

 

被害はこの屋敷のみで、領民には何も被害がなかったのが不幸中の幸いか。

 

「何?」

 

王都に連絡して、おばさんとトリスタン所属の兵達が現場検証をしている。

その傍、ユエが僕に質問してきたのでどうしたのかと返した。

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