my way of life   作:桜舞

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328話『怒られるぞ、お前』

僕はユエと顔を見合わせた。

 

彼女の頬が若干染まっていたが、多分僕も顔が赤くなっている事だろう。

 

「ユタカ、揶揄わないで」

「揶揄ってないよ? 本当にそう思ったの。息ぴったりだしね。良い夫婦になると思うよ、グンちゃんとユエは」

 

ユタカは卵焼きを口にし、今度シンクにも作ってあげようかな、なんて微笑みながら呟く。

僕はユエの方を見れず、黙々とご飯を食べた。

 

◆◆◆

 

二人にご飯の礼を言って、部屋を出る。

ユタカの言葉が頭に残り、僕はぼーっとしながら自分の部屋に帰った。

 

「あ、お帰りグンジョウ。ユエちゃん怒ってたでしょ? 明日会ったら怒られそうだなぁ」

 

たはは、と笑う姉に、うん、と生返事を返し、僕は自室に入る。

風呂に入る為の着替えを持ち、そのまま直行した。

 

服を脱いでいる所で、シャナがドアを開けて覗き込んでくる。

 

「グンジョウ、どうしたの? なんか変な物でも拾って食べた?」

「お前じゃあるまいし、誰が食うかよ。別に何でもないから、扉閉めろ」

 

いつもなら、キーキー怒って乱暴に扉を閉めているはずの姉だが、今日は少し心配そうに立っていた。

それに対して、僕は苦笑する。

 

「シャナこそどうしたんだよ。何でもないって言ってんのに」

「グンジョウの様子がおかしいからでしょ。よし、お姉ちゃんが悩み聞いてあげよう。泡風呂にしたらグンジョウも恥ずかしくないでしょ?」

 

僕の様子が気になったらしいのはわかるのだが、いきなり何言い出すんだこいつ。

 

「バレたらツルギとユエに怒られるぞ、お前」

「言わなきゃ良いじゃん。だいたい星読みの能力持ってんのは、母様とシンクだけだし。あの二人がユエちゃんとツルギ君にチクるわけないし。さっさと体洗って、湯船にお湯溜めといて」

 

シャナは? と聞いたら、僕が帰ってくる前に入ったらしい。

もう一回風呂に入るのは良いのかと問うたが、洗濯物が増えるだけだという返答に、僕は諦めた。

うちの女性陣は、一度言い出したら聞かないから。

 

シャナの言い付け通りにしていると、姉がバスボムを持って入ってくる。

それを湯船に投げ入れ、軽く水飛沫が上がった。

溜まる前に湯船に入っていた僕に、お湯がかかる。

 

「おい、シャナ…!」

「まぁまぁ。お邪魔しまーす」

 

眼鏡をかけていないからぼんやりとしか見えないが、バスボムから泡が発生して湯船が白く染まった。

完璧に泡だなぁ、とそれを見ていたら、シャナが問いかけてくる。

 

「で、何があったの?」

「…ユタカに、僕とユエが良い夫婦になるって言われて…熟年夫婦みたいとも言われてさ…少し気恥ずかしくて…」

 

思い出して、顔が熱くなった。

そんな僕を見て、シャナが笑う気配がする。

 

「グンジョウとユエちゃんは、前世からのお付き合いなんでしょ? それはそういう感想になるよ。お互いの性格も、趣味嗜好も、熟知してるんだから。母様達だって、あたし達が産まれる前からの付き合いで、あんなに仲良いんだもん。そんなに照れる事ないよ、グンジョウ。とても良い事を言われたんだね」

「…うん、そうだね」

 

狭い湯船に、お互い向かい合うようにして僕らは話す。

ユエ達の所で思った事をシャナに言い、確かにね、なんて姉は笑った。

 

「あたしとグンジョウは、生まれてからずっと一緒だけど…そうだね。そう考えると、あの頃からはとても遠い場所に来ちゃったね。グンジョウは、どれくらいまで戻りたいって思う?」

「ユエと会った頃くらいかな。でも、記憶を持った状態でっていう条件付きで。じゃなきゃ、同じ事の繰り返しだし」

 

魔王が復活する前に遺物を見つけて回収、もしくは破壊が出来れば、あの魔王も弱体化するんじゃないか、と希望的観測を抱く。

まぁ、時間遡行なんて今の技術じゃ無理だし、時空断裂に巻き込まれたとしても、母様から聞かされた異世界に飛ばされるだけだし。

 

「確かにねー。てか、このお風呂もさ。小さい時は大きく感じたのに、今じゃ狭いよね」

「そうだね…シャナ、体育座りしてるだろ。キツくない?」

 

僕は足を伸ばしてはいるが、シャナは体を縮こませているのが、伸ばした足からわかった。

 

「いや、キツいかそうじゃないかって言われたら、キツいけど…素肌なもんで。グンジョウ嫌でしょ?」

「泡で見えてないし、小さい頃は一緒に入ってたじゃん。だいたい、ユエと付き合う前に何回お前の着替え持ってって、裸見たと思ってんだよ。慣れたわ」

 

じゃあ失礼して、とシャナは体勢を変え、僕に背を預ける形で足を伸ばした。

やっぱ狭いね、なんて笑っていたけど。

 

「本当、あの頃から遠い所に来たね、グンジョウ。こんなにガタイ良くなっちゃって」

「シャナだって、背は伸びたし、体つきは女性らしくなったじゃん。小さい頃は寸胴だったのに」

 

何おぅ、と姉は軽く僕の胸を叩いてくる。

一応褒めてんだけどな。

 

僕は後ろから姉を抱きしめて、頭に頬擦りした。

 

「それでも、シャナが僕の姉で良かったと、いつも思っているよ。ありがとう、姉さん。姉さんがいてくれたから、僕はここまで来れたよ」

「…うちの弟は、手が掛かるからね。今度はユエちゃんが、グンジョウを助けてくれるから。ちゃんとユエちゃんを大事にするんだぞ?」

 

シャナは僕の頭を撫で、笑う。

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