my way of life   作:桜舞

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332話『アオが悪いんだから』

「あとは、毎日私とお風呂入って、朝に髪を結ってくんないと許さない」

「それ、おばさん許してくれるかなぁ…」

 

髪を結うのはともかく。

ユエの体から魔力波が立ち上り、僕はまた頭を下げた。

 

「すみません、やります…」

「よろしい」

 

多分今日からだよなぁ…理性保つかなぁ、僕。

 

◆◆◆

 

午前の部が終わり、午後の部が開始される。

僕とユエはブレスレットをつけたまま、制服を着てデートしていた。

僕のウィッグはそのままで。

 

背は伸びたが、少し小柄なユエは僕の制服に袖を通して、ブカブカだと笑っていた。

ちなみに、僕はシャナの制服を借りている。

ユエのだと、僕の胸が大きすぎて入らなかったからだ。

 

「いや、なんでお前ら外さねぇの?」

 

午後の部が始まる前、ブレスレットを外さずにいる僕らを見て、シンクは疑問の声を上げた。

なんで? と弟が僕へ尋ねてきたので、事情を耳打ちする。

マジか、という顔をされ、僕は諦めた笑いをした。

 

「グンジョウ、なんかごめんね…」

 

シャナが自分の制服を差し出しながら謝ってきたので、これも試練だと思う事にするよ、と返答する。

慰めてくれるように、僕の姉弟は頭を撫でてくれた。

 

「ユエ…絶対、ママ許さないと思うよ? あとパパ。あの2人説得できるの?」

「アオが悪いんだから、アオが説得すればいいの!」

 

多分僕の思考を読み取ったか、シンクの思考が流れ込んできたのか。

ユタカは呆れた目で自分の妹を見る。

 

説得かぁ…殺されるんじゃないかな、僕。

いや、婚約破棄されるに一票…。

ブレスレットつけてる状態なら、一緒にお風呂入っても許してくれないかな…。

無理か。

 

「…一体何事、だ?」

「ツルギ君は気にしなくていいからね」

 

僕らの様子に、ツルギが首を傾げる。

彼にまで知られたらややこしい事になるからと、シャナはにこやかに話題を逸らそうとしていた。

 

懸命な判断、流石姉君。

大体シャナが原因だけどね!

 

「ほら、アオ。行こ」

 

ユエが僕に手を差し出してくる。

彼女…今は彼だけど、その手を取った。

 

そして校内を練り歩いているわけなのだが…。

 

「あんな美人いたっけ、うちの学校に?」

「いや、一学年千人規模だからわかんねぇな…」

「蒼髪って事は、王族の人?」

「でもあのリボンの色、三学年だろ? 蒼髪の美人なんていなかったはずだぞ? 男はいるけど」

 

そんな声が聞こえて、僕は少し居た堪れなくなる。

蒼髪は王族にしかおらず、その中でも母様、僕、シンク、妹のリーゼ、弟のラゼッタだけに発現していた。

あとは父様譲りの金髪。

 

まさか擬似性転換のブレスレットつけてる男でーす、なんて言えるわけもなく、僕はユエの腕に抱きついて俯いた。

 

「アオ、大丈夫?」

「うぅ…恥ずかしい、居た堪れない…でも、罪滅ぼしだから、耐えてみせる…っ!!」

 

スパッツを履く事もダメと言われたので、スースーして落ち着かない。

しかも女性物を身につけている状態なので、これで男に戻ろうものなら僕、変態王子ってあだ名で一生呼ばれる事になるんじゃないだろうか。

 

あ゛あ゛あ゛ぁ!! と脳内で頭を抱えていると、ユエが軽くため息をついた。

 

「そんな事気にしてたらキリなくない? 今は私とデートしてるんだから、そっちに集中してくれないかなアオ」

「……まぁ、そうだね…うん…僕も女の子になったつもりで楽しむよ…」

 

目を閉じて、少し深呼吸をする。

僕は女の子、僕は女の子と言い聞かせていると、目の前から見知った声がした。

 

「あれ、グンジョウじゃん。何その格好? 自分のクラスの宣伝?」

「…アラスター…ナチュラルに、僕って見破るのやめろよ…」

 

友人のアラスターが、ニヤケ顔で僕に手を振っている。

 

「だって、眼鏡かけてる蒼髪なんてグンジョウ以外いなくね? その長髪なに? ウィッグ? ルトル嬢もやるねぇ。あの堅物のグンジョウに、女装させるなんて」

「は…はは…」

 

女装じゃなくて、今本当に女になってるんだけどな、僕!!

背も縮んでるんだけど、そこは気づかないのかお前?!

それか気づかないふりでもしてくれてるのか?!

 

苦笑いを浮かべつつ笑うと、アラスターは不思議そうな顔をしてチラリとユエを見、そして僕の方を見た。

 

「クラスの宣伝にしちゃあ、仲睦まじそうに歩いてんねぇ…デート? あ、俺、邪魔しちゃったかなー?」

「そう邪魔してるんだよ、ミラー君。アオとデートしてるんだ、気を遣ってくれても良いんじゃないかな?」

 

ユエが僕を後ろから抱きしめ、頭に頬をつけてくる。

 

いつもの意趣返しのつもりなのかな、ユエ…。

確かに人前だと恥ずかしいね、これ!!

 

ユエがどんな表情をしているか、抱きしめられている状態なのでわからない。

だが、アラスターのそのニヤケ顔が引き攣り笑いになるくらいだったので、物凄い覇気を出しているのだろうなとは察しがついた。

 

「ご、ごめんって、ユエ嬢。そんなに睨むなよぅ。学園祭の中のデートスポットって、大体甘いやつ付きだからグンジョウ嫌だしなぁ…食える物限定されると辛いなぁ、グンジョウ…」

 

同情的な目を向けてくる友人に、僕は肩を竦める。

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