my way of life   作:桜舞

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330話『お前が言い出したんだから』

「いらっしゃいませー! 2名様ですかぁ? お席に案内しますぅ!」

 

シンクがぶりっ子をかまして、男性客を招き入れる。

昨日と同じくツインテールな髪型だが、服が全く違っていた。

ゴスロリ風な衣装から一転、今日は肩出しのレースたっぷりな、ジャンパースカートと呼ばれる物を着ている。

黒い服に紫のリボンがついた物で、ヘッドドレスも同じ柄だ。

 

シンクに連れられて席に来た男性客に、僕はニコリと微笑む。

 

「お兄様方、こちらメニューになります。お好きなものを選んでいただけると嬉しいです。私? 私のお勧めは抹茶ケーキですね。私、実は甘い物苦手なんです。結構大人なんですよ?」

 

微笑みながら首を傾げる僕の今の服装は、白いブラウスに、青緑色のスカート、肩にかけるタイプの黒いコートに、室内だけど帽子を被っている。

ワンポイントでリボンを愛元に付けていて、清楚な雰囲気を出していた。

所謂、お嬢様コーデというやつらしい。

 

昨日と同じくロングのウィッグをつけ、微笑む僕のお勧めを男性客は頼む。

 

僕やシンクが女性になれば、それはもう母様の血が濃く出るものだから、超絶可愛い美少女になるわけで。

鼻の下を伸ばしまくっている男性客に、内心で舌を出す。

 

お前らが鼻の下伸ばしてる相手は男だっつの、馬鹿め。

 

「アオ、コウ、あっちのテーブルのオーダー取ってきてくれ」

「「はい、お兄様」」

 

シャナが僕とシンクに指示を出した。

客の入りがとても良いようで、僕はほくそ笑む。

 

ルトルに提示した条件。

それは、昨日の売り上げを午前で越えられたら、午後は僕らを解放するというものだった。

確かに成功するかは五分五分だったが、ルトルは首を縦に振ってくれた。

むしろ逆に謝られたので、僕達が何か困った事があったのなら手助けするよう、伝えておく。

 

ルトルの家って、衣装とか色んなのあるんだよなぁ。

元々仕立て屋の一家だったって話だし。

僕とユエの結婚式の時、ユエのウェディングドレス仕立ててもらおうかな。

結構豪華なやつ。

それでチャラにしてやろう。

 

チラリとユエを見る。

昨日とは違い、今日はちゃんと顔を出して接客している彼女を見て、若干複雑な気持ちになった。

 

白いワイシャツと、ベルト付きの黒のスキニーパンツ。

胸元を飾るのは、僕の色である蒼。

シルバーのアクセサリーで装飾されたものを、ユエは身につけている。

黒髪を横に流し、青色のリボンで髪を結っていた。

 

「お兄さん、青色好きなの?」

「うん、好き。青って言葉も良いよね。僕、バタフライピーっていうハーブティーも好きでさ。お姉さん達、試しに飲んでみない?」

 

飲むー! と女性客が盛り上がる。

相手はユエと同性なのだから、別に複雑な気持ちになる事はないのだが、ちょっと引っ張られているのか、僕だけを見てて欲しいなぁ、なんて思ってしまう。

 

「アオ。動き止まってるぞ。お前が言い出したんだから、ちゃんとやれ」

「あ…ごめんなさい、お兄様」

 

メニュー表で軽く小突かれ、僕は注意してきたシャナに謝った。

シャナの今日の衣装は、白いロングジャケットを着て、長い髪を三つ編みにし、黒いリボンで留めている。

中に着ているのは黒い軍服で、ロングジャケットと同じ色の軍帽を被っていた。

乗馬鞭を携えれば、軍部所属の鬼上官風だ。

 

「アオ、悪い。オーダー向こうに持ってってくれないか?」

「はい、承りました。ユタ、お客様はどうです?」

 

自分が取ってきたオーダーを渡してきたユタカへ、僕は尋ねる。

凄い量なんだけど、これ厨房捌き切れるかな?

してもらわないと困るんだけど。

 

「話しかけてくれる女性が多くて嬉しいね。私のお願いも聞いてもらえて…うん、みんな好きだよ」

 

ユタカはそう言い、自分を見つめていた女性客に手を振る。

きゃー! と歓声が上がり、さながらホストのようだ。

シャナのファンも増えそうだが、ユタカのファンも増えてるなこりゃ。

 

シンクを見ると全く気にせず呼び込みをしているので、精神年齢高い組すげぇ、と感心する。

 

ユタカが着ているのは、紺色のアシンメトリーのロングジャケットと、同色の男性物のチャイナ服だった。

これで丸い縁のサングラスを付けたら、街の片隅で薬草を売っている胡散臭い薬屋風である。

ユエとは反対側で髪を結っており、赤色のリボンを付けていた。

 

僕はユタカから受け取ったオーダー表を持って、厨房へ行く。

本名で呼び合うわけにもいかず、僕らはあだ名で呼び合おうという話になっていた。

僕とシンクは名前から取って、(アオ)(コウ)

ユタカとユエは、ユタとユゥユゥ。

シャナにいたっては、シャーと何とも簡単な呼び名になっている。

 

厨房に着くと、僕と同じくオーダーを置きにきていたツルギに会う。

 

「殿下…シャナは大丈夫、ですか?」

 

シャナは僕らにオーダーを渡して、度々教室の外に出していた。

多分、奇異の目やら何やらで僕らに負荷がかかるのを、シャナは心配しているのだろう。

本当に、僕の姉は優しい人だ。

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