my way of life   作:桜舞

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336話『叔母様なのは分かったんだけど』

Ritter sterben(騎士は無手で) nicht von Hand(死なず)の応用だろ。普通、他人の魔武器は手に取れても使う事は出来ない。俺だって、ツェリの時にグンジョウの魔武器貸してもらったけど、めっさ重かったから途中で放り出したんだからよ」

 

あれ演出で放り出したかと思ったのだが、扱い切れないで投げたのか。

僕ではあるんだけど、扱い雑…いや、シンクの事は言えないか。

僕だって最近投げたりなんだりしてるんだから。

 

「シャナ、ここからは手を繋いで行かなくても大丈夫?」

「入る時だけだから平気。なるべく安全なルートで行くけど、戦闘になったらごめんね」

 

姉の先導で僕らは迷いの森の中を歩く。

霧がかかっている所があったり、おどろおどろしい雰囲気の森の中になったり、蝶が舞い踊っている花畑だったりと、色んな風景が迷いの森の中にはあった。

 

「一体どういう空間になってるんだ、ここ…」

 

ツルギが疑問の声を上げる。

それに対してシャナが答えた。

 

「むかーし昔ね、亜人を狩る悪い風習があったの。それは獣人族だけじゃなく、エルフにも及んだんだって。獣人族は武力で対抗したけど、エルフにはそんな武力はなかった。だから迷いの森に大規模魔法をかけて、空間も時空も何もかも捻じ曲げて、その奥深くに集落を作ったの。精霊の力も借りて。だから、迷いの森は精霊が住まう神聖な場所であると同時に、入ったら最後、生きて帰れないっていう怖い森になったんだよ」

「歴史の授業で習ったけど、亜人族への虐殺もあったんだよね、確か」

 

その亜人族への差別も、父様が王太子の時には撤廃されたし、今では普通に街中で亜人族が歩いていたり、買い物したり暮らしたりしている。

人の心の奥底はわからないし、怖いと思っている人もいるだろう。

諍いはあれど、表面上は皆仲良くしてくれている。

それを維持出来るように、僕も頑張らなければ。

 

シャナを先頭にして暫く歩くと、開けた場所に出た。

大きな湖の中に木々があり、その間に橋桁が掛けられている。

橋桁は四方八方に続いていたが、ここで魔物が出るような気配は感じられない。

 

「綺麗…空気も澄んでる…単調な感想だけど、凄い…」

「魚がいそうだが…いても淡水魚か…? 取って食えるだろうか…?」

 

ユエとツルギが橋桁から湖を覗き込む。

僕も見てみるが、水が澄んでいて水底まではっきり見えた。

 

「魚っているのかな…いや、綺麗すぎて逆にいなさそうだけど…」

「その前に、なんで食う前提で話してんだよツルギ」

 

僕も感想を呟くと、シンクが呆れた顔でツルギに言う。

彼はキョトンとした顔で返答した。

 

「もし、一人で無人島に放り出されサバイバルをする事になったら、まずは水の確保と食料を探す事、寝床に出来る場所を探す事と、春夜さんに教わりまして…」

「篠原家の侍従たるもの、ってやつ? 近くにエルフの里あるんだろ? 食料とか寝床の心配しなくて良くね?」

 

それもそうなんだけど、ツルギはおばさんのお兄さん達からサバイバル技術を教わっていたから、彼はそう考えてしまっただけではないだろうか。

 

「んー…ここでサバイバルって、やめた方が良いと思う…迷いの森自体、強力な魔物もいるし。あそこの動植物も…異様な進化を遂げてるから、食べ物に適してるものはないよ…。そこの君が言うように…うちに来た方が、何十倍も良い…」

 

橋桁から人が歩いてくる音がして、告げられる。

そちらを見ると、銀髪の女性が僕らに手を振っていた。

 

「…誰だ?」

「ご無沙汰してます、アキカ叔母様」

 

ツルギが怪訝そうな表情をするが、僕が挨拶をすると驚いた顔を向けてくる。

あれが? とでも言いたげだ。

 

アキカ叔母様はクォーターエルフで、エルフの里の族長をしている。

別にしたくはなかったし、父親(あれ)と一緒に暮らしたくなかったからここに来たのに、と母様と一緒にエルフの里に来た時愚痴っていた。

それも、僕が小さい時の話だが。

 

「うん…久しぶり、グンジョウ。大きくなったね。そこの君…この湖も魔力の塊だから、一口飲んだ瞬間体内の魔力が暴走して死んじゃうと思う…濾過なんて無理。触るくらいなら問題はないけど…ウンディーネにお願いして、水貰った方が絶対良い…」

「え、あ…ご忠告、ありがとうございます…」

 

ツルギが軽く頭を下げる。

叔母様はうんうん頷き、次いでシンクを見た。

 

「グンジョウの異次元同位体…体内のオドが、そこの子と混ざってる…えっと、名前はシンクだったっけ…。義姉様から、もし君が望むのなら…切り離してあげて欲しいって、言われてる…けど…どうする?」

「いや、別に困ってないんで良いです」

 

即答で断ったシンクへ、そう? と叔母様は言う。

 

「アオ、叔母様なのは分かったんだけど…」

 

ユエが僕の服の袖を引っ張ってきた。

ちゃんと紹介して欲しい、と言いたいんだろう。

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