my way of life   作:桜舞

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326話『ご飯何か恵んでくれない?』

「殿下、私にも一口いただけないでしょうか?」

「ユタカ?! あんた、明日シンクと一緒に食ベに来ればいいじゃん!!」

 

シンクの隣に並び、ニコリと笑むユタカへユエが噛み付いた。

 

「そんなにガミガミ言わないでくれないかな、ユエ。ただの味見だよ。シンクが苦いって言うくらいだから、どれくらいかと気になっただけ。間接キス云々気にするなら、ユエのフォーク使えばいいでしょう?」

 

ユタカの言い分も尤もなので、僕はユエに許可を取って彼女のフォークを使い、ユタカにケーキを差し出す。

彼女はそれを一口食べ、確かに苦いね、と笑った。

 

「そこまで眉を寄せるものでもないから、シンクとユエが甘党なだけだね。苦いけど美味しいよ?」

「だよねぇ?」

 

ユタカに同意を得られて、少し嬉しい。

ケーキを食べ終え、会計を済ませて三人で出る。

次はどこ行こうか、という話になり、シャナがあそこに行きたいと言った場所に来たわけなのだが。

 

「シャナさ…怖いのに来たがるよね。馬鹿なの?」

 

看板にお化け屋敷と書かれたものを見ながら、僕はシャナを馬鹿にする。

 

「だっ、だって! ツルギ君とは来れないじゃん?! 下手したら、手握り潰しちゃうかもしれないし!!」

 

そうだね。

普段は別にそんな怪力じゃないけど、驚いたり怖がったりすると、魔力が軽く暴走状態になって、力加減見誤るんだよね。

それで僕、何回手の骨折られた事か。

 

「シャナちゃん…? 今度アオの骨折ったら許さないからね…?」

「ユエ。慣れたから。すぐ治してくれるし、それがシャナだろ? ほら行くぞ」

 

シャナに圧をかけるユエを止め、彼女の手を握り、姉の背に手を添えて中に入場する。

空間拡張魔法で広くしてあるのか、教室の一室のはずなのに通路が広く作られていた。

廃坑をイメージしてあるのか中は薄暗く、まっすぐに通路が続いている。

 

「ユエ、怖かったら目を閉じてて良いからね。ほら、シャナ。お前が入りたいって言ったんだから行くぞ」

 

シャナの背を押し、ユエには僕の腕に抱き付かせて歩く。

色んなギミックやお化け役が脅かしてくるが、僕は普通にそれらを観察した。

 

へー、人が通ったら感知して物が飛び出してくるギミックかぁ…。

感知機器は…あそこか。

結構ハイテクな物使ってるんだなぁ。

 

隣で姉は叫びまくり、ユエは僕の腕に抱きついて声も上げず俯いている。

掛かる腕の圧迫が凄いから、めっちゃ怖がってるんだなとは分かるけど。

 

「ぎょぇぇえぇあぁぁぁっ?!」

「どんな叫び声だよお前…女性が出しちゃいけないやつだと思うぞ、それ…」

 

逆さ吊りの脅かし役が出てきた瞬間、シャナがそんな叫び声を上げ、座り込んだ。

僕が呆れつつシャナに言うと、姉は涙目になりながら空笑いを浮かべる。

 

「グ、グンジョウ、ごめん…腰抜けた…」

「だと思ったよ、この馬鹿姉。全く…ユエごめん。ちょっと離れてくれる?」

 

ユエは無言で僕の腕を離してくれた。

シャナを抱き上げ、片手で支える。

姉は僕の首に腕を回して抱きついてきた。

 

「ユエ、行こう。腕に捕まって。シャナ、今度はツルギと来い。この姿、あいつに見られてみろ。絶対誤解されるぞ」

 

いつも、姉弟だからそんな関係にはならない、とツルギには言っているのだが、いまいち信用してもらえていない気がする。

介護と同じ感じで姉の世話を焼いているだけなんだけど、なんか、僕が姉に禁断の恋を抱いている、みたいに見られる時があるんだよな。

 

「気持ち悪ぃ…」

 

そんな事は断じてない。

神に誓っても良い。

姉にそんな情欲を抱いた事は、一切ない。

むしろ今、僕の腕に抱きついているユエを押し倒したいと、常々考えているというのに。

 

「アオ、大丈夫?」

「ん? うん、大丈夫だよユエ。心配しないで……ユエ? 別に首絞まってて気持ち悪いって言ったわけじゃないからね?」

 

シャナを抱き抱えている僕を見て、ユエの眼光が鋭くなる。

 

「わかってる。シャナちゃん?」

「ごめんユエちゃん…出てちょっとしたら回復するはずだから…今だけは見逃してぇぇ…」

 

情けない声を上げて、ユエの詰問に謝罪するシャナ。

そこは自分の場所だと言いたいみたいだが、人前ですると怒るのにね君。

 

お化け屋敷から出て、僕はシャナを運搬する。

控え室になっている教室へ戻ると、ちょうど出ようとしていたツルギと鉢合わせた。

 

「殿下…シャナは…」

「ツルギ悪い、受け取ってくんない? 怖がりのくせにお化け屋敷入るって聞かなくて。途中で腰抜かしたから、ここまで抱っこして連れてきたんだよ。シャナ、腕離せ。ツルギに渡すから」

 

姉は素直に腕を離す。

そのままシャナを降ろすと、ツルギが姉を抱き抱えた。

 

「ごめん、グンジョウ、ユエちゃん…」

「謝るのは良いけど、ツルギの誤解解いといて。学園祭終わるまであと何時間だ…? ユエ行こうか」

 

ユエの手を引き、控室を後にする。

数室見て回った後、この日の学園祭は終了となった。

 

◆◆◆

 

「ユエ、ごめん。ご飯何か恵んでくれない?」

 

彼女の部屋に行き、出て来たユエに両手を合わせて頭を下げる。

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