my way of life   作:桜舞

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329話『作戦会議をしようじゃないか』

それは勿論、と僕は返答する。

 

のぼせる、とシャナが言ったので、僕は手を離した。

湯船から上がる際もう一度僕の頭を撫で、姉はシャワーで泡を流し、浴室から出ていく。

 

シャナと風呂に入ってみた感想だが、全く何とも思わない、だった。

確かに女性特有の体の柔らかさだが、情欲を抱くかと言われたらそんな気も起きない。

 

やっぱり、僕はユエだけが良いんだな。

 

という結論に至る。

そして、今日の出来事は墓まで持っていくべきだな、と思った。

彼女にバレたら、半殺しの目に合う事間違いなしだからだ。

 

姉弟仲が良いからって、限度があるだろう、と。

いくら言い訳しても無駄な気がする。

 

「明日はこの事考えないようにしないと…」

 

思考を読まれて大喧嘩になりそう。

そんな事を思っていると浴室の扉が開き、僕はそちらを見る。

 

「グンジョウ、いい加減出ないとのぼせるよ? 冷凍庫にアイスだけはあるんだよね。食べる?」

「甘いじゃん、僕食えねぇだろ」

 

僕がそう言うと、ちっちっちっ、と姉は指を振った。

 

「甘くないアイス、この間作ったんだよね。ツルギ君に実食してもらってお墨付きもらったから、グンジョウも大丈夫なはずだよ」

「いつの間に…」

 

だいたい僕、シャナと行動を共にしてるはずなんだけど。

あれか?

ユエとデートしたり、勉強する為に部屋に篭ってる間か?

 

「…それなら食べる」

「用意しとくねー」

 

パタン、と扉が閉められ、僕は天井を仰いだ。

 

うちの姉が幸せになってくれないと困るなぁ…。

抜けてるしポンコツだし、アホの子だけど。

とても優しく、気遣いが出来て、弟妹思いの姉さん。

笑顔がとても眩しい、僕の半身。

 

「さて、上がるか…」

 

上がる際、湯船の栓を抜いておく。

どうせこの後誰も入らないのだから、と。

 

シャナ特製の甘くないアイスは本当に甘くなくて、牛乳や生クリーム特有の甘さしか感じなかった。

 

「シャナ、腕あげた?」

「ふふん! もっとお姉ちゃんを褒めると良いよ!」

 

あんまり褒めると付け上がるから、これぐらいにしておこう。

そう考えると軽く叩かれる。

ナチュラルにみんな僕の思考読んでくるから、本当もう慣れたよ…。

 

シャナは市販のチョコアイスを食べ、交代で歯を磨いた後、寝床に入る。

そのまま寝てしまったようで、日の光で目を覚ました僕が見た光景は、僕のベッドの縁に頬杖をついて僕を見つめているユエの姿だった。

 

「…なんでいるの…」

「チャイム押したら、シャナちゃんが出てきたから入れてもらった。一応昨日の事は、少しチクリと言ってやったけど」

 

少し開いた扉の向こうから、ごめんって、とシャナの謝る声が聞こえる。

夕飯準備出来なかったので、ユエのとこに行けって言ったやつね、とぼんやりした頭で思う。

 

「アオ、眼鏡かけたままだよ。フレーム曲がるってば。そんなに昨日眠かったの?」

 

うん、と僕は少し頷き、ユエの方に手を伸ばした。

その手を取って、彼女は頬擦りしてくる。

 

「…好き。可愛い。キスしたい…」

「寝ぼけてないで早く起きて! 今日最終日なんだけど…ルトルちゃんがね、もう一回私達に男女逆転のやつやって欲しいって…しかも全員で…」

 

ユエのその言葉で脳が覚醒し、僕は飛び起きた。

 

「はぁ?! なんで?! 昨日一回だけって話じゃなかったの?!」

「売り上げが良かったんだって。このままいけば、学年で一番の成績になれるらしいよ。あたしもグループメッセでそれ見て驚いたっつーの」

 

シャナが扉を少し開けて、呆れた様子で言う。

どうする? と僕に聞いてきたので、寝起きだったけれど怒りで肩を震わせ、姉にシンクを連れてくるよう告げた。

 

「俺が来た所で、どうにもならねぇと思うんだけど…」

 

シンクとツルギ、ユタカがシャナに呼ばれ、連れ立って僕と姉の部屋に来る。

弟の考えとしては、自分がルトルの説得を試みても無駄だ、とでも言いたいのだろう。

 

「違う。作戦会議をしようじゃないか、シンク」

「作戦会議ぃ?」

 

一体何を言い出すんだと、シンクは僕を見る。

僕は椅子を持ってきて座り、目の前のソファーに座っているシンクを見ながら足を組んだ。

 

「今から僕が言う考えを元に、作戦を立てよう。それによっては、僕らは午前で解放される可能性もある。お前だって、最終日にユタカとデートしたいだろ? 高等部三年の、最後の学園祭なんだから」

「それはそうだけどよ。何、考えって」

 

僕はシンクに考えを話す。

それを聞いたシンクは、少し考え込む。

 

「確かに、その条件を提示したらルトルの奴、納得するかもしれねぇけど…上手くいくかは五分五分だぞ? お前っていうよりは、ここにいる全員の演技力が試されるわけだし。上手くいかなかったらどうすんだ?」

「上手くいくって信じてるよ、僕は。だって、このメンバーだぞ? 困難くらい乗り越えられなくてどうする。な?」

 

僕はみんなを見ながら言う。

各々頷きを返してくれ、僕はシンクに目を向けた。

 

「…わーったよ。交渉は俺がやる。グンジョウ、死ぬ気でやれよ」

「勿論。じゃあみんな、ルトルに条件を飲ませて最後の文化祭楽しもう!」

 

おー!! とみんなは手を掲げ、気合いを入れる。

あとはシンク次第だけど、こいつ口上手いから何とかなるだろ、多分。

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