「へー、グンジョウの異次元同位体かー。そういえばベルカにも、立花卿にそっくりな人いたっけな。髪とか真っ白だったけど」
「シュネーさんの事ですかね?」
名前は知らないと言ったハルト叔父様だったが、多分合ってると思う。
シュネーさんはカヅキおばさんの異次元同位体ではないと、お祖父様の所から戻った後に尋ねたら、そう答えられた。
あれは、自分に対する抑止力で現れたドッペルゲンガーであり、それ以上でも以下でもない、っておばさん言ってたっけな。
「とりあえずハルト、あんまりここ広くないんだから奥さん寝かせてる部屋で雑魚寝して。グンジョウ達には、一部屋あげるけど…」
「女性陣にはベッド使ってもらって、僕らは雑魚寝で良いよな、二人とも」
ツルギとシンクに確認を取ると、二人とも頷いてくれる。
それに慌てたのがユエとユタカだ。
「王族を床に寝かせて、自分達がベッド使うとかないよ?!」
「そうだよ、グンちゃん! むしろ、私達が床で寝ないといけないのに…!!」
いや、婚約者である女性を床で寝かせたとあっては、僕とシンクが母様から大目玉を喰らう。
地面に首まで埋められての説教になるだろう。
流石にそんな姿見られるのは嫌だ、と二人に伝えた。
「空間拡張魔法使えば良いんじゃないか?」
「シンク…それが出来るならもうしてるんだよ…。空間拡張用の魔道具は売られてるからね。一回試してみたけど…エルフの里にも、迷いの森の影響は出ててね。濃い魔力に阻まれて、起動しなかったのさ…」
アキカ叔母様が少し遠い目をする。
その魔道具、結構な値段がしたんじゃないだろうかと察した。
エルフの里の収入源は、多分だがハルト叔父様との交易と、王家からの援助なのではないかと思っている。
たまに王宮に来て母様と話していく事があるし。
民芸品とか売りにでも来てるんだろうか?
「というわけで、僕ら男性陣が雑魚寝するから、君達はベッドで寝る事。良いね?」
「「はーい…」」
流石に僕とシンクが母様から埋められるのはごめんだと思ったのか、二人とも素直に頷いてくれる。
「じゃあ、荷物置いて精霊の祠行こうか」
シャナの言葉に、僕らは頷いた。
◆◆◆
「ねぇ、アオ。聞いてもいい?」
「ん? 何?」
叔母様の家に荷物を置かせてもらい、精霊の祠に向かう道中、ユエが尋ねてくる。
「アキカ様が言ってた、因果って何?」
「……それ聞きたい?」
何かマズい事でも聞いたのか、と彼女の眉が下がった。
どうしようと少し悩んでいると、前を歩いていたシャナが振り向き、苦笑いをする。
「王族のスキャンダル? 汚点? みたいなもんだからね。まぁ、話しても良いんじゃないグンジョウ? ここにいるみんな、王族に嫁ぐか嫁がれるか、だし…」
言っててシャナの顔が赤くなった。
自分がツルギと結婚式でも挙げてる想像でもしたのか。
まぁ、どちらにしろユエには伝えておかなければならないだろう。
「入口で会った、ユキヤ叔父様いたよね? 叔父様、高等部在学中に専属護衛だったオリヴィエ叔母様と、子供作っちゃったんだよね…。その当時、叔父様には婚約者がいて、その仲裁役にうちの両親が呼ばれてさ…何やかんやあって、オリヴィエ叔母様はトンプソン家に養子に入る事になって、ユキヤ叔父様と婚姻を結べたんだけど、普通は処刑になるんだよね。その当時の法律から言えば。で、ハルト叔父様も、自分の専属護衛と婚姻結んでるわけで…」
父様と母様は、それを聞いた瞬間頭が痛くなった事だろう。
問題解決の為に、当時の叔父様の婚約者の方が折れたって話だし。
「叔母様が言ってた因果っていうのは、うちの王族みんな専属護衛と婚姻してるって話なんだよね。まぁ、みんなって言っても父様に近い人だけだとは思うけど」
「そうだね。父様、ユキヤ叔父様、ハルト叔父様。それに僕らもだろ、シャナ」
ユエは元僕の専属護衛だし、ツルギに至っては現在そうだし。
僕の言葉に、姉は顔を完全に真っ赤にさせながら怒鳴ってくる。
「まっ、まだ婚姻してないでしょ?!」
「…確かにまだ婚姻してはいないが…そんなに必死になるような事、なのだろうか…? 俺は、君と婚姻するつもりなんだが…シャナは嫌、なのか…? 俺は、君に対して…何か、嫌な事を…してしまったのだろうか…?」
シュンとなってしまったツルギに、シャナが慌て始めた。
必死に、違う違う!! と弁明している。
僕と二人の時にそう言うならともかく、隣にツルギがいる状態で言うなよシャナ。
照れ隠しで怒鳴ったんだろうけど、ツルギがそれ見てどういう反応するか想像しないなんて、馬鹿だなぁ…。
「あと、二人の共通点といえば…自分より年上の人と婚姻してる事かな」
「むしろ、因果ってそっちの事言ったんじゃねぇの?」
それはあり得るな。
父様は年下の母様と、僕やシャナ、シンクは同い年の相手だ。
ユキヤ叔父様とハルト叔父様は、年上が好みだったのだろうか?